116/133
…
無言のまま帰ってきた黒とルチア。
「…部屋、来いよ」
黒がルチアから視線をそらせたまま言う。
彼は怒っている。彼女は今までの経験からそう察すると、素直に従うことにする。
「…」
部屋に着いても黒は何も言わない。
「く、黒…?」
恐る恐るルチアが口を開く。
黒はルチアを見つめると、荒々しくベッドに押し倒す。
「ちょっ…!」
そして激しく彼女の唇を奪う。
「…はぁ…はぁ…」
「…」
束縛の解かれた唇は息切れをする。
彼の唇は次に彼女の首筋に向かう。
「っ…!」
柔肌が小さく跳ねる。首筋には紅い華が咲く。
「や…やめて…」
「…」
彼女の瞳が濡れている。
それでも彼はまた唇を重ねる。
「…あの、黒さん?」
黒がようやく止まる。
ドアの向こうでハルカが呼ぶ声がする。
「…どうしたの?」
身体を起こし、ドア越しに応答する。
「その…のんが黒さんの部屋に入りたがってて…」
「…ちょっと待ってて」
ドアの向こうから犬の鳴き声もする。
黒はルチアを起き上がらせる。
「…悪い」
「…」
ルチアをクローゼットに入れる。
「ワンっ!」
ドアを開けるなり飛び込んでくる雑種犬。
ベッドの脚元に置いてあったキャリーバッグに駆け寄る。
「あ、キィに会いたかったんだ…」
「…そうみたいだな」




