待たせたなっ
カーラス視点
「「「うぉぉぉぉ!!」」」
コーイチさんとは今回後衛と前衛として別れている、だから単独で動かなくてはならない。
迫りくる………ゴブリンやらスケルトンやらいろいろまじってなんて言ったらいいかわからない………魔物達を切り裂いていく。
「なんて数の多さなんだ………!!」
それはいつぞやのゴブリンエンペラー戦のとき、大量のゴブリンと戦ったときのことを彷彿とさせるものだった。
切っても切ってもきりがない、後ろからいくらでも新手が出てくる。
「これはっ、まずいですよコーイチさんっ!!」
クルード視点
これは………もしかして、やってしまいましたかなぁ。
城門の周りを魔物を一掃し、前衛を突入させる腹積もりだったのですがね、成功はしたが、前衛は魔物の波に耐えきれていない、なにせ数が少なすぎるのだ。
「まいりましたね………。」
まぁ、尻拭いはしときますか、そう言うと私は鎖をブンと振り回した………。
カーラス視点
「危ないっ!!」
そんな声がどこからか聞こえた気がする。
「くっ!!?」
俺はその瞬間肩に衝撃を感じた。
「なっ………!!」
「カーラスゥッ!!!!」
どこからか、かすかにコーイチさんの声が聞こえてくる。
「おい小僧っ!!あとは任せとけっ!!」
そう言うと後ろからヒゲもじゃの男に引っ張られて下がることになる。
「だけどっ………!!」
もうすでに結構な数の前衛が撤退している。
そう言おうとするが、男は無言で圧をかけて、おれは何も言えなくなる。
「おまえ、足も、手も、傷だらけだぞ。」
そうだった、この被弾が初めてではない。
俺はすでに致命傷にならないでもないが、何回か被弾していたのだ。
「この際もう下がってろ、いいから早く。」
リューゼ視点
「メガファイヤッ!!!」
私はなけなしの魔力を絞ってメガファイヤッを撃ち出す。
すでに前衛はかなり悲惨なことになり始めている、もうすでに数百体もの敵を倒しているが、減るどころかCやBランクも見え始め、なんとか直属冒険者の中でも選りすぐりの人間がそれを抑えている。
私とて指を加えてみていたわけではない、最近直属冒険者として契約も結んだし、ここを越えられたら街は火の海だ。
「くそっ………もう魔力が………。」
すでに、私は十何発ものメガファイヤを撃ち出して、もはや魔法は撃てない。
「ほら、あんた、これ使えよ。」
すると、ある冒険者が弓を渡してくる。
「エルフは全員弓が大の得意なんだろ?使えよ、無いよりマシさ。」
「すまない………。」
こうして俺は弓を引いて矢を撃ち始める。
「全く、なまったものだ私も。」
もう何十年も前になる子供時代、私は弓がそれなりにできていたものだが、残念ながら飛び出してからはまともに握っていないのだ。
「………そうだ、援軍はまだなのか!!」
「今日中にくるって言ってたよなっ!!」
「そうだ、援軍はくるっ!!それまで持ちこたえるんだっ!!ありの子一匹通すんじゃねぇっ!!」
なぜ前線が崩壊しないのか、それはみんなが強く精神を保っているからだ。
そう、いまの私達にとって、援軍のみが最後の頼みだった。
「来てくれよっ………!!」
???視点
「………こりゃあ、やばいな、もう始めちまったのかよ………!!」
俺は迷宮の入り口らしい中央がやたら明るく光っているのを見ると走り始める。
「あと1kmもねぇっ、早くいかんと……!!!」
俺は走るが、とても間に合わない。
「しゃあない、魔力は温存したかったが、出しちまうぜ………!!」
俺は、切り札のワープ魔法をつかいあっという間に飛んでいき、次の瞬間には迷宮入り口の真上にうかんでいた………。
「なっ………!!」
その一瞬だけ、静まり返ったように感じる。
なぜなら、中に巨大な土の塊が浮かんでいたからだ。
土属性攻撃魔法は、地面の土をつかい発動する、大抵の場合は地面に立っているが、空中には土がない、だから下から引っ張ってくるのだ。
「『メガカオス・アトルビュート』っ!!」
瞬間、四色の虹が宙から舞い降り、迷宮入り口にたむろする敵を打ち砕いた………!
「待たせたなっ!!!」
そういって降り立ったのは、真新しい白衣に身を包み、髭をしっかり切りそろえた男だった。
「ギセルッ!!?」
「おらぁ、来た以上、ジャンジャンやっていこうかねっ!!メガファイヤミストッ!!」
迷宮の階段を登ってくる魔物達にメガファイヤミストを放り込む。
狭い閉所である、あっという間に魔物たちは火だるまになっていく。
「リューゼッ!!だらしないぞっ!!」
「それは最初のレベルの軍勢を止めてから言ってもらおうかっ!!」
そうリューゼと軽口を叩きながらギセルは戦闘態勢に入る………。
「こんなに、怪我人が出たんですね………。」
運び込まれた場所はひどいところだった。
狭いとはいえ、地面の上にまで怪我した人があふれる始末だった。
治療の手はまるで足りず、怪我人はついに外にまで溢れようとしていたとき。
「はーい、司祭様、私達はクーレリアンから派遣された医療団です、今から治療に参加させていただきたいと思いますっ。」
そういって、いきなり狭い部屋に入り込んでくる集団がいた。
全身を白い法衣で身を包む彼らは、全員が回復術者だった。
何十人もいる。
そこからさっそく怪我人の方へ走り出る人達がいて、その中の一人が自分のもとへやってくる。
「大丈夫ですかっ!!?今すぐ治療に取り掛かりますので、じっとしていてください。」
「は、はい、わかりました………。」
その女の人は矢を静かに引き抜いて傷口を魔法で塞いでいく………。




