魔法探求の道
「………さて、もう少し進むか………?」
俺は考えた末に、扉の先に進む。
「………!!暑っ!!?」
放り出されたのは火山地帯だった。
そこかしこにマグマが流れていて、空は真っ黒な雲で覆われている。
そこからの熱気は耐え難く、俺は進むかどうか迷う。
「………いく、か?」
俺が進んでいくと、羽ばたき音を感じて振り返る。
「お前かっ!!」
久々のリュウモドキである、しかも体の大きさがゴブリンくらいになっている。
「ハァッ!!」
俺は斬りつけるが顔を焼く熱気に目をつぶり、腕で防御する。
「こいつ、火を吐くのかよ!!」
ここまで来るとモドキをつけていいのか疑問になってくるが、俺はファイヤボールを奴にぶつける。
「………効かないか。」
ファイヤボールはそこらの焚き火よりはよっぽど熱い、だが物体に当たると3秒もしないうちに蒸散してしまう。
その程度の貧弱な火力ではやつの鱗と生来の耐性で防がれてしまうのだろう。
「そろそろ他の魔法も習得しないとだめか。」
俺は飛びかかってくるリュウモドキの首を鷲掴みし、確実に首に剣を突き立てる。
「………っ!?」
今までは身体強化で難なく貫けていたのが、今回は少ししか刃が通らなかった、とはいえ、命を刈り取るには十分でもある。
青い粒子が顔を撫でる。
なんとかなりはしたが、また攻撃力不足が表面化するとは………。
「いや、攻撃力はあるんだが、当たらないんだよなぁ。」
現状魔法があまり当たらず、結局剣に頼った戦闘が多くなっている。
「………うっ?………」
俺は頭がクラクラするのに気づき、こうして一旦帰ることにする。
「ふん、あいつ帰って来たんだって?」
「20階層から先は火山地帯が4階ある、対策なしじゃしっぽ巻いて逃げるだけさ。」
「ちげえねぇな!ハハハハ!!」
「全く、情報収集は冒険者の基本だろうに!!」
「………。」
そう帰るときに笑い声が聞こえる、あんな感じであいつら新人を馬鹿にしてるんだろうな、嫌らしい奴らだなぁ………。
だけど、今回は2日かけて迷宮を往復している、その間歩き通しなので心身共に疲れ切っていてそれどころではない。
戦闘なんて時間で見れば48時間中の1時間程度でしかない、真に苦しめられるのは移動だ、何するにしても歩かなければ始まらない。
そして、歩くというのは想像しているより何倍も厳しい事だ、まして自分は野営セットや食料等で20kgくらい背負っているし、地面はデコボコ、森なんて草を払いながら進む
「Fランクでも日に銅貨30何枚くらい稼げるのに、不人気なのがよくわかったよ、ひたすら歩いたって楽しくもない。」
俺はこうして愚痴をこぼしながらボロボロのお化け屋敷に帰っていくのである。
「ふう、よく寝つけなかった。」
俺はとりあえず部屋を大掃除してだいぶマシにはしたが匂いが厳しい。
「当分は休もうかな………。」
別に金に困っている訳じゃないし、やりたい事はいくらでもある。
印刷業が未発達なこの世界ではまだまだ本は貴重品だ、それは魔導書にも言える、だが、ここには魔導書の蔵書が数千単位であり、それをスリューシャがただで見せてくれて写本もOKなのだ。
学校なんてない以上こうした知識は全くまとめられておらず、それを知るにはあっちこっち走って集めまわらざるおえない。
「まぁ………飯だ飯、とにかく下に降りるとしようか。」
「………う〜ん、これなんの魔法だ?訳のわからん単語が並びすぎて………。」
「フム、これは生物合成魔法の一種じゃの、人工生物の研究の一環として作られたようじゃの。」
「セ、セイブツゴウセイ?」
ここでみんなには思い出してほしい、この会話は日本語に翻訳してるが元は異世界語である、いくら何でもここに来て2年といくらかで生物合成は異世界語でなんて言うのか知れるはずも無く、至極真っ当な事なのである、決して自分が大馬鹿なのではない。
「それはわしにも使うのは無理じゃ、生物の練成は構造が複雑すぎて基本成功した者はおらん、はよう閉じてここらへんのやつでも見たらどうじゃ。」
「………これは、戦闘用魔法の初歩ですか、いやちょっとホコリかぶりすぎですよ。」
「この書物の大半は研究所を建てたとき仕入れたものじゃが、もともと大半はみんな頭に入れていた上、初歩なんて見るやつは誰もおらんかったのじゃ、だからここらへんの本は特にひどいぞ。」
「はぁ………。」
俺は魔導書をどんどん抜き取ってお目当ての物を探す。
「………おっ、あったあった。」
俺が見つけたのは残り3属性の魔法とシールド魔法である。
「どれどれ………。」
フムフム、なるほど、風と水に関してはファイヤボールと何も変わらないな。
だが、ロックボールに関しては根本から違う、確かほかの3属性は練成した物を使うけど、土に限ってはその場の土を変形させて放つんだっけな、そりゃ基本も異なる。
「う〜ん、なになに、魔力を使って変形させる?なんじゃそりゃ、そんな事できるのか?」
「できるのじゃなこれが、魔力は外に流してしまえばそれでおしまいと思っている奴は多いが、実は体に魔力伝いに接してさえいれば操ることも、体に戻す事もできるのじゃ。」
「なるほど………あっ、できた。」
「じゃろう?それを細く伸ばしたものが魔力糸と呼ばれるものじゃな、それを使って土を変形させていくのじゃ。」
「まるで粘土かなんかですね。」
「最もロックボールはただそこらの岩を投げるだけでも成立するんだがの。」
「それ魔法のうちに入るんですか、どっちかというと環境利用の一環では………。」
とにかく、俺はこの残りの魔法を全部習得する事にしたのだ。




