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「息苦しー…」
「我慢しなさい…」
ルチアは訪問着に着替えたようだ。
私達は隣の部屋に身を潜める。
「ルチアさんの着物姿見てみたいかも」
「俺はハルカの着物姿が見たい」
「シン連れて来たのは間違いだったかもな…」
しばらくすると玄関の方から声が聞こえた。
「男の人みたいですね…」
「…」
黒は押し黙っている。
「久しぶり、和花」
「うん…久しぶり…」
なんだかルチアの調子がいつもと違う気がする。
「てかそれお姉さんの着物じゃない?」
「私服だとどうせ怒るだろうから…」
青年はクスリと笑う。
「全く、相変わらずだな。今度一緒に買いに行こうぜ」
「嫌だ」
「可愛い私服じゃねえとデート連れて行かねえからな」
「え…えー…っと…」
彼女は口ごもる。
「ん?行くの、行かないの?」
「…う、うー…」
青年は笑う。笑い方に何処と無く品がある。
私は気になって黒の方を見る。彼の顔からは何も感じ取れない。
シンは…眠たそうだ…
「素直じゃないとこも相変わらずだなー」
「あ、頭撫でるなっ…」
「その言葉遣いはやめろって言ったろうが」
襖の向こうが気になる。
(どんな人か見てみた…ん…?)
襖から小さくて筋肉質な腕が伸びる。モトハルさんが襖をすり抜けてやって来たのだ。
モトハルさんは部屋中を跳ね回る。どうやら怒っているようだ。
(盗み聞きしてるからかな…)
「も、モトハルさん…シーっ…」
私が小声で諭すと、モトハルさんはシンの頭の上で正座する。眠気で揺れるシンの頭の上は不安定そうだ。
黒が黙ってモトハルさんを指で弾き落とす。
「和花って俺と4つ違いだからもう22なんだっけ?」
「まだ誕生日来てないから21…」
青年は少し考えて、口を開く。
「彼氏とかいるの?」
「いない…」
「じゃあさ…」
室内に緊張が走る。ついでにモトハルさんも走っている。
「俺とまた付き合わないか?」




