冒険杯 5
「お前がコーイチか。」
今度の男はBランクの男だった。
手に持っているのは………弓。
ただの弓ではない、俺の背程もあるとんでもなくでかい弓だ。
「お前、一応魔法使いだったか?まぁ、よろしく頼んだわ。」
俺はそのとき一筋の汗が落ちたのが分かる。
この人、そんな軽い調子なのに、威圧感が凄まじい、本当にBランクか?
「はい。」
俺はそう短く挨拶を交わすと、黙って試合場に進んでいく。
「始めぇっ!」
俺は出し惜しみしない、メガファイヤで先手を取るっ!!
速い………何かというと、あの冒険者の矢をつがえる速度だ、この時点でもう放とうとしている。
「ハァッ!!」
「………っ!!!」
俺はそのとき、本能が叫ぶの感じ取り横に飛ぶ。
俺の肩に矢が刺さる。
「ぐぁっ!!?」
見れば、矢がメガファイヤを通って来たのか小さい穴があいている。
だが、俺は意思を総動員してメガファイヤの誘導を続け、男にぶち当てた。
「ぐうっっ!!?」
やったと思ったが、煙が晴れると肌を焦がしながらもしっかりと立っている男がいる。
Bランククラスでは、メガファイヤ一発ではどうということもないという事か。
「………俺は確かに完璧に避けたはずだが………。」
「ええ、自分もあれは避けられたと思いましたよ。」
こいつ………。
「「魔力糸で軌道を操作しているなっ!」」
俺はそう叫ぶ。
別に、そんな難しい事ではない、全員ではないがかなりの人間が使うテクニックだ。
最も、まさか魔法ではなく矢でやるとは思わなかったが。
男が次の矢をつがえる。
俺はとっさに初級シールドで受けようとするが、矢はそれを貫通して俺に突き刺さる。
「ぐっ!!?」
だが、今度は鎧にあたった為にギリギリ弾き返す。
まぁ、今回はシールドの効果が大きいが、これなら肩の方にもつけとけばよかった、これ重いからあまりガツガツつけていないのだ。
第三射。
俺はそのとき、走っていた。
「近づかないと負けるっ………!!」
遠距離勝負では年季の多いあっちが有利だが、こっちは前衛としても戦えるのだ。
俺は男が弦を離す寸前にどうやってかわすか、あるいは防ぐかを考える。
初級シールドの二枚重ね。
俺は結論を出して、シールドを出す。
矢は一枚だけ抜いて二枚目で弾かれる。
「やるなっ、だがこっちも伊達に弓で飯は食っていないんでなっ!!」
次の瞬間、矢を3本同時につがえて、放つ。
それだけではない、それが計3回、9本の矢が俺に迫ったのだ。
「ぐぉぉぉぉっ!!?」
俺のシールドは穴だらけとなり、3本足などにもらう。
膝を付きかけるが、何とか立ち上がる。
見れば、今度は4本一度につがえて、しかも矢筒の矢の数がまるで減っていない。
「撃ちまくれるってことか………。」
後衛は魔法職がとても多い、なぜなら魔法は威力が高く、あらゆることに応用のきくそのまんま魔法の力だからだ。
だが、その代償として払う魔力の量は決して少ないものではない。
自分の場合はファイヤボール15発、身体強化で5分、メガファイヤで3発分だ。
だから長い間戦えばすぐに魔力が切れて戦えなくなってしまう。
だが、矢は違う、何十本でも持てるし、その分だけ撃てるのだ。
矢が今度は12本。
シールドをとにかく構築、何とかそれを防ぐ。
「まだまだぁっ!!」
流石に、Bランク、甘くはなかったか。
だが、勝機がないわけでもない、どっちも後衛だが、こちらは接近戦も十全に行える、接近戦に持ち込んだときに勝機がある。
俺は何とか駆け出し始める。
矢が何本も迫る。
そのすべてが正確に俺に迫ってくる。
俺はそれもシールドで防ぐが、もはや魔力がない。
「………そうかっ!!」
俺はポケットから白い玉を取り出し、地面に投げる。
「!!!」
周囲は煙で覆われ、何も見えなくなる。
「煙玉っ!!?」
俺はさっきまで男がいた場所に検討をつけて、あえて遠回りしながら迫る。
俺がやつを捉えたとき、やつの真後ろに出ていた。
「ハァッ!!」
「あがっ!!?」
俺はその首に飛びつき、片手で締め上げる。
「ぐうぅぅぅ!!!?!?」
「っ!!!」
抵抗して、矢筒から一本取り出し、それを俺の手にザクザク突き刺すが、俺はやめなかった。
「ぁ………。」
力が抜けたのがわかったので、俺は手を離した。
「そこまでっ!!」




