援軍の中で
〈こうしてクラーストキアの当時のギルドマスターグレッグは周辺の都市や国に支援を求めた、一大迷宮都市の危急、そしてグレッグの提案した様々な報酬に多くの都市が支援を決定し、各地から冒険者や騎士団、支援要員、物資を送った、そしてその中には、かつてのコーイチの盟友達がいたのである………。〉
???視点
全く、なにがあったのかと思いきや、こんな雪山を歩かされてさ。
おまけに終点にはおめでとうの垂れ幕もなく、どころかとんでもない怪物が控えているという話だよ。
これだけ聞くと冗談ではないが、まぁ、帰るまでが遠足だ、終わったあとの報酬は帰ったあとに出すらしい。
俺はワープ魔法でちょくちょく難所は無視して行くが、それでもまだまだ先は長い。
「しっかし、あいつどうしてるだろうなぁ………。」
俺はそう何回もつぶやいては先を急ぐ。
???視点
「はぁ………。」
「あと少しよ、頑張りましょう」
私は先輩の回復術者にそう言われるが、もう少しどころかクラーストキアまでまだ3分の1も近づけていない。
私達回復術者が、なぜ教会や治療院から引っ張り出され、こんな荒れ地を歩いているのか。
それは迷宮都市クラーストキアの支援要請に対し、満足な冒険者や騎士団を持っていない私達の領地の領主が、代わりに回復術者の遠征隊を作り、クラーストキアに送ろうとしているからだ。
こんな長い距離をまともに運動もしたこともないしする必要もない私達回復術者にとって最初で最大の鬼門だった。
「全く、あなたも災難ね、まだあの事件から1年もたってないのに、こんなに歩いてまで行く場所がモンスターパレード発生しかけの迷宮都市なんて。」
そう先輩は言うが、全く持ってそのとおりだ。
あのときは冒険者が日が経たないうちに救ってくれたからいいが、そうじゃなかったら、そうじゃなかったら………うーん、規制に引っかからないようにいう方法が思いつかないから言うのはやめておくわ。
その時、ふと私は思い出す。
あの肌寒い夜、せめてものお礼にと、ある冒険者にお守りを送ったあのときのこと。
「変わった人だったなぁ………。」
私は、なぜかその人にまた会える気がした。
そんなわけがないのに………。
「ずいぶんと騒がしいことになっとるようじゃのう?」
「他人事みたいに言わないでくださいよ師匠、というか、これ見てください、もうあなたも他人事ではいられませんからね。」
「ほぇ?なんじゃこの紙ペラは………な、何じゃこりゃあ〜!!?」
「見てのとおりです、今回、Sランク冒険者兼魔法研究所クラーストキア支部所長、スリューシャ大先生様を領主権限をもって徴兵します、そして、任地は迷宮都市クラーストキアです。」
「ふ、ふざけるなっ、この辺境で一人慎ましく暮らしている私になんの関係があると言うんじゃ!!」
「ありますよ、有事の際、場合によってはにはすべての臣民は徴兵される義務があるという法律があるんですよ、まさか有事のうちにモンスターパレードでも適用されるとは思いませんでしたが。」
「そ、そんなぁ………はっ、いっそ夜逃げでも!!」
「あなたなら出来るでしょうけど、今までの生活は絶対おくれなくなりますよ。」
「ぬう………。」
「というか、スリューシャさんって戦えるんですか?」
俺は一連の会話を横から聞き終わったあと質問する。
「当然だ、仮にもSランク冒険者だからな、それくらいできる。」
「………もういいわっ、こうなった以上、受けて立ってやってやるわっ!!」
そうスリューシャは意気込んだ。
「………なんだあれはっ!!」
「冒険者じゃないのか?」
「違う、冒険者は潜っていない!!」
「へ………?」
「だから、あれは魔物だよ、ついに上がってきやがったんだよっ!!」
「ギルドマスター、大変です、ただいま迷宮入り口にて魔物の出現を確認しました。」
「なにっ!援軍の冒険者団はもう来ているかっ!!」
「まだです、ただし日数的にもう来てもいい頃合いです!」
「まぁいい、とにかく冒険者を収集しろ、急げ、直属冒険者はギルド内で常時待機していたな!まずは彼らを向かわせろ、このときの為に地道に営業して増やしてきたんだ、このような非常事態のとき、まず最初に活躍するのは兵士か?騎士か?ちがう、わがギルドの冒険者達だっ!!」
「魔物だ、行くぞっ!!」
「はいっ!!」
俺とカーラスは襲撃の鐘をきき、迷宮入り口に向かう。
「おい、なんで門が閉まってるんだ!!」
「だめだ、今開けたら魔物が流れ込んでしまう!!街を戦場にする気かっ、城壁の上に待機して、後衛は上からうちおろしてくれ!」
俺達は狭い階段をギュウギュウになりながら登っていく、出てみればすでに城門の内側はとてつもない数の魔物に埋め尽くされている。
「撃てっ!!撃ちまくれっ!!」
誰かがそう言って魔法を撃つ。
それに合わせ皆が皆撃ち始める。
「メガファイヤッ!!」
俺はメガファイヤッを撃ち、各所でも極大の火球やら水球、土球やらが降り注ぐ。
だが、それは最初の話で、途中からは弓矢が主軸となっていく。
前にも話したが、魔法は威力が高いがそうポンポン撃てるものではない、弓矢は何十本とある矢の数だけ撃つことができ、また使い手がへばらない限り、威力も強力なのを変わらず撃てる。
「………。」
「なっ、なんだ、いきなり押しのけやがってっ………!!」
刹那、城壁からいきなり飛び降り、魔物の中に飛び降りた男がいた。
白髪を頭に生やしたその男は、着地する場所に群がる魔物を、あっというまに袖から飛び出した鎖で吹き飛ばす。
「クルードさんっ!!?」
グルードさんの周りを魔物が群がっていく。
だが、その攻撃はことごとく張り詰めた鎖で弾かれ、裁かれ、そんな光景がクルードさんの360度四方八方で繰り広げられる、つまりクルードさんはあの一瞬ですべての方向の攻撃をさばいているのだ。
「大会のときよりさらに凄まじいなっ…。」
そして、クルードさんは攻撃にうつった。
鎖がゴブリンの頭を吹き飛ばす。
スケルトンが背骨まで粉々になる。
「………っ!!?城門のまわりが!?」
見れば城門の周りがいつの間にか片付いているのだ。
「今だぁ、開けろっ!!」
そうして、城門の前にいる前衛職の人間が、全員なだれ込んでいく………。




