表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/120

その頃

「へぇ、誰も殺さずに済んだのね、やるようになったじゃない。」

「まあな。」


俺はそう言うと、ソファにどっかりと座る。


「これで、満足なのかな?」

「なわけあるか、まだまだだよ。」


俺はそういって椅子に座る。


だが………、これで、もう誰かを殺して後悔するようなことはない。


「まぁ、これであいつらも牢屋にブチ込めたし、一件落着………でもないんだな、そもそも俺はなんで襲われることになったのか、それが未だにわからない。」

「捕まえた人はそれについて喋ったんじゃないの?」

「いや、何をされようと口を割らなかったらしい。」


そう、俺はなんで狙われることになったのか、それがわからない、だいたい、新しい暗殺者が来ないとも限らない。


「どうなる事やら………。」


俺はそう言ってため息をつく。



暗殺者視点


「………やつは、どうしてるかな。」


俺は一人そうつぶやく。


俺は失敗したが、ボスは相当お怒りの様子だった、おそらく、俺では終わるまい。


「………しかし、俺より上となると、もう組織にはあの御方しか残っていないはず、どうなる事やら………それを見れないのが残念だ。」


俺の独房に送られてきた紙の包み、その中には薬が入っている。


「ここで、死ねというのか。」 


俺はその薬を素直に飲み干す、これはせめてもの恩赦だ、ここで飲み下さなければ、組織はもはや死ぬことすら許されない地獄の苦しみを俺に与えるだろう………。



コーイチ視点


「さて、ここでの生活も長いわけだが………どうしようか………。」


長い、というか具体的には5ヶ月ほどである。


「どこ行こうか………そういえば神国には言ってないんだよな。」


神国とは、この大陸の四方の4属神、それと中央の創造神を崇める国である。


なにせこの世界のすべての人間が例外なくその宗教のどれかを信仰しており、国力もとてつもないものである。


一度でいいから見てみたいものだが………。


「さて、どうするか。」


俺はじっくりその事を考えていた。



三人称視点


「………トオサン。」


それは、突然そうつぶやいた。


もう何年もその場を動くことはなく、体にはツタが絡みついている、水も、食べ物も口にすることのないそれは、人間にしか見えなかったが明らかに人間ではなかった。


彼は途方に暮れていた。


彼の探す人間は、もはやどこにも存在しないことがわかっていたからだ。


「………トオサン………!!?グルルルルルゥ、ぎぃ、ギャアァアァァォア!!!」


そう突然彼は叫ぶと、体から無数のものが生えていく。


ゴブリンの頭からワイバーンの頭が。


ゴーレムの腕からドラゴンの腕が。


どこまでも肥大化していくそれは、やがて成長を止めて、だんだんもとに戻っていく。


「………。」


少年はその場にへたり込み、前をぼっ〜と見つめている。


「…………。」


「…………。」


「…………!?」


その時だった、彼の目の前に、さっと一匹のドラゴンがおどり出てきたのだ。


「………クゥ?」


それも、成長したドラゴンではない、まだ数カ月も立ってないであろう幼竜だった。


「………。」


「クゥ、クゥ。」


そのドラゴンは少年をゆさゆさと揺すったり、触ったり、引っ掻いたり、かんだり、とにかくあらゆる事をする。


「………。」


その時、少年の体から何かが猛然と生え出ていて、驚いた幼竜はひっくり返ってしまう。


「………グルルァァァァ!!!!!」


少年の背中から明らかにアンバランスなドラゴンの首が、そう吠える。


「クルゥ、クルゥ………。」


そう幼竜は怯えるが、次の瞬間には、そのドラゴンに顔を舐められた。


「クゥ!!?」


明らかに訳のわからない様子ではある、しかしドラゴンは顔を舐めるのをやめず、やがてその首に幼竜は寄り添うようになった。


「………。」


それを見ていた少年の目に、わずかに光が灯った、そんなふうに見えた………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