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新 傷ついた男 1

これだ、この森だ。


この森の木々には見覚えがある、そりゃそうだ、昔あれほどここに入ったんだ、覚えてるに決まってるさ。


その森を抜けると、今度は木が1つもない大平原、本当に何もなくて、だからあの街の城壁もよく見える。


「………あなたは?」

「へっ?あぁ、冒険者ですよ、ここは俺の故郷みたいなもんで、これから帰るところだったんですよ。」

「そうですか………。」


後ろから追いついてきた旅人は俺に向かって話しかけてくる。


「なるほど、私と目的地は同じようですね………でも、きっと素晴らしいところなんでしょう。」

「なんでわかるんですか?」

「わかりますよ、あなたの顔を見ればそれくらい、私はこれでもあなたよりずっとずっと旅をしてきた自信がありますからね、あなたのことは、全部わかってますよ、まぁ、せいぜい気張ることです。」


そういうとその旅人は肩を叩くと先に行きますよと追い越していく、ずいぶん急いでいるんだな………。


「………ありゃりゃ、これはわかっちゃうわけだよまったく。」


俺は、顔に流れる涙をハンカチでふくと再び歩き始める。




〜冒険者ギルド:事務室〜


「………サンティシナさん、この書類どうすればいいですかね………。」

「えぇ?前に教えてあげたじゃない、ほら、こうするのよ………。」


私は後輩のものわかりの悪さにうんざりするが、仕方のないことではある、まだまだ彼女たちは子供と言っていい年齢だ、生まれた場所によっては学校に通っていたかも知れない。


「サンティシナさん、魔物の肉ってどうするんですか、なんかこの秤にのせてなんちゃらかんちゃら………。」

「サンティシナさ〜ん、言いにくいんですけどこの仕事まだ終わってなくて………。」

「助けてぇ〜!!」


「もうっ!!どんと来なさい!!………はぁ、サーラさんなんで私なんかにこんな役回り任せるかなぁ。」


私が入ったときにはすでに受付嬢のリーダーとして働いていたサーラ先輩。


一年前彼女に神聖帝国にある冒険者ギルド本部に転勤命令が下った。


神聖帝国の冒険者ギルド本部は、この大陸中の冒険者ギルドから送り、送られる膨大な量の情報量、日々様々な用事でやってくる冒険者の処理、扱う情報の機密性、とても下手な人間には任せられないハードな場所だ。


だがら百年も前に本部では新人の育成をやめ、地方の冒険者ギルドで予め経験を積んだ人間を高待遇でこさせるようになった。


サーラさんは18歳から入り、転勤したときには15年の超大ベテラン、そして仕事の成績も超完璧、彼女は私と比べれば給料なんて桁が違うレベルの高待遇で迎えられ、彼女もだまってそれに従った。


『あとは頼んだわよサンティシナさん。』

『一体何の話ですか………?』

『決まってるでしょ、私の代わりを誰がすると思ってるの、あなたに決まってるじゃない。』


サーラさんは私の肩を両手でつかみダメ押しにこういう。


『ここのギルドの後輩、めっちゃでき悪いの知ってるよね、頑張ってね。』




は、ハメられた!!ハメられた私!!!


気がついたらすべての事務仕事が完了しており、私がサーラさんの後釜に座るのはもはや確定事項となっていた。


「………はっ、行けない行けない、仕事に戻らないと………。」

「あの……、サーラさん、ちょっと困ったことがあって………受付カウンターにでてきてくれないですかぁ………!!」

「はぁ………?もう、私自身の仕事もあるんだから本当にやめてよねそういうの。」


まったく、子供か!子供だったわ。


「………大変お待たせいたしました、どのようなご要件でしょうか?」

「あぁ、実は賞金首を捕まえてな、ちょっと“証明"について確認してほしいんだが。」

「あぁ………。」


賞金首の換金に関する作業、あぁ、そういえば教えるの忘れてたわ、これは私の落ち度ね………しっかし、こんな平和な街に賞金首って、一体どういう………。


「………あれ?」

「あれ?」

「いや、知り合いに似てたというか、なんというか……あれ?お前、あれ?」

「………あ………コーイチぃぃ!!!?コーイチじゃない!!!あんたねぇ!!!」


「5年間もどこほっつき歩いてたのよ!!」




「………あ〜あ、これは、本当に私以外はできないわね。」

「お前平気なのか。」

「ダイジョブダイジョブ任せなさいってほら。」


私が生首の入った袋を背負うとコーイチは………何よその目!!まるでこっちが変人か何かみたいじゃない!!


「いや………平気なんだ。」

「生首くらい、この仕事についてれば一回くらいは見てるわよそりゃ。」

「………。」


私が中にそれを持っていくと異様な死臭で皆が私を振り向く。


「いいあなた、これをとりあえず解体場においてきて、これを事務所や素材のところに置くことはできないからとりあえずよ、あと!絶対に中は見ないこと!!」

「は………はい………。」


後輩達は青ざめた目でその革袋を運んでいく。


「で………あったあった、スカットレー………なるほど、魔力も一致したし、人相書きも一致してる、間違いないみたいね。」

「あぁ。」

「………金貨、百枚、百枚………百枚!!?」


私はその途方もない金額に思わず叫んでしまう、なによの金額、だれだか知らないけど、コーイチなんてもの持ってきてんのよ!!


「………あっ、ギルドマスター………。」

「初対面だったか?」

「いや、ゴブリン戦のとき………いやまぁほとんどあってないようなもんですね、一体何のようですか?」

「クラーストキアでの活躍は聞いている、お前とと一度話したいと思ったんでな。」

「………その話は、また今度でいいですか?」

「うん???いや、まぁいいが………。」


ギルドマスターは首をひねりながら執務室に帰っていき、コーイチも冒険者ギルドを出ていく。


「………あの、コーイチはクラーストキアで何をしたんですか?」

「サンティシナか、コーイチはクラーストキアで素晴らしい功績をおさめ、いまではBランク冒険者として働いている。」

「びぃらんくぅ!!!?」

「そうだ、もっとも実力だけならAランク相応だがな、あまり詳しくは知らないんだ、だからこそ一度聞いてみようと思っていたんだが…………。」


ギルドマスターは首をひねってさっていく。


「………先輩、さっきのひと、友人ですか、それとも、恋人ですか?」

「馬鹿言ってないでさっさと戻りなさい!」

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