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「あ、雨降ってる…」
美術館から出て来た私たちを小雨が歓迎する。
「降るかもと思って折り畳み傘持ってきたから一緒にさして帰ろっか」
鞄から水色の傘を取り出して広げる。
その傘を見てシンが顔をしかめる。
「いや、俺はいい。少ししか降ってないし、屋根伝いに行けば問題ない」
「え、でも…」
やはりこんな傘だと入りづらいだろうか。
「気にしちゃう?」
「いや…」
彼は口ごもる。
「…その傘は一人分の大きさだ。俺が入ればハルカが濡れてしまう」
そう言って走り出そうとするシン。
「ちょ、ちょっと!」
慌ててシンを捕まえる。
「シンだけ濡れるのは私が嫌だから…」
「む、むぅ…」
渋々傘に入ってくるシン。
「…もう少しこっち」
「あっ」
シンは私の腰に手を回して抱き寄せる。というか近過ぎる…
「…シンって…実は元カノとかいたりするんじゃない…?」
「外界を遮断して生きてきた俺にそもそも出会いなんてないだろう」
「ぜ、絶妙に悲しい…」
お互いに寄り添ったまま雨の中に身を投じて行く。
シンの体温が身体の感触と一緒に伝ってくる。
「サラッとこういうことしちゃう人ってなんか疑う…」
「む、だめなのか?」
「いや、ダメではないんだけどさ…」
グダグダと会話しているうちに"ホーム"にたどり着く。雨もすっかり止んでいる。
「あ、虹出てる!」
うっすらと虹が空に浮かんでいる。
「別に虹くらい出るだろ。出てきただけで騒がれたら虹だって困る」
「心冷え切ってますね…」
とは言いつつもしっかり虹を見上げているシン。
「…虹ってさ…」
「うん?」
ふいにシンが尋ねる。
「なんで"虫へん"なんだろうな…」
「…」
その夜。
シンと一緒にソウルハンター伝、略しソルハンの世界に来た。
「あ、はじめまして…」
シンがギルド前にいたルチアに挨拶する。
「ははは、しばらく会わない間にどうやら君との友好度が初期値になってしまったようだ」
ルチアは笑顔でシンに挨拶替わりのスカイアッパーを決める。
「そ、それでルチアさん…話って…?」
「ああ、他のやつらには黙っといてくれよな」
ルチアが今やっていること。
それを私達は聞いたのだった。




