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翡翠と李需

私は男だ。

しかし心は乙女である。


出来るものなら女がいい。


整形だって手術だって出来る世の中だ。

でも男であった事実は消せない世の中だ。


そういうもどかしさを抱いていた時だった。


オンラインの世界にやってきたのは。


この世界なら私は女として生きていける。


誰もリアルの私を知り得る術をもたないのだから。


そう、誰も…








「…ヒスイさんって、ネカマだったりします?」







私の目前には片眼鏡。



「な、何言ってんのよ…」

「…いえ、何と無く聞いてみたかっただけです」


リジュはムカつくほどすました顔で隣りを歩いている。

彼は最近知り合った狩り仲間だ。


(コイツを放って置くと危ない…私が男であることがバレかねない…)


私の手元に置いておく必要がある。


「…そうだ」

「どうかしました?」










ギルド近くの小さな洋館風の建物。

扉には"空き旅団部屋"と表示されている。


「旅団でもお作りになるので?」

「ええ」


手続きの最後に旅団名を問われる。


「どうしようかしら…なんか明るい名前にしたいわね」

「ふむ、光とかそういう系ですかね」


(光…フラッシュ…照明…ルクス…)


旅団名を打ち込むと扉が開き、殺風景なエントランスが迎える。


「無理もないですけど、寂しいとこですね」

「いいの、これから豪華にするんだから」


唯一置かれた円卓と粗末な椅子。

それに私は腰を下ろす。


「どうせならホストクラブにしちゃいましょ」

「はぁ…でもこの世界でのイケメンなんて所詮作り物ですよ?」


リジュは呆れている。アバターなのだからいくらでもいいように顔は作れると言いたいのだ。


「リアルで輝けない人達はいっぱいいるわ。その人達が輝く権利があるのがこの世界でしょ」

「…そういう考え方もあるのだとは思いますが…」


なんとなく納得のいかないリジュ。


「もちろんあなたもよ」

「…はい?」


リジュの端末を掠め取ると旅団手続きを行う。


「あなたが"LUX"の団員第一号よ、おめでとー」

「横暴だ…」





今では数多のハンターが噂するほどの有名旅団は、こうして出来上がったのだった。


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