ギルドマスター
今回は往復3日の探検だった。
「この短期間で40階層を突破したんですね!おめでとうございます!」
「いえいえ、そんな事は………。」
俺は照れながら魔石や素材を換金していく。
そして立ち去ろうとするとき、脇で聞き耳を立てていたガトレットを見る。
あのにやけた笑いはどこへやら、こちらをキッと睨みつけている。
「いい仕返しになったなぁ〜。」
俺はスッキリしながら屋敷へ戻っていく。
俺は知らなかった、俺を見ていたのは、ガトレットだけでは無かった事を、そのもう一つの視線は、受付カウンターの奥から発せられたものだった。
「あれがコーイチとやらか………。」
「受付嬢。」
「ハッ、これが彼の魔石の買い取り記録、階層の記録、自己申告によって判明した彼の魔法技能の一覧です。」
そう言うのはここでコーイチの受付をよく担当していた女である。
ご苦労、下がって良い、そう男が言うと言われた通りに下がっていく。
「………なるほど、リューゼのおまけ程度に考えていたが、中々やるではないか………。」
リューゼに目をつけたのは彼がBランク昇格試験を受けたときだった。
彼はすでにBランクに相応しい腕を持っており、難なく試験を突破してその後もここで活動をしていた。
エルフの見た目から元々目立っていたのとその腕から随分と目をつけていたが、調べてみれば魔法学園を次席で卒業し、天才と称えられた男だったそうではないか。
これは使える、この者にずっとここで活動させる事ができれば、ギルドの業績と格式を押し上げて、私の出世に一役買ってくれるに違いない、有能な人材のスカウトは基本中の基本だ。
最も彼は数カ月で去ってしまったが、こうして再び来てくれた、チャンスはまだある、だが彼を留める案は未だに出なかった。
その時目をつけたのがこのコーイチという冒険者だ、Bランク冒険者はどこでもひっぱりダコだが、Dランク程度気に留めるは誰もいない、それでいてリューゼと私を繋ぐ架け橋になってくれるのだ、ひとまず私はここに手を入れることにした。
今回彼は40階層を単騎で突破してその実力は少しずつ知れ渡っている、ランキングでもかなりの上位に食い込む事だろう。
そこを私がそれを理由にCランクへと昇格させ、さらに今後の支援を約束するのだ、これにより彼とコネクションを繋ぎ、それを経由してリューゼにアタックをかける。
失敗してもコーイチもなかなかに才能あふれる人間だ、それだけでも相当な成果になる。
「ふふふ、完璧な計画ではないか………。」
〈クラーストキアの当時のギルドマスター、グレッグ・マクドナウは野心溢れた性格で知られる、当時の記録を漁れば、彼が密かに五万と策謀を企てていた形跡が見て取れる、そしてその大半は成功し、クラーストキアのギルドは多数の高位冒険者を有する大ギルドと成長したのである………。〉
超短いけど、キリがいいのと、ダメ押しで投下します。




