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黒い大地
ルチアの一言で。
彼女の、紫乃の姿が脳裏を掠める。
自分は彼女を愛していた。
それは今でも変わらない気がする。
それでも…
自分は…紫乃によく似た…この人のことを…
「黒…?」
ルチアが不安そうな顔で自分を見つめている。
「…」
黙って彼女のパーカーのファスナーを下げる。
「ち、ちょっと…」
そう、もう紫乃はいない。
紫乃の姿を振り切るように、今ここにいるルチアの水着に手をかける。
彼女の白い肌がゆっくりと露わになっていく。
「…黒…だめ…」
「っ…」
手が止まる。
頭の中で紫乃が優しく微笑む。
「…悪い…ホントに…」
ルチアを抱き起こす。
彼女は怒りもせず、悲しみもせず、ただ心配そうに自分を見つめている。
「…行こう、みんなのとこ」
砂浜を歩く2人。
「…お前さ、怒らねえの?」
「うん?なんで?」
少し前を歩くルチアがこっちを向いて首を傾げる。
「だって…あんなことしたのに…」
「じゃあ今までの分も反省しろよな…」
彼女はコツンと自分の額を叩いた。
「…はい、怒った」
「怒ったのか、それ…」
「うん、怒った」
イタズラっぽく笑って、彼女は砂浜を駆けて行く。
「…ったく…」
ゆっくりと、ルチアの走って行った道を辿りながら。
花火で光る輪に向かって歩いて行くのだった。




