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「帰りたい…」
境内の中央広場。
そこに私1人がいる。
「帰るなよ!」
「貴女だけが頼りです!」
「貴公は我らのジャンヌダルクでござる!」
物陰からシンたちが私にヌルい声援を送っている。
「てかシンザンさん…例えが侍精神を疑う…」
男達に愛想を尽かせたその時。
「っ…!」
(気配がする…すごく嫌な感じ…)
おぞましい気配の方向へ弓を引く。その辺りの空間が歪み、気配の主が顔を出す。
「あれは…青鬼ではないか!」
「マズイですね…」
空間の歪みがおさまり、青鬼が私の目の前に立ちはだかる。
「ハルカ!逃げろ!そいつは鬼の中でも1番強い!」
「そ、そんなこと言ったって…!」
青鬼が大きく右腕を振り上げる。意外にも素早い。
(間に合わない…!)
逃げるのを諦め地面に伏せる。鬼の爪が凄まじい風圧を伴って私に向かってくる。
「ふぬっ!」
シンザンがその巨躯からは想像もつかない速さで私と鬼の間に割り込むと、盾を構え鬼の一撃を弾いた。
仰け反る鬼の右ひじから下を遅れて追いついたシンが切り落とす。
「今の内に下がられよっ!」
「は、はいっ」
構えていた盾を鬼の脛に思い切り打ち付けるシンザン。その反動に耐えられず鬼は前のめりに倒れ込む。
「ハルカさん、弓を構えて」
「え?」
「早く!」
ノラに言われるがまま弓を引く。
私の手にノラの手が添えられると、矢は次第に冷気を帯びていく。
「今だっ!」
鬼に向って一直線に氷の矢が飛んで行った。
鬼は大きくて美しい氷柱に閉じ込められ、動かなくなった。
「ふぅ…」
「よくやったな、ハルカ」
シンが私のほうに歩いてくる。
「いや、ノラさんのおかげだから…」
「…」
そのノラは口元に手を当てて何か考え込んでいる。
「…おかしいですね」
「何がだ?」
「青鬼は冷気に強いはず…なのに…」
「…!鬼が…!」
氷の軋む不快な音がし、氷柱が弾け飛んだ。
「ぬあっ!」
「シンザンっ!」
青鬼は歪に微笑みながらシンザンを殴り飛ばす。
「やはりこの程度では倒れないかっ」
シンが鬼に突進していく。
鬼の股下をくぐり背後に回る。
「はあっ!」
地面を蹴って飛び上がると、鬼の後頭部へ太刀を食い込ませようとする。
「ダメっ!危ない!」
「…!」




