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過去からの不意打ち

「いやぁ、来ました来ました待ってましたとも!!」

「これから護衛を勤めるコーイチです、よろしくお願いします!!」


俺はそう挨拶をすると商人はさあ乗ったと手招きする。



旅路は非常にのどかなものだった。


世界最強の帝国の聖都周辺といえど東京のようにどこまでも建物が続いているなんてことはなく平原が続く。


都会の景色に慣れていた自分は奇妙に癒やされる。


「良かったよ、依頼主は金を弾む分どんな時であろうと管理の徹底をしないといけないからね、腕のいい冒険者だけは自分がどれほど努力しても簡単に手に入らないからね。」


俺はそれを黙って聞いている。


なんとなく頑張らないとなと思いながら。



目の前にはたくさんの部下が立っている。


自分の説明を聞くためにだ。


「まず、暗殺に当たり一つだけ問題がある、片道の移動できっかり1日使い、野宿はせず町と聖都で宿を取る、聖都はともかく町で暗殺を決行することは可能だ、だがせっかくの状況有利をなにも無為にしなくてもいいだろう、だから俺だったらこうする。」



異常が起こったのは依頼開始から1週間


「くそっ。」

「どうしたんですか?」


俺がそう言って駆け寄ると、馬が倒れ込んでしまっている。


「なっ………。」

「調子がずっと悪いんだ、どうすればいい、大事な商売道具なんだよ。」


俺は馬の体をよくよく調べる、病気などの異常を見つけるためだったが、別のものを見つけてしまった。


体に刺さっている針を引き抜く。


「………やられた。」

「毒………!!?」

「誰がやったかは知りませんが、嵌められましたね。」


俺が空を仰げば、もうすでに太陽は正午を過ぎようとしている、あと道のりは20km、デコボコ道が続いている事を考えると聖都まで歩くのは難しい。


「馬の調子は。」

「駄目です、生きてはいますが、呼吸を荒くして立ち上がろうとしません。」

「………できれば動いたほうがいいのですが、どうしますか。」

「そ、それは………。」


まあ、気持ちはわかる、まだ生きている馬をはい捨てましょうとはならないし運んでいる積み荷を捨てるわけにも行かない。


「………自分が明日走って救助を頼みます、今日は野宿しましょう。」



「まったく、誰がこんなことをしてくれたんだ………。」

「馬の様子は。」

「だめですね、落ち着きはしましたが、まだまだ立ち上がれませんね。」


俺はそれを聞くと立ち上がる。


今夜は寝ずの晩だ、俺は周囲を真剣に見張る、こんなことをされる以上、どこかから襲撃されるのは間違いなかった。



「では、マスターお一人で?」

「お前らは下準備で十分働いた、あとは足手まといだ、俺がやる。」


そう言って俺はアジトを飛び出していく。


道に出ると、真っ先に荒れ地の中に突入し走り出す、当たり前だが、バレずに移動する為に必要なことだ、当然光の調節による透明化と魔力の隠蔽も忘れはしない。


そうして俺は遠くに明かりを発見する。


間違いない、やつの馬車だ。


商人は寝ているのか、馬車の中に反応がある、そして、剣を下げたあからさまな冒険者風の男………ターゲットだ。


罠の類は見当たらないし、探知魔法も問題ないレベルだ。


「さて………行くか。」


俺はそう呟くとおもむろに腰をかがめ………次の瞬間には宙を待っていた。



「………!!?」


背中をゾワッと悪寒が駆け抜けた次の瞬間、俺の首に何かが絡みつく。


「ぐあっ。」


俺は叫ぶこともできず、もがくが、駄目だ、まるで動かない。


落ち着け、俺にはワープ魔法がある!!


「………でき………ないっ………!!?」


この鎖、魔法を封じる力があるのかっ!!?


俺はとっさにポケットからいつもの煙玉を取り出すと叩きつける。


わずかに爆発音で怯んだすきに逃げることに成功する。


「………消えた。」


煙で見えなくなるのは俺も同じだ、あいも変わらず魔力反応もない。


だが、暗殺者は逃げていなかった。


俺は首を駆け抜ける悪寒に素直に従いさあっと下に伏せれば、その上を鎖が突き抜ける。


「馬鹿なっ!!」


俺はその方向を見るが何も見えない。


「煙玉!!」


煙で視界を塞ぐことで対策しようとしても鎖はまたしても煙を突き抜け、今度は自分の胴体に当たる。


その瞬間俺は衝撃でぶっ倒れた、あたった箇所を触れば、鎧がひしゃげている。


「冗談だろ………!!」


だが、相変わらず見えない、なにもだ。


「………くそっ、最終手段っ!!」


俺は馬車の中で騒ぎを聞いて起き出した商人

を引きずり出し、ワープ魔法で何kmか先へ飛ぶ。



「………くそっ、ワープで逃げたか。」


手数の多い人間は対処に困る、ワープ魔法でワープした先を割り出すような都合のいい魔法は存在しない。


「探知魔法にも引っかからないとは、やつの腕を考えると、単純に、相当飛んだということだろう………。」


くそ、一瞬気が緩んだのは確かだ、しかし普通の人間ではあんな一瞬も一瞬、つけるわけが無い。


「まぁいい、仕切り直すさ。」


そう言って俺はやつが置いていった馬車の始末を何とかする。



「馬鹿な………。」


やつの武器を見て、思い浮かばないはずがない。


鎖、そして暗殺者。


当然、俺の脳裏にはある死んだはずの男の姿が浮かんでいた。

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