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新 傷ついた男 3

「………うっほぉ、なっつかしいなまた………。」


俺はすでに木の板で塞がれたゴブリンの巣穴、その横の崖にもたれかかる。


「………はぁ、なっつかしいなぁ、まぁそんな素晴らしい思い出でもないんだがな。」


なんせ俺はあのとき一回死にかけてるからな、うん、楽しいもクソもねぇ。


「………はぁ、じゃあ帰るか………っと。」


俺は自然に横に避けると、バランスを崩したオークが通り過ぎていく。


「………ゴブリンがいなくなったら今度はオークか、まったく、救われないなぁ………。」


俺は剣を抜き………圧倒的な身体能力で肉薄して、盾に一閃、真っ二つになったオークは血を出しながら倒れていく。


「………ん?」


俺は、気がつけば全身が血まみれになっていること知る………。




「馬鹿っ!!入るんじゃない!!」

「おっじゃま〜しまぁ〜す!!」


私が部屋に入ると、予想もしない匂いに困惑する。


「なにこれ?」

「わぁわぁわぁ!!!見るなっ!!見るなぁ!!!」


もう時すでに遅く、コーイチの姿を捉えるが…………何してんの、ヴァンパイアの仮装?


「あぁぁぁぁぁ…………。」

「………私のためにドッキリでも仕掛けようとしてたの………?」

「………もうおしまいかぁ………短い間だったなぁ…………。」

「………ちょっと、しっかりして、ねぇ、私のこと見える!?」

「うぉぉぉ…………はっ、俺は何を。」


コーイチ、やっぱりなんかおかしいよ………。




「………なんだ、オークの血を浴びてきただけだったのね。」

「あぁ………そうだ………。」

「なんか血なまぐさいと思ったのよねぇ………。」

「………しっかし、ヴァンパイアの仮装、ヴァンパイアの仮装かぁ………やっぱり面白いよサンティシナ、お前そんな面白いやつだったんだな。」

「なによっ!!あんまり馬鹿にしていると怒るわよ!!!」


そうだそうだ、そういってコーイチはなにかを取り出す、それはオークの巨大な肉だ。


「オークの肉はうまい、これは知ってるな、たまたま狩って来たんだ、お前ここで飯食ってけよ。」

「ええっ!!いいの………?」

「そりゃもちろん、といっても今回はシンプルにステーキだが………。」




「………うん、肉自体がめっちゃ美味しいし、油乗ってるし、量もある、さいっこうね。」

「オークってゴブリンと違って中々数が少ないしあれで強いから、肉は希少なんだけど………なぁ、サンティシナ。」

「なに?」

「最初にお前がここに来たとき、来るんじゃない、勘弁してくれって言ったよな。」

「そうね。」

「今は違う、というか、お前さ、むしろなんていうかその、毎日、来てくれないか?」


最後のコーイチの声は、とてもか細いこえだった、私はこういった。


「えぇぇぇ〜、コーイチなんか変なこと考えてない?」

「………!!!おまっ、そんなわけ無いだろ、だいたいなぁこの家に押しかけてきたのはお前だろ!!」




「………あぁ、甘々すぎる〜!!」

「すぎる〜!!」

「ぶっ飛ばすわよ。」


そういつもの応酬を繰り返しながら私は仕事を続ける、全く全く、こいつらと来たらどいつもこいつも馬鹿ばっか…………。


「………あの。」

「ぶっ飛ばすわよ!!!」

「すみませぇぇぇぇん!!でも、でもぉ!!受付サンティシナさんの番じゃないですかぁ!!私30分も放置されてたんですよぉ〜!!!」

「………あ。」




「………私、なんかいろいろ調子が狂ってるわね、はぁ行けない行けない、あの馬鹿後輩のペースに飲まれてしまう。」

「………サンティシナさん?」

「はい!なんでしょうか………カーラスくん?」

「わぁ、やっぱサンティシナさんじゃないですか!!」

「カーラスくん!!やったやったついに戻ってきたのね!!」

「そうなんですよ、見てくださいよ、俺ここでBランク昇格試験受けるつもりなんですよ、いやぁ魔力操作覚えるのめっちゃきっつくてもう何年も失踪状態で!!」

「そんなこと言ってる場合じゃないの、カーラス大変なのよ、なんていうか、コーイチの様子がなんかおかしいのよ!!」

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!コーイチさん帰って来てたんですかぁぁ!!!!」

「ちょっとカーラス、まってまって落ち着いてよっ!!」


そう隣の法衣をまとった女の人がカウンターに食いつくカーラスを引き剥がす。


………この人、だれ?




「………コーイチさんが、そうですか、そんな風になってたんですか。」

「………。」


コーイチの名を聞くと、なぜか隣の女の人………リサさんは顔をそむける。


「………まぁ、あのときは大変でしたからね、クラーストキアではとんでもない大事件が起きて、Aランク冒険者の死者が出るわコーイチさんなんか昏睡状態だわ大変だったんですよ?俺なんて、コーイチさんを逃がすために必死に背負って走り回ってたんですよ。」

「………教えて頂戴、コーイチには何があったの………?」

「………う〜ん、でもコーイチさん黙ってるんでしょ、どうしようかなぁ………なんか悪いなぁ………。」


カーラスはしばらく黙ったあと、事の次第を話してくれた………。




まさか、まさか、あのコーイチがあんな大変な目に合ってたなんて、どうりであんな暗い様子だったわけだわ、トラウマの1つ2つ抱えたってしょうがないもの。


私はコーイチの家に今日もやってきた。


「………はいっていい〜!!」

「いいよ………なんだサンティシナ、今日は、なんか雰囲気が、その………。」

「コーイチ、あのさぁ………。」




「行きつけのお店があるの、いってみない?」

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