76
「はいはーい、到着ー」
オオヤに連れて来られたのはいかにもな廃病院。
「くそ…こんなときに限って早く仕事終わるとか…」
「知るか」
ルチアはぐったりしている。
「その…もしかして…オオヤさんが言ってた"アレ"っていうのは…肝試し…?」
一同が私に頷く。
こんなイベントまでやるというのか…
「ペアで行こっか」
「それなら俺とハルカで決まりだろ」
シンが私の肩を抱く。
「んー、決まりきったものなんてつまんないでしょー?ランダムでどうかな」
オオヤが地面にあみだくじを書く。
「最初は黒とハルカちゃんね」
「マジかよ…」
オオヤが辿った線には私と黒。
「じゃあまずみんなで入ろうか」
「え、この建物に入れと?」
ルチアが乱暴に首を振る。
「行かねえよ!」
「まーまー、ロビーまではとりあえず行こうよー」
暗いロビー。
非常口の暗い緑の灯りだけが光。
「「今年のはクオリティヤバイね」」
双子がキョロキョロする。
「今回はセットじゃなくてホントの廃病院にしてみたよ」
「余計なことしやがって…」
ルチアは双子にしっかり掴まっている。
「さ、お二人さん行っておいで」
どうしても行かなければならないだろうか。
「ここはホントにヤバイ」
ルチアが小さな声で私に言う。
「え…?」
「モトハルさんがそう言ってる」
彼女のパーカーのフードからモトハルさんが顔を出す。
「あ、いたんだ…」
「モトハルさんも付いて行きたいってさ」
モトハルさんは私の肩に飛び移る。
「黒と一緒なのが心配だけど、テキトーに行ってすぐ帰って来ればいいから」
「は、はい…」




