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名ばかり皇帝の跡継ぎに転生したけど没落したのでイチから成り上がることにした  作者: ウエス 端
新章

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54/56

054.どっちに行く?

「ぐわあああああーっ!!」

「クソッ、動きが速すぎて……ぎやあああっ!!」

「ぜ、全身がシビれて、うごけ……ん!」


 商館の玄関の奥から悲惨な叫び声というか悲鳴が多数、聞こえてくる。


 今、中に1人で突入しているのはコンラートさん。


 オレたちヴィルヘルム家臣団の団長であり、火と風の2属性持ちで『雷』の魔力覚醒者だ。


 さすがに◯ロゴロの実のように身体を雷そのものにはできないけど、そのエネルギーと一体化して超高速移動と雷撃を放つことができる。


 まあ、他の異世界ではどうかはしらんが、この世界じゃチート能力者だわな。だからこそヴィルヘルムの側近が務まるわけだが。


「タツロウ〜! 余所見してるとは余裕こいてくれるじゃねーか、このタコがっ!」


「おっと。それはさあ、今みたいに余裕でお前の攻撃を避けられるからに決まってんじゃん」


「……テ、テメェ〜! もういっぺん言って……うぐううっ!!」


 挑発にいちいち反応して動きを止めるなんて、お前の方がよっぽど余裕こいてんじゃねーか。


 その瞬間に右手の棒切れでみぞおち目掛けて一突き入れてやると、タコ野郎は腹を両手で押さえながら膝から崩れ落ち、そのままうつ伏せに倒れちまった。


 これでコイツとの決着もついたし、それじゃオレたちも……。


「タ、タツロウ〜、助けて〜!!」


 やや離れたところからアルヌルフの声……まだタコ野郎の配下が残ってたか。


「しゃーねーな! すぐ行くから待ってろ!」


「へっ! その前にコイツだけでも叩きのめして……がはあっ!!」


「大丈夫かよアルヌルフさん」


「あ、ああ。いつも悪いなタツロウ」


「元はオレが突入しようって言い出したことだから気にすんなよ。それよりもロベルトは」


「はあ、はあ。こっちは全員片付けた。もう残ってる奴はいない」


「よっしゃ……それじゃあ、コンラートさんに加勢しに行こうぜ!」


「そ、そうだな」

「ええ〜。でも1人の方が心細いし、仕方がない」


 3人の意見が揃ったところで、いざ玄関から突入! したものの。


「表は片付いたのか? こちらはもう、見てのとおりだ」


「うわっ。スーツ姿で警棒みたいなの持ってる男が何人も……20人近く倒れてる」

「体格とか、表の連中より明らかに強そう……1人でこんな短時間で、相変わらず凄いっす」


 加勢するまでもなかった。まさにあっという間……もうコンラートさんだけで十分じゃないかな。


 それはいいけどちょっと聞きたいことがある。


「ヤバいところ本当に助かりました。ありがとうございます! ところで、どうやってザクツブルクの城門を突破したんですか?」


「普通にヴィルヘルム様が発行した通行証を見せて、だが?」


「いやいや、ブランケンブルクから来た人間は警戒されてるはずです」


「私のは、お前たちと違って正式に『大公への使者』として発行されたものだ。それを通さないというのは有り得んのだよ。まあ、領内に入ってからの身の安全は別問題だが」


「えっ。もしかして1人で来たんですか?」


「私だけ先行してやってきた……この案件、緊急度が高い。お前たちからの報告にあった『ショコラリッツ』ブランドの菓子類大量仕入れの件が特に」


「はあ? なんでそんなのが」


 どうにも不可解な話にツッコもうとしたら、途中で遮られた……指を口元に当て、目で沈黙を強いるコンラートさんによって。


「まだ潜んでいる連中がいる……この奥の倉庫と、2階に」


「マジっすか。商館長はどっちにいるか分かりますか?」


「残念だがそこまでは。ただ、どっちを先にしても挟み撃ちにあう可能性が高い」


