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扉の向こうで待機していたヨタカが部屋に入り、シジラに身構える。

それを一瞥しながらシジラは続ける。


「知らないとは言わせないわ」

「…」


ヒスイが口を開こうとするのをルチアが止める。


「…俺だ」

「え…ルチアさんが…?」


ルチアの周りの空間が歪み、彼女の着ていた赤い正装は黒に染まる。


「あからさまなチートだな」


シジラが端末を開く。

ヒスイがシジラの肩を掴む。


「この子は別に人様に迷惑かけてる訳じゃないでしょ!」

「だとしても許される行為ではないだろう?」


端末から管理局にコールを掛けようとするその腕をヨタカが捻り上げる。


「…」

「っ…貴様…!」


ヨタカはシジラを鷹のように鋭く睨み付ける。


「ヨタカ…離すんだ…」

「だが…」


俯いていたルチアがヨタカを制止する。


「違反をしたのは俺だから」

「るちるち…」


シジラの端末を拾い上げ、渡す。

彼女が再び端末を操作し始める。


「…あの…」

「どうしましたハルカさん?」


ただ見ているだけではダメだ。


「ルチアさんのこと…言わないで下さい…」

「ハルカちゃん…」

「私…ルチアさんに誘われてこのゲームやり始めて…いろんな人と繋がって…大事な人と繋がって…」


この世界に来なかったら。

自分は今までと変わらない生活を送っていたのだろう。

それでも良かったかもしれない。


「でもこの世界に来なかったら出来なかったことばっかりなんです。ルチアさんのおかげなんです」

「…ふぅ…」


シジラは息を吐いた。


「…今回は黙っておくわ」

「…ありがとうございます…」


ルチアが頭を下げる。


「あんまり目立ったことやると次は本当に通報するから。仲間に感謝なさい」


ヒスイがルチアを抱きしめる。

シジラは憮然とした表情のまま私を促して部屋を出て行った。











「おお、シジラ。どうだったのだ?」


外には待ちくたびれたシンとシンザンがいた。


「…とても疲れたわ」


シジラはこめかみを押さえる。


「私、もう行くわね」


返事も待たずに人混みに消えて行く。


「シンザンさんはどうします?」

「小生はノラのところへ行こうと思っている。貴殿らも共に狩りに行かぬか?」

「じゃあ俺達も…」


シンの言葉は途中で遮られた。

旅団の扉が突如開き、そこから出てきた女性にシンが捕まると、扉の中に吸い込まれてしまった。


「なんと…あれはもしやヨモツシコメか…!」

「誰が醜女じゃゴルぁ!」


シンザンの一言によってさっきの女性、ヒスイが鬼女の如き形相で顔を出す。


「ひ、ヒスイさん落ち着いて!」


リジュが鬼女をなだめ、また扉が閉まる。


「…面妖にて候…」

「てか…シンー!」


と思うとまた扉が開き、銀髪の忍が外に放り出される。

彼の首には"代理"と書かれた札が下がっている。


「…宜しく」

「「…」」


仕方なくヨタカを連れて狩りに行ったのだった。


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