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ルチアの実家からの帰り道。
黒が車を走らせる。
「今日は疲れたなー」
「シンは半分程寝てたじゃん…」
シンが握っていたモトハルさんがヘアゴムとシンの手をすり抜け、逃げるように私の膝に座る。
「む…」
シンはモトハルさんを追い払う。私の膝に自分の頭を乗せ、仰向けに私と向き合う。
「なあハルカ…」
「…?」
彼は神妙な顔で私の頬に手を伸ばす。
その手が熱いのか、私の頬が熱いのか。胸の鼓動がこの熱と共鳴しているみたいだ。
「し、シン…?」
シンの指先がゆっくり私の唇をなぞる。そして彼の上体が私に近付いていき…
「…あのー…俺を空気にしてくれるのは構わないけど、お部屋でやってもらえます?」
「わ!す、すみませんっ!」
黙って運転していた黒がバックミラー越しに呆れている。
「いいとこだったのに…」
モトハルさんがシンを殴る。シンはモトハルさんをドリンクホルダーに詰め込む。
「思ったんだけどさ、お二方はどこまで進んじゃってんの?」
「はっ、え、ど、どこまでとか…」
「残念なことにキスもしたことがない」
膝枕のまま不服そうな声を出すシン。
「ほー、意外だな。てっきりもう他人に言えない関係なのかと思ってたんだけど」
「なっ…」
顔が物凄く熱くなる。断じて妙な想像をしたわけではない。断じて。
「む、じゃあ帰ったらやる!」
「いやいやいや…」
「ダメなのか?」
シンは起き上がり私をじっと見つめる。その秀麗な顔に魅せられそうになってしまう。
「こ、心の準備と言うものが必要でして…」
「俺はいつでも準備はできている」
シンが更に近付く。
彼の本気がひしひしと伝わってくる。
「ハルカ…愛してる…」
「シン…」
私の唇に彼の唇が重なる。
「うん…俺は空気…」
黒は極力バックミラーを見なかったそうな。




