不意打ちの不意打ち
林の奥から無数の鎖がうなりを上げて飛んでくる、それは自分達のいるクレーターになだれ込んで、すべての空間を薙ぎ払っていく、スリューシャは避けるがそれだけでは終わらない。
「鎖ってのは便利なもんさ、持ち運びも簡単だし、鞭として使えるし、相手を縛り上げられる、だが、俺はそこにさらに新しい使い方を加えようと思う。」
鎖はまるでクモの巣のように空間に張り巡らされ、やがて止まる、スリューシャの周りにはまともに避ける空間がない。
「障害物さ、どうだ、こんな中どうやって避けるんだよっ!!おいっ!!」
やつは鎖を飛ばす、それはたったの一本で、大して早くもないが、それでもスリューシャは間一髪で避けざる負えない、周囲の蜘蛛の巣のような鎖を掻い潜りながら避けなければならないからだ。
「何本まで行けるんだよ、そぉれ2本だ!!」
鎖はやつの手から2本同時に伸びていく。
「むぅ!!」
それを躱す、躱す。
3本、4本、鎖は増える。
「ふんっ!!」
スリューシャはついにシールドを行使してそれを受け止めざる負えなくなった。
「7本までは、耐えきれたか、なら、決めるぜ、奥義ってやつをな!!!」
クモの巣のように周囲に貼られた鎖が再び動き出す、それらはやがて、スリューシャに向かって収縮していき………。
周囲に貼られたシールドと、鎖がギリギリと拮抗を始める。
お互い、動かずに睨み合いながら。
「………今じゃっ、やれっ!!」
「なっ………!?」
「まさか、ワープ魔法が使えるとは思わなかった、リューゼさんの鎖と違って普通の鉄で出来てるんだな。」
「なるほどな、途中から余裕そうな顔をしていたと思えば、そんなことじゃったか。」
そう、この鎖は普通の鎖だ、魔法を封じるようにはできていない、ワープ魔法で簡単に抜け出せた。
「しまった………!!」
俺はやつとギリギリと組み合っている、この体格でなんて力だ。
「ギガウォーター・カッターッ!!!」
その時、極大の水のレーザーが奴のいた場所を薙ぎ払う、リューゼさんの援護だ。
「………ぐはっ!!」
圧倒的な水流の波におされ、奥の木の一本に激突する。
しかし、奴がピクリと動くと、次の瞬間には袖から鎖が飛び出して、俺達に襲いかかる。
「フンッ!!!」
それを身体強化をフルに発揮して、俺は剣で弾き飛ばす。
「なんだとっ!!」
「ハァァッ!!!」
スリューシャさんがトドメとばかりに巨大な土の塊を放り投げ、やつを粉砕する。
「ぐはぁっ!!?」
土煙が舞い上がる。
「………奴め、消えたか。」
スリューシャさんがそう呟く、煙を払って近づくか、何も残っていない。
「スリューシャさん、ちょっと待ってください。」
俺は懐から取り出した煙玉を取り出し、すべて四方に放り投げる、たちまち煙幕が周囲を覆い、何も見えなくなる。
「これで魔力を撒き散らせば相手もこちらを探知するのは不可能です!!そうなればお互いでたらめにあたりを吹き飛ばすしかないっ!!スリューシャさんっ!!やってください!!」
「わかった!!」
すぐそばをビュン、ビュンと鎖が唸りをあげとおっていくのがわかる、だが、それでも自分は走り続ける、ここで止まったらもっと悲惨なことが待っている。
「ーー!!サン・フレアーーー!!!!」
刹那、とてつもない熱風が背中を猛烈に焼いてくる。
何もかも一切がっさい吹き飛んで、更地になっていく中、俺はかろうじて一緒に逃げてきたリューゼさんと合流する。
「………師匠はっ!!」
「わかりませんっ!!」
煙が晴れれば、無傷のスリューシャさんがクレーターの中心に立っている。
「どうなりましたかっ!!」
「………!!!まずいっ!!早く逃げろっ!!」
俺はとっさに飛び退こうとするが、壁に思いっきり、思いっきりぶち当たってしまう。
「あいたぁっ!!?」
「閉じ込められたのじゃ………おそらく3分はこのままじゃ、いくらでもやつはにげられるじゃろう。」
「じゃあ、ワープ魔法で………!!」
「それもない、もう試したわい、流石に二度も同じくつわは踏まないと。」
なるほど、使おうとすればなにかに妨害されて無効にされる、おそらく、リューゼさんの鎖と同じ方法だ。
「………最後の最後まで、ずる賢いやつだった………。」
俺は思わず、へたりと座り込む。




