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ビーンくん

「やっぱりダメか…」


時間が巻き戻って皆が祭りに行ったばかりのルチアの部屋。

旧世界から強制退去されて以来、紫乃のもとに行けないでいた。


「…ふぁ…」


ディスプレイを切りベッドに身を投げ出す。

その拍子にさやえんどうを模した抱き枕が床に転がる。


「あ…ビーンくんが…」


だるそうに手を伸ばすがビーンくんには届かない。

ルチアはそのまま寝息を立て始める。



「おーい、祭り行こうぜー」


ノックもせずに黒が部屋に入る。


「…寝てんの?」


ルチアに黒が顔を寄せると、


「うー…ビーンくん…」


彼女は寝ぼけて黒に抱きつく。


「…ビーンくんだよー」

「ーっ!?」


勢いよく黒を突き放し布団に逃げ込むルチア。


「な、何してんだ変態!」

「ビーンくんと間違えたのはお前だろー?」


黒が床に横たわる抱き枕を拾い上げる。


「てか可愛い抱き枕派なのね」

「べ、別にいいだろー!」


ルチアはビーンくんをひったくるように取り返す。

黒の視線はクローゼットに移る。


「…まだなんか面白いもんあるかも」

「ねえよ!」


遠慮せずにクローゼットを開く。


「…あ、浴衣あるじゃん」

「それは…」


落ち着いた紺色に控えめに施された白い彼岸花。その中に小さな兎が跳ねている。


「着ようぜ」

「断る」

「ったく…」


浴衣を眺めながら考えを巡らせる黒。

何かを閃いたかと思うとルチアのかぶっている布団を引き剥がす。


「なっ…ちょっと…やめろー!」











「浴衣着ろよー」

「嫌だ…」


布団の中に閉じこもるルチア。布団越しに籠った声が聞こえる。


「ったく、じゃないとずっと裸のままだぜ?」


黒がクローゼットにもたれながら、さっきまでルチアが着ていた服をヒラヒラ振る。


「お前が諦めて帰ればいい…」

「…わかってねーなー…」


彼は布団をまた引き剥がし、下着姿のルチアに跨がる。


「な…」

「俺は男だ。それなら言いたいことわかるよな?」


徐々にその身体が彼女に近付いていく。


「わ、わかったから!離れろ!」


ルチアがもがく。

黒は少し惜し気に彼女から離れる。


「…なぁ」

「んだよ…全く…」


渋々浴衣に着替え始めるルチア。

黒はルチアに背を向けながら言う。


「下着も脱ぐの?」

「…古い、変態」

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