リューゼとの再会
「魔物がいない………!?」
「はい、聖都周辺の魔物は100年前完全に根絶されており、現在は雑用依頼や、あとは………盗賊退治とかですか。」
「遠慮しておきます………。」
まさか、いくら世界最強の帝国の首都とはいえ魔物が存在しないなんて初めてだ。
だが、迷宮でもない限り湯水のごとく湧き出てくるというのはあり得るはずがなく、仕方のないことではある。
「さて、これからどうするか………。」
仕事を失った俺だが、地味に金が山ほどあるのが救いか。
「この際………本格的にも休養を取るか、ハワイにでも来た気分でのんびり暮らそう………。」
俺は下宿に戻る中、サンティシナがいつものように疲れて帰ってくるんだろうなと思い、俺はたまには料理するかと近くのお店に入っていく。
「はぁ………暖かいって最高。」
「いままで冷たくなったサンドイッチくらいしか食べてないもんな………。」
「はぁ、ほんとギルド忙しすぎ、村で農作業手伝ったあとくらいの疲労がもう毎日毎日………。」
「………。」
ありがとねと言って、サンティシナはかえって行こうとする。
「………おまえ、休日ないのか?」
「えっ?あぁ、あるわよあと3日後に。」
「なんならここの観光名所でも一緒にめぐろうか?」
「無理、ヤダ、歩きたくない、私は引きこもるわ………。」
「そうか………。」
コンコン。
そうドアをノックする音が聞こえたので、俺はそっちに歩いていく。
「誰だ………?」
俺は立てかけてある剣を念の為持つ、前に暗殺騒ぎがあったばかりだし、この中世世界で真っ暗になる夜中に訪ねてくる人間なんて不可解だ。
「………誰ですか?」
「私だ、開けてほしい。」
そう言われた俺は、迷うことなく扉を開ける、なぜならその声は聞き間違いなんてありえない、確かに自分の知人の声だったからだ。
「リューゼさん………!?」
「リューゼさんのところにはそのうち行こうと思ってたんですが………まさかそっちの方から来てくれるなんて。」
「いや、自分もまさかお前がこんなところに来ているなんて知らなかったからな、それを知ったときは心臓が飛び跳ねるところだったよ、それよりも、今回来たのは他でもない、自分が務める学園に、奇妙な奴らがやってきたんだが………そいつらの顔つきが、」
「お前にそっくりなんだよ。」
「はぁ………??」
いや、自分にそっくりって、どういうことだ?瓜二つってことか?
その疑問を口に出すと、リューゼさんは、
「違う、わかるだろ、ドワーフにはドワーフの顔つき、エルフにはエルフの顔つき、人間には人間の顔つきっていうふうに種族によって顔つきが違うだろ、そういうところが似てるんだよ。」
「………いや、それだけは絶対にありえない、馬鹿な………。」
自分と同じって、日本人って事だぞ………?
いるというのか、自分と同じ転移者が。
「しかもだ、彼らが学園に出張ってきたとき、なんと帝国の魔法大臣が一緒に来たんだ、あまり首を突っ込むと、切られそうで不安ではある、とはいえ、なにか知ってることはないのか?」
「………たしかコーイチってさ、遭難してこっちに流れ着いたんだよね、しかも言葉と最初は全く喋れなくて、私が教えてあげたから問題なくなってるけどさ。」
そうサンティシナが余計なことをバラすが、リューゼさんはそれに対してそうなのか?と聞いてくる。
「まぁ、そうです、自分は遠い異国の出身で、いろいろあってこっちに来て………。」
「………まぁいい、今聞きたいのは彼らについて何か知らないかということだ。」
「………見ないとなんとも言えません、しかし、彼らはもしかしたら自分の同郷かもしれません。」
それに。
魔法大臣という国のお偉いさんが絡んでるところで自分はピンときた。
ライトノベルでありがちな勇者召喚、異世界に高校生やら何やらが呼ばれて、チート能力を授かってと、ここ数年で磨かれに磨かれたラノベの伝統芸能である、使い古されたとも言えるが。
他に国の偉い人間がいきなり絡むような展開が、今のところこれしか思いつかない、いや、その人間が何年も前からここにいたのなら別だが、国の人間を巻き込んでまで学園に入る理由は一体何だ?
「それ以外になにかわかることは?」
「………この世界って、勇者とか、英雄とか言われる人間っていますか………?」
「なんだそりゃ?まぁ、いることはいる、師匠なら直に見ていると思うが、210年前の魔王出現で剣帝ギレオンとか、ダグニエルとか、いろんな大英雄が生まれたし、1000年前の大厄災を防いだ魔術師が勇者の称号をときの皇帝にもらっていたり………。」
「………ちょっと考えさせていただきます、返事はそれからということでお願いします。」




