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「こいつパーティのレベル平均が高くないと出てこないんじゃなかったのか!?」
世界を撹拌した蛇、"ヴァスキ"は静かにルチアを見下ろしている。
「ハルカちゃん!ベースキャンプに戻ってミッションリタイアしてくれ!」
「え、でもっ」
「俺が引き付けるから!リタイアすればパーティ全員強制退去できる!」
ルチアが刀を構えようとする。
「あっ、あの猫に突き刺したままだ…!」
大蛇の尾がルチアに襲い掛かり、ルチアは岩に叩きつけられた。
「うっ…」
「ルチアさんっ!」
"撹拌の蛇"が今度は私のほうを見下ろす。思わず弓を構える。
(どうしよう…怖くて動けない…!)
蛇が大きな口を開けたその瞬間。
「くらいなぁっ!!」
"ヴァスキ"の口に無数の氷塊が突き刺さった。
ゆっくり仰け反っていく大蛇。
「シン!今だ!」
「任せろ!」
木々の合間を縫って突進してきた侍が太刀を振りかざし大蛇に一閃。
胴と頭が鈍い音を立てて地面に転がる。
「大丈夫かルチア」
「あ…シンじゃねえか」
高く結った長髪をなびかせルチアに駆け寄る侍装備のシン。
「これでイベント報酬は私達のものですね」
黒い縁のあるメガネに軍服姿の青年が岩影から現れる。さっき大蛇の口に魔法弾を撃ち込んだのはこの人だろう。
「すみませんね。"ヴァスキ"がこっちに来てしまったみたいで」
「うん?シンの連れかなんかか?」
「ああ、ノラっていうんだ。こいつと蛇狩りしてた」
ノラと呼ばれた魔法使いは恭しくお辞儀をした。
「回復してあげますよ、お姉さん」
「ん、悪いな」
ノラがルチアに手をかざすとルチアが淡い光に包まれる。するとみるみるうちに傷が癒えていく。
「ところでこっちの弓士は誰だ?」
「あ、ハルカです」
「なっ…」
シンが驚いて私から後ずさる。
「だってほとんど初期アバではないか!」
「こういうジャンルには手を出したことないみたいでさ」
「む、むぅ…というか…その…」
シンは何か言いにくそうにしている。多分談話室でのことだろう。
「私は大丈夫だから…心配させてごめん…」
「あ、いや…」
「ちょっとー、勝手に重たい雰囲気出さないでもらえます?」
ノラが退屈そうに口を挟んだ。
「さっさと魂取って帰りましょ」
「あ、俺にも分けてくれよな」
ノラとルチアが蛇の頭に右手を置く。蛇から禍々しく光る魂が出てこようとしている。
「こら、ちょっと待て!ほら、ハルカも!」
「う、うんっ」
シンと私は慌てて蛇の頭へ駆けていくのだった。




