勇者達の迷宮探索2
Dランクの魔物である大グモを、いともあっさり倒した勇者はそのまま30階層に到達した。
「ずいぶんやりますね………。」
「あぁ、異世界人とはみんなあんなに強いのか………?」
「………いや、むしろ魔法が使えず、魔力もないせいで戦闘力皆無なんですけど…………やはり何かしらのチートを授かっているのか………?」
まぁ、自分もそれなりに成長は早かったが、勇者達の成長速度は本当にありえない。
自分、Cランクになるまでに数年浸かったんだぞ?冗談じゃない。
「………それより、そろそろいい時間だ、外は夜になってる頃だろう、テントをはるぞ、野宿だ。」
「了解っ!!」
「………うまいっ!!」
そう我先にスープを注いで食べ始めた和也が叫ぶ。
「もう、図々しいよ。」
「知らないよ、こっちは腹が減りすぎて死にそうなんだよ。」
「………。」
俺とリューゼさんはそれを黙ってみている。
「………!!!!」
俺はとっさに中級シールドを張った、しかし、その攻撃はシールドを貫き、スープを少し離れたところで食べていた健に直撃したのだった。
「おいっ!!」
「大丈夫かっ!!」
「大丈夫!!?」
そう和也と浩二、恵美が駆け寄る中、俺はある一点をじっと見つめていた。
ここで出てくる魔物では、シールドを破壊する火力を捻り出すことなど不可能だ、なんだ、何が起きている。
「リューゼさん、自分が先行します、リューゼさんはここから支援を。」
「分かった………。」
俺は剣を取り上げる。
手に持っているものを下におく、まずは清掃だ。
さっ、さっと棒を引き抜くと、また差し込んで引き抜いてを繰り返す。
それが終わればポケットから紙に包まれたものを取り出して、紙切れを指で破った。
ポロポロと出てくるものはボロポロと入っていく。
これだけでは下に傾けたときこぼれてしまうので、先程の棒で奥の奥まで押し込めば、終わりだ。
ここまでの作業を、私も、部下も、全員が20秒から15秒でおわすことができる、俺達には、こんな特技しかない、だから、必死に磨いてきたのだ。
「構えっ!!!撃てっ!!!!」
バパパパン……………。
銃火が、一斉に火を吹いた。
「くそっ!!」
俺は上級シールドで攻撃をすべて弾く。
「メガウォーター・カッター!!!」
俺は水流のレーザーで暗闇を薙ぎ払った。
レーザーの先で、人影がチラチラと舞っている。
「ワープ魔法。」
俺は瞬間的に次元を飛び越えれば、目の前で目を見開いて驚いている男がいた。
「ハァっ!!!」
俺が振り下ろした剣を男は手に持っているなにかで受け止めるが、力の差がありすぎて吹き飛んでいく。
と、俺はその男の持つものに息を呑む。
「銃!!?」
「なっ、なぜ知って………!!!」
現代のような全金属製ではなく、ほとんど木でできている。
俺は好奇心がうずいて男の銃を奪ってみることを考えたが、戦闘中にそんな余裕はなかなかない。
「撃てぇ!!!」
パパパパパン………。
かん高い弾けた音が意外にもすうっと耳を抜けていく。
「ワープ魔法で避けたほうがいいか。」
その場合だと相手が撃つタイミングをちゃんと予測しないと間に合わずに風穴が空くことになる、が、それくらいの芸当、何年もやってればできるもんだ。
俺は早く決着をつけてしまうために秘策を出す。
「ギガファイヤ・ミスト!!!」
巨大な火球が、あっという間に蒸散して、草原全体を飲み込んでいく。
阿鼻叫喚の嵐が湧くが、なんとか生きていることを願うしかない。
「はぁぁぁ!!!」
俺はその中をさっと斬り込んでいく。
「あれは、私が援護するまでもないな。」
「おおぉぉぉ…………。」
俺達はその戦いを黙ってみていた。
「すごい、流石にBランク………いたっ。」
「おい、お前は休んどけよ。」
そう言われて俺は立ち上がるのをやめて、座り込みながら見ている。
先程からもう三回、ギガ系統の魔法らしきものを連発し、ここすらも明るくなるほどの光量が草原を照らす。
その上ワープ魔法でビュンビュン飛び回るのが見えていた。
「すげぇ………。」
その時、和也の目がその光景をじっくりと、玉視していた。




