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「ひと狩りしようぜ!」
「…シンさん1人でね」
ゴールデンウィーク3日目。相変わらずシンはしつこく私に詰めよってくる。
なぜこんなとこに入居してしまったのか。
途方に暮れていたあの頃を思い起こしていると、コウメイが私の部屋を訪ねて来た。
「オオヤさんが談話室来てだってさー」
談話室に集まったルームメイト達。今日は黒さんも休みのようだ。
「みんなちゅうもーく」
オオヤが手を叩く。
「せっかくの連休だからプチ旅行を企画しましたー」
「プチ旅行…ですか…?」
懐から宿泊券を取り出し、ヒラヒラと扇ぎながらオオヤが続ける。
「そ、温泉とかいいよねーと思って」
「「わー!おんせんー!」」
双子がソファーの上を跳びはねる。
「いつ行くんすか?」
跳ね回る双子を押さえつけつつルチアが問う。
「今日から」
「今日!?」
「俺明日仕事あるから無理だな」
「おや、そーなのかい?」
黒さんは行かないつもりでいる。仕方ないことだが、なんとなく残念だ。
「じゃ明日はお休みしてね」「医者なめてんのか」
「整骨院だっけー?非番の人と交代してもらうよう僕が手配しといてあげるね」
「…ったく、準備してくりゃいいんだろ」
黒さんは自分の部屋へ上がっていった。
「ほらほら、君たちも急がなきゃ置いていっちゃうよー?」
オオヤはマイクロバスまで用意していた。
バスの窓に映る景色がだんだんとのどかになっていく。
(というか懐かしい景色…もしかして旅館って…)
バスが静かに停車した。
私の地元でもある、この町一番の高級温泉旅館が瞳を埋め尽くす。
「こんな形で里帰りするとは…」
「ご乗車ありがとーございまーす」
運転席からテツが顔を出した。
「テツ!なんでいるんだよ!」
「だってみんなだけずるいやんー」
「彼も誘ったんだ。多いほうが楽しいでしょ?」
こうして私たち8人のプチ旅行が始まったのだった。




