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シンが談話室の隣の分厚いドアを開けた。
そういえばこの部屋は一度も入ったことがない。ルチアが防音室だと言っていたような気がするが…
「「待ってたよー」」
「すごい…ライブハウスじゃん!」
ギターもあればドラムもキーボードもある。おまけに照明器具も完備だ。
「こんな風になってたなんて…」
シンがギターを抱える。コウメイのドラムに合わせてアップテンポな音符が飛び出す。
カズがベースでルチアはギターとボーカルだ。
ハスキーな歌声が音符と共鳴して部屋中に響きわたる。
「すごい…」
「ハルいいとこ住んでんじゃん!うらやまうらやま!」
曲が終わるとアイはものすごく楽しそうに言った。
「おねえさま最高っすよ!」「お、おねえさま…」
その後アイは大変満足して帰って行った。
「いやー、久々にライブしたわー」
「疲れた…」
談話室に集まったルームメイト達。
「まさかバンドできるなんて知りませんでしたよ」
「ルチアちゃんは高専時代に軽音やってたんだってー」
「あそこはイケメンで秀才のギター弾けるぜ人間が大量だからな」
天は二物を与えずなんて一体誰が言ったのだろう。世の中は不条理だと思った。
「ただいまー。お、ギターあるじゃん」
黒さんが帰ってきた。
「今日ハルカちゃんの友達が来たからライブしたんだー」
「ほー、俺もしたかったな」「黒さんまでできちゃうんですか…?」
「俺たちみんなルチアに叩き込まれたからな」
黒さんはシンにギターを借りるとゆっくり弾きはじめる。
ルチアがそれに合わせてバラードを歌う。
2人はとても息が合っている。もともと1つのものだったかのように。
「あ、ハルカ…」
「え…?」
それが歌のせいだったのか、それともこの胸の痛みのせいだったのか。
涙が溢れていた。




