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勇者達の迷宮探索1

「え〜と………こちらが今回の迷宮探索に同行してもらう、Bランク冒険者のコー………。」

「コーラスです!!」

「合唱?」

「違うわっ!!」


さて、俺がこんな事になっている理由を説明するにはほんの少し時間を遡らなければならない。



「リューゼさん、私が君を呼んだのは他でもない、この男について聞きたいからです。」


そう言ってゲレッタは一枚の紙を取り出す、それはある男の精巧な似顔絵で、無論、俺のことだ。


「なっ………。」

「コソコソスパイじみたことはやらないでいただきたいものですね。」

「いや………自分は」

「いいじゃないですか。」

「?」

「この男を連れてきてください、見たところずいぶんと優秀な方のようだ、しかも迷宮に長い間潜っていた実績もある、剣術指導………というよりは戦闘の具体的な指導にちょうどいいじゃないですか。」

「はぁ………?」

「彼らについて、知ることのできるいい機会ではありませんか、そう彼に伝えておいてください。」



カーラスくん、ごめん、君の名前をちょっと貸してもらうよ。


「………。」


勇者達は困惑している、当然だ、自分はいまお面をかぶっていてその顔は見えない、別段派手だったり、不気味だったりするわけではないがお面を白昼堂々被っているだけで十分変態的である。


「さて、リューゼさん、これから行く迷宮というのはどこでしょうか、自分はちょっと聞いていないのですが………。」

「あぁ、聖都から50kmほど離れたカルバック迷宮だ、冒険者さんならもうとっくに足を運んでいるのかと。」

「いやぁ、ここら一帯は魔物がいないとか聞いていたんで………。」



「あの人………。」

「うん、わかってる、なんだよあの仮面。」

「うん………。」


そうささやきながら自分たちは馬車の中に入っていく。


しばらくするとガラガラと音を鳴らしながら動き始め、自分たちは初めて馬車に乗れたことに感動していた。


軽く走っている人間くらいの速度で動く馬車、聖都のきらびやかな町並みが過ぎ去っていく。



迷宮の入り口は、城壁と城門でクラーストキアと同じように閉ざされている。


「よし、入るぞ。」


中に入ればところどころ骨や、死骸が転がっていて、嫌に匂ってくる。


「な、なんだよ………。」


腐ったゴブリンの死体を見て顔が青ざめる勇者組だが、こういう事にもなれなければならないだろうな、見たところ中学生、あるいは高校生くらいの年齢なのに。



「ここが第1階層だ、そうだな………おおよそ迷宮型の階層だな。」

「迷宮型って、これが普通じゃないんですか?」

「驚くなよ、第1階層はこんな石造りの通路だが、空が見える大平原とかもある。」

「マジか。」



「リューゼさん、そういえばスリューシャさんは来てないんですか。」

「ん?あぁ、来てないぞ。」

「そうですか………。」


まえに自分を襲撃してきた暗殺者、前も中々厄介だったが、真正面から戦ってみれば何ということもなかった。


だが、やつは違う、あいつは何を見たって勝てる要素が一つもなく、正直スリューシャさん無しではまず負ける。


それとも、流石に迷宮内まで殴り込みはかけてこないだろうか?


………しかし、勇者組の実力は、果たしてどれくらいか、俺はチラッと彼らを見やる。



目の前に現れた敵をまえに俺達は剣を抜く。


「ええと、なんだっけあれ?」

「ゴブリンだよ。」


首をひねる和也に俺が教えてやる。


「戦闘体制に入れ!!気を引き締めろ!ゴブリンだからって油断すると足元を救われるかもしれないぞ!!」

「「「「はいっ!!!」」」」


ゴブリンの数は5匹、割と多いな、こっちを見つけ次第全力で向かってきている。


「メグミ、やれ。」

「はっ、はいっ!!」


恵美が手を掲げて、必死に念じれば炎の玉が構築されていく。


「ファイヤボールっ!!」


火の玉は、ビュワッと飛んでいって、端の一体に見事命中する。


ギャッと悲鳴を上げ倒れるゴブリン、炎は当たってすぐかき消えるが、その皮膚には大きく黒く焼け焦げた火傷の跡がある。


「行くぞっ!!」


和也と浩二が走り出す、相変わらず凄まじい速度だ、あっという間すらなく接近した彼らは武器も抜いていないゴブリンをそのまま剣で薙ぎ払った。


「じゃあ、俺はこうだっ!!」


炎の魔法を剣に纏わせ、威力を上げる。


和也や浩二ほどではないにせよかなりのスピードで走った自分はゴブリンに肉薄し、ザシュッ!!とたたっ斬る。


ゴブリンは真っ二つになり、その切れ目の皮膚は炭化して焼けただれている。


「うっ………。」


その傷口に俺は思わず顔をしかめるが、ゴブリンは青い粒子となってあっという間に消えてしまう。


「これで片付いたな。」


見れば、もうゴブリンはすべて倒され、青い粒子だけが宙を待っている。


「中々やるな。」


そう仮面の冒険者のコーラスさんが言ってくれる。


「あったり前だよ、この日の為にめちゃめちゃ訓練してきたんだからな!!」



俺はそう話す和也をみやりながら戦闘結果を分析する。


ゴブリンとはいえ、初めてにもかかわらず全くの反撃もさせず倒すとは、凄まじい奴らだな、おそらくだが、すでにD、いや、Cは行っているのではないだろうか。


「………ただなぁ。」


いい事なのかもしれないが………ゴブリンを、全くの躊躇なく倒したな。


おまけに真っ二つになったり、大火傷したりしても物怖じすることがなかった、まぁ、いいことには違いないのだろうが………。

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