「検知トラップですか。厄介だな」


「2階は更に、対魔力結界が元々から施してある。向こうさんは恐らくそれを解除せずに利用しているはず」


「元々……ああ、コンラートさんは当然、ここの構造を知ってるってわけだ」


「全てではないがな。さて、どうするか……」


 しばし思案中のコンラートさん。その結果を待ってもいいのだが、オレは自分の考えをみんなに提案することにした。


「なあロベルト、アルヌルフさん。お前ら、オレとコンラートさんのどっちと一緒にいたい?」


「ま、まさかお前」

「ここから二手に別れようってんじゃ」


「もちろんそのつもりだが」


「いやいや! 4人だけなのにさ、更に分けたらそれぞれの戦力ダウンするだけっしょ!」

「お、おれはできればどちらにも行きたくない」


「そうは言ってもみすみす挟み撃ちされるわけには……それにここまで来て傍観はそれこそ無理だろ」


「ううっ」

「でもどっちと言われても」


「タツロウ。お前はどちらに行くつもりで言っている?」


「2階に行くつもりっす。オレは元々魔力に頼った戦い方してないし」


「なるほど。ならば私が倉庫内を掃討した方が良さそうだ。敵の人数も恐らくそちらが多い」


「決まりっすね。で、お前らは?」


 ここでまたもやロベルトたちは顔を見合わせて二言三言意見を交わす。そんなに悩むことかな。


 そして2人の決断は……。


「……タツロウと一緒に行く」

「コンラートさんの傍にいたら巻き添えくらいそうだし」


 うん、確かにそうだね……それが賢明だと思う。


 方針が決まったところでコンラートさんから作戦開始の号令がかかり、オレたちは覚悟を決める。


「では3人とも、2階は任せた……但し無理はするな。私が掃討し終わるまで時間を稼いでくれればいい」


「了解っす!」

「タツロウ、あくまで時間稼ぎな!」

「これでもう終わってくれ〜!」


 では階段を登ろう。といっても2階は事務室なので申し訳程度の急角度なやつしかないのだが。


 ゆっくりと1段ずつ登って……登りきった。


 結界内に誘い込んで挟み撃ちするつもりなら、階段では襲撃してこないとは踏んでたけど。やっぱりホッとしたというのが本音。


 まもなく1階の奥から悲鳴が聞こえてきた。背後を気にしないで済むというのは本当に心強い。


 部屋割りが分からないからとにかく進むしかないけど、立て籠もるのに丁度良さそうな会議室っぽいところの前でオレたちは立ち止まる。


 そのドアを、バーン! と押し開けると……反応がない。そして中は照明が消えていて窓の明かりも入ってこない。


 暗闇ではないがすぐには中の様子が掴めない。だが確実に人の気配を感じる。


 手探りで部屋の中に入っていく……すると右側から手が伸びてくる!


「オラァーッ!」


「おっと」


 棒切れを振り回して引っ込めさせたが、続けざまに左からも何か接近してくる。


「近づけさせっかよ!」


「フン! 相変わらず勘の良い野郎だ」


 2つの声、どちらも聞き覚えがある。確か……。


「ヨシアスにマティ、だったっけ。お前らフランツを護衛しなくていいのかよ?」


「2年半前、お前に敗れた際にそれは解任された」

「だがよぉ、こんなところでその恨みを晴らせるとはなあ!」


 神学校時代のスキー旅行でのフランツとのイザコザで、オレはヤツの護衛2人と闘うハメになって……勝ちはしたけど非常に苦戦させられた。


 体術使いのヨシアス、そして拳闘術のマティ。


 更に数人、部屋の中で待ち構えている。


 そして最も奥には座敷牢みたいなのが……あそこに商館長がいるらしい。


 さて、どうやってこの状況を切り抜けようかな。




<あとがき>

いつも読んでいただいてありがとうございます

次回更新は4月26日(日)の予定です

よろしくお願いします

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