収束
「まったく、来てやったと思えば、もう魔物が壊滅しかけではないか、こんな事ならくる必要はなかったかもしれんのぉ。」
そう空中に浮かぶ銀髪の、魔女としか言いようがない服をきた女は言う。
女は魔物が出てくる迷宮入り口を睨みつけてさらに言った。
「さーて、せっかく来たんだから、いっちょやってやろうかの………『サン・フレア』!」
瞬間、街を覆うような超極大火球が、現れたかのように見えた、しかしそれは急速に小さくなり、最後は小指ほどのサイズに収まる。
だが、そのエネルギーは今までの魔法の比ではない、その周りを上級シールドでくるッと覆っているからいい物の、そうでなければ光だけで城門が溶け落ちるほどである。
「で、これを、こうじゃっ!!」
その超高密度エネルギー体が、迷宮入り口へと消えていくのだ。
刹那、凄まじい熱風が周囲を焦がし、周りの人間はみな顔を手で覆うしかない。
「なんだぁあの女ぁ、なんであんな魔法使えるんだっ!!!?」
「師匠!!やりすぎですっ!!」
「ああっ!?あれお前の師匠かよっ!!」
???視点
………?………!!!?………
………アツイ………ナンテイウネツリョウカ………
………クルシイ………
………クルシイ………
………トオ………サン………
「………!!」
「何だ今度はっ!!」
次の刹那、凄まじい声が耳を貫く。
最初は魔物の遠吠えが何百も重なったのかと思っていた、しかし、実はそれは一つの魔物の声だったのだ………。
最も、それを知るのはもう少し先の話である。
「これで、掃討も終わりか。」
「あとは本体の到着のみか。」
「これはすごい量の死体だな、迷宮の外だから吸収されない、すごい収入になるだろうな。」
「その前にこの街が消し炭になりそうなところだがのぉ。」
「まぁ、ひとまず切り上げることにしようか、それからだ。」
「それにカーラスと合流しないとな………。」
冒険者はすでに散り散りになり始めていた。
「さて、領主様、状況を説明させてもらいましょう。」
「よろしく頼むよグレッグくん。」
いつも静かなギルドマスターの執務室に響く二人の男の声。
ギルドマスターは言わずもがなとして、もう一人の男はクラーストキアを預かる領主である、このときギルドマスターは領主にこの戦いの損害と、次の防衛作戦に関しての話をする事になっていた。
「我々の今回の防衛戦での損害はD、Cの間で怪我人が百数十、Bランクは十人、Aランクは一人もいません、そして、死亡者は15人です。」
「人死にが出たのか。」
「流石に激しい戦いだったので、大半のものはそうなる前に後退していたようですが、戦場の摩擦というものもありますから。」
「だが、死んだものより生きているものの事を今は考えなければならん、未確認の魔物についてわかることは。」
「生き残りの話によれば、何やらスライムのように様々な魔物に変形し、その力を行使できるとの話ですが、詳しいことは見てみなければ分かりません。」
「わかったわかった、我々も騎士団を50人派遣する、少ないかも知れないが、手の空いている騎士は少ないのでね。」
「十分です、このようなときの為に私達冒険者ギルドが存在するのですから………。」
???視点
「これは………こんな数字は見たことがありません。」
「ええ、そうね、私も初めてよ、百人もの怪我人を治療することになるのは。」
そういって、私達は目の前を見る。
ベットが足りず、床の上に布を敷いてやっと収容できるほどの怪我人の山。
「これが、戦場ですか。」
「正確には、魔物の掃討、でも、なにも変わっちゃいないわ。」
さぁ、話している場合じゃないわ、そういって先輩は話を打ち切り仕事に戻らせる。
処置は済ませたが、回復魔法を使っても怪我はすぐに治るわけもなく、それまで私達は治療に関する様々な業務をこなさなければならない。
