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「…はっ、寝ちゃってた」
昨晩気絶してしまったシンの隣でいつの間にか寝ていたようだ。
シンはまだ眠っている。
「ルチアさんは帰ってきてないのかな…?」
だとしたら黒さんの部屋だろうか。
(朝まで帰って来ないなんて…もしかして…)
私にとっての最悪の事態を想像し、焦燥感に駆られていると部屋の襖が開く。
「あ、ハルカちゃんおはよー」
ルチアだ。そのまま自分の旅行鞄に足を運ぶ。
「シンが戻らなかったからさ、邪魔しちゃ悪いと思って」
「別に何もありませんでしたから!」
彼女は私とシンの間に何かあったと思ったようだ。
「そういうルチアさんだって…」
「俺?」
鞄を漁る手を止めてキョトンとするルチア。
「そうだな…内緒だな」
「へ…?」
「ははは、せいぜい悩みなさい」
ルチアは意味深なことを言いながら再び鞄を漁り、着替えを取り出す。パーカー、カーゴパンツ…
「…ルチアさん」
「うん?」
私はルチアに少しずつ近寄る。
「服、貸してあげますよ」
「え…?」
これが私の逆襲だ。
「し、しまった…気を失っていた…」
シンがようやく目を覚まし、そして驚愕した。
「どちら様だ貴様!」
「ルチアさんですよー」
黒いオーバーニーソックス、紺のフリル付きミニスカート。水色のギンガムチェックブラウスの上に薄手のジャケット。
そしてほんのりメイクにゆるふわボブ。
それらを纏っているのは紛れもなくルチア。
「く、屈辱…」
「せいぜい悶えてくださいね」
「あ、あわわわわわ」
シンは部屋から逃げ出して行った。
「今日一日はこれでお願いしますね」
「生き地獄…」
私は皆待つロビーまで、拒絶するルチアを引き摺って行くのだった。




