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静かな世界で。

「君さ、ステータス欄にチャットしたいって書いてあるけど、話したいなら待ってないで 行動したほうが早いよ」


突然目の前に来たかと思うと突然まくし立てる少女。

長めの茶髪に、背にはボウガン。

装備的に自分より結構上。


「…」

「なんか言いなさいよ」

「え、えっと…」


自分の中のボキャブラリーが崩壊している。


「…ったく、あなた名前は?」

「く、黒だけど…」

「くくろ?」

「…黒」


苦手だ。こういう人。


「黒、私と狩りに行きましょ」

「は…?」


唐突過ぎる。苦手だ。


「私はシノ。初心者のお手伝いしてるの。あなたみたいなのは特にほっておけないわ」

「え、ええ…?」





それからかなりのクエストをシノと共にクリアしていった。

始めは開いていたレベル差も、段々縮まっていく。







「…へー、黒って私と同い年なんだ」

「まあな」


ギルド広場。

最近は狩りに行く時間よりここで話す時間のほうが多くなっている。


「名前はなんていうの?」

「…さらせってか?」


ここは公共のオンライン広場である。


「ったくー、プライベートメッセージでいいからー。ちなみに私はそのまま紫乃」

「ふーん…」

「はやくメッセージー!」


言われるがまま彼女にメッセージを送る。


「…意外な名前」

「うっせ」


こんなやつに教えるべきではなかった。


「でも」

「…?」


シノは自分に微笑みかける。


「けっこう好き、その名前」

「……」


リアルで彼女と話していたら、

この動揺は隠せなかったかもしれない。


それくらい鼓動が早い。

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