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ギターの音色が止まる。
それだけでなく全ての音がこの世界から消え去ってしまったかのようだ。
「あ…えっ…っ…」
音が消え去っても涙は消えることを知らない。
皆が心配そうに、困惑しながら私を見ている。
「ごめ…ん…なさい…っ」
ここに居てはいけない。
そんな気がして自室へ駆け上がる。
バタンッ
部屋のドアを閉めると更に涙が押し寄せる。
冷たい海の中に突き落とされたみたいだ。
「なんで…なんでっ…」
抑えきれず声をあげて泣く。
理由がわからない。ただひたすら悲しい。
コンコン
「ハルカちゃん…ちょっとだけいいか…?」
ルチアの声がした。
今は誰にも会いたくない気持ちだったが…
「大丈夫か…?」
私はドアを開けていた。
「ごめんなさい…」
「あはは…謝る理由がわかんねえよ…」
2人でベッドに腰掛ける。ルチアは私の頭を優しく撫でてくれた。
「…黒には内緒だからな」
「…?」
「黒には7年間付き合ってた人がいた」
「っ…」
また胸が痛む。それを察しているかのようにルチアは再び私の頭を撫でる。
「俺がその人に出会ったときにはもう別れた後だったな」
「…どうして別れちゃったんですか…?」
泣きすぎて上手く声が出なかったが、どうしても聞きたくて声を絞り出す。
「電脳世界に行っちゃったんだってさ」
「電脳世界…」
体感型ゲームなどが普及して間もない頃。脳波に直接働きかける仕様の装置により、植物人間のようになってしまう事件が少なからず起こった。ゲームの中に行ったきり帰ってこないのだ。
黒さんの彼女もその1人らしい。
「黒さんはまだその人のことを…?」
「まだ"生きていた"頃に仲が悪くなって別れる寸前だったらしくてな…吹っ切れたとは言ってたけど…」
ルチアは難しい顔をしながら言った。
"吹っ切れた"という言葉を曖昧にしながら。
「…なあ」
「はい…?」
突然思い付いたように言い出すルチア。
「ゲームしね?」
「えっ…」
「初めてでもいいからさ。ストレス解消しちゃおうぜ」