包帯を巻き直したりとか、定期的に診察したりだとか、やることには事欠かない。
「いやぁ、すみません、いつもお世話になってます。」
「はい、傷口の方を見せてくださいね、特に問題はありませんね、気をつけないと傷口が悪化することもあるので今後も定期的にチェックしますね。」
「ずいぶん忙しそうですね。」
「まぁ、そうです………ここはかなり悲惨な場所です、こんなに怪我をした人間が集まったのを、私は見たことがありません。」
「冒険者は、まぁ怪我してなんぼですから。」
「いつも、何かあるたびにこんなにたくさんの人が怪我してるんですね………。」
「まぁ、中々ないことです、でも、起こってしまったら、いつもこうなってるんでしょうね………しっかし、遅いなコーイチさん、早く来てくれないかな………。」
「なにか言いましたか?具合が悪いとか…………。」
「とんでもない、別に、ただ、その、そう知り合い、知り合いががいつまで立ってもこないんで困ってたんですよ、あの戦いでここに運ばれてからはぐれちゃって………ハハハハ………。」
「カーラスどこの病室に運ばれたんだ?わからないな………まぁいい。」
俺はそういって怪我人が運ばれた建物を歩き回るのを中断する。
まぁ、あいつも子供じゃないんだ、一人でもなんとかなってるだろう。
「奇遇ですね。」
「!?!?」
俺は建物から出たとき後ろから声をかけられる。
後ろには、誰もいないのに。
「馬鹿なっ!」
「私ですよ、コーイチさん。」
空間が歪んだと思うと、次の瞬間には白髪を頭にはやした老人が現れる。
「クルードさん!?」
「いやぁ、つい見かけてしまったので、いたずら、仕掛けちゃいましたよ、ハハハ!!」
「………あなたって、こういう事やる人だったんですね。」
「まあね、ところで、あなたは面白い人だ、実は私は少しあなたに注目しているんですよ、なんなら今日、食事でも………。」
俺は腕を引っ張られながら近場の食堂に入っていく。
「人とコミュニケーションを取るのはですね、やはりこういう食事の場が一番ですよ、つまんだり、飲んだりするものがないと、ねぇ?」
「はぁ………。」
俺は注文したスパゲティをズルズル音を立ててすする、すすりながら外国人とかこのすする音が生理的に無理なんだっけと思い出すが、クルードさんは何も言わない。
「君は、今度の騒ぎをどう思ってますか?」
「………いや、特に何も。」
「私はですね、今回の騒ぎはこんなものじゃ収まらない、そんな気がしてならないんですよ、老兵の勘ってやつですよ、すでに死人も出ちゃいましたが、今度はそんなものじゃない、そう、なにか大事なものが壊れてしまう気がするんです。」
「???それはどういう事ですか?」
「それをお伝えするのはたいへん難しいところです、感覚の問題ですから、なんとなくそんな感覚に私は囚われてるだけですが、どうにもそれが拭えない………ハハハ、結局自分しか話していませんでしたね。」
「………クルードさんってそんなタイプだったんですね。」
「私は、そんなタイプですか?」
質問に質問で返すのは反則だ、だが、今の質問は俺の心になにか引っかかる。
「じゃあ、次はあなたのばんだ、なにか聞きたいことは?」
「そうですね、じゃあ例えば、クルードさんの前の職業っ!!」
俺はそう言うと。
途端にクルードさんは真顔になり、じっと空虚な目でこっちを見てきて、その空気感に圧倒される。
「………!!?俺、またなんかやっちゃいました?」
「………ハハハ、冗談だよ冗談、まぁ、その話はまた今度にしておこうか……………いや、ううん、そうだな、ではこういうのはどうだろう、これから話す話は、すべて私とは関係のない赤の他人の話だと思ってくれ、それでまぁ手打ちとしよう、一度しか言わないぞ?しっかり聞いてくれ………。」
クルード「このお話はフィクションです、あらゆる団体、個人とは一切の関係がアri」




