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誰もいなくなった世界。
そこに残された紫乃の記憶を取り戻したい。そして黒に紫乃の思いを伝えたい。
それがルチアのやっていること。
「だが下手をすればルチアも帰って来れなくなるぞ?」
「わかってるけど…俺がやらなきゃいけねえ気がして…」
ルチアは俯く。
「こんなこと黒にでも知れたら大変だ」
「ほー、なんで大変なんだ?」
「く、黒さんっ!」
ギルドの中から黒が出てくる。ルチアは反射的に私の後ろに回る。
「お前なー、少しは顔見せろよな」
「…悪い」
黒は私の後ろに隠れていたルチアを、仔猫を掴み上げるように引きずり出す。
「見ない間に随分無愛想になったな」
「ふん、前からこんなんだ」
2人が冷戦状態に入ったようだ。
お互いに冷たいオーラを放っている。
「そ、そうだ、狩りにでも行きましょうか」
「それは名案だ、行こう行こう」
私とシンの精一杯のフォロー。
「…ったく」
「ま、せっかく来たんだしな」
洋の世界。
あたり一面砂漠と化したフィールド。
「久々に狩りするな…」
「お前ほんと何してんの?」
「それに至っては黙秘権を発動する」
相変わらずのようで、そうでもない雰囲気の黒とルチア。
「でもさ…」
「うん?」
シンが私にだけ聞こえる声で言う。
「黒に紫乃って人の思いを伝えて、ルチアはどうするつもりなんだ?」
「え?うーん…」
確かにわからない。黒は余計に彼女のことを引き摺ってしまうのではないだろうか。
不透明な思考は突風によって遮断される。
「お、来るぞ」
けたたましい咆哮と共に、
"美しき翼を持つ者"の名を冠した怪鳥が君臨した。




