すべての決着 新たなる新天地
遂にこの日がやってきた。
Dランク昇格試験。
攻撃力の不足で落ちたあの時から半年以上。
今の俺は基礎ながら魔法を覚え、身体強化で素の能力の不足も心配なくなった。
やっとリベンジの準備が整った、今こそ雪辱を晴らすときだ。
「このままD………いや、Cランクまで駆け上がってやる………!!」
「サンティシナ、これからDランク昇格試験をやりたい。」
「はいはーい、ちょっと待っててね………。」
サンティシナはそれを聞いて走っていく。
「お前がコーイチか。」
そういって入ってきたのはリューゼではない、Cランク冒険者の戦士の男だ。
「なるほど、前のゴブリンとの戦いのとき見たことがあるな、魔力操作を使えるんだって?いいね、やるじゃないか。」
そう地下に降りながら声をかける男。
「ハハハ、そうですね………。」
「さてついたぞ、見せてもらおうか、リューゼさんが認める強さってのをさ。」
「始めぇ!!」
「ハァッ!!!」
「フンヌッ!!」
俺は距離を詰めて男に斬りかかる。
一回、2回と剣が交差していく。
「まずいっ!!?」
俺は即座に後退し、俺がいた場所を剣が通り過ぎていく。
だが、ファイヤボールが男の顔に直撃しかけ、危ういところでかわした。
「あぶない、もう少しで死んでいるところでしたよ。」
「俺の方こそ、炎で顔が焼け爛れるところだったぜ………。」
悪いが、全開させてもらう。
そう男は言うと………次の瞬間には目の前にいる、そして再び切り合いが始まる………!
たった10秒、だがその瞬間に何十回もの剣が交えられた。
俺と男の間には圧倒的な差が生まれる。
「くっ!!」
「オリャァァ!!!」
流石にCランク、倒そうなんて夢にも思わないだろう。
「煙幕っ!!」
俺はいつもの煙玉で撹乱し、距離を取る。
そしてファイヤボールを生み出していく。
最初のものは適当に思い出してうったものだが、今度は魔導書片手に丁寧に構築していく。
10秒目、煙から出てきた男を俺は渾身のファイヤボールで迎え撃つ。
男はそれを真正面から受けた。
「ぐうぅぅぅ!!!!?」
男は腕をかろうじてクロスして受けるが、服が相当焼け焦げている。
「一発当てるとはっ、やるなっ!!」
再び切り合いがはじまる。
今の自分ではすぐファイヤボールを構築することができない。
マトモに撃とうとすれば10秒、テキトーにやればすぐできるがまるで使い物になりはしない。
俺は片手で剣を持ちかろうじて捌いていく。
そして、もう片方は……!!
「ぐぅっ!!?」
男は突然動きを止める、その足にはクロスボウの矢が刺さっていた。
そう、クロスボウは一度装填していれば片手でも撃てる、それを俺は腰にかけ、いざという時引き抜けるようにしていたのだ。
「くそっ………してやられた、たく、Cランクの俺だからいいものの…………若いのだったら死んでるぞ………?」
「すいません、正直手加減しようがないんで………。」
「ったく………。」
利用できるものは片端から使うのが自分のやり方なんで………。
「ええっ〜!?Cランク冒険者に勝ったの!?」
「向こうは手加減してたんだよ、だいたい、あの人普通にピンピンしてたし、それに、こっちは煙幕にクロスボウに何でもありでやったからな………。」
「そろそろギルドもちゃんと試験内容を煮詰める必要がありますね………。」
そうサーラとサンティシナ、そして俺の3人はカウンターごしに話し合う。
「まぁ、Cランク冒険者を倒したからと言って上がるのはDランクなんですが………。」
「それ、やっぱり何とかならないですかね………?」
「最初は『どうせ勝てないから知ったこっちゃない』とか言ってたでしょうが………これで手続きも終了です、これよりあなたは正式にDランク冒険者となりました。」
ありがとうございますっ!そう言って俺はウキウキしながら帰っていく。
「ギセルさんっ!!やってやりましたよ、Dランクになりましたっ!!」
そういってギセルの部屋に入って気づく。
「………?気のせいか?なんだかいつもよりゴミが少ない気がする………。」
だが、そんな事はどうでもいい、とにかくギセルさんに報告しなくては。
「………なんだ。」
「この度っ俺!幸一は、Dランクに昇格いたしましたっ!!!」
そうか、そういってギセルはまた読んでいる本に目を落とす。
「いやいや、ちょっと反応薄すぎるでしょう………というか、見てるそれなんですか?」
「ああ、これは魔導書だ、読んでみろ。」
「………これ、もしかして、パッシブシールドの?それに、これはメガファイヤミストの、そして………メガカオス・アトルビュート。」
「そう、リューゼの使った魔法、その魔導書の写しだ、これを必死で読み込んで、4ヶ月後には使えるようにしようと思う。」
「まさかまたやるんですか!?訓練場が崩壊しますよ………。」
「当たり前だ、ここで引き下がれるか………だが、リューゼはまた迷宮都市に向かうらしい、どうせクソほど成長して帰ってくるんだ、俺には分かる、だから………。」
そこで言葉を区切り、また目を落とす。
なんだか、凄いかわりようだ………何があったんだ?
その時だ。
「………そうだ、リューゼが言ってたぞ。」
「………何をですか?」
新たなる新天地が
「ものは相談なんだが………」
俺をいざなった。
「その迷宮都市に、一度行ってみる気はないか?………いや、奴がそう言ってたんだ。」




