全力試合
リューゼ視点
「ああっ!?Bランク昇格試験!?」
「あぁ、お前には負けたのがあまりにも悔しいから、ここらで一皮向けようかとおもったんだ。」
俺は3日後病室でギセルと再び出会い、そう言っておく。
「いやいや、コーイチがこんなんなってるときに行くのかよ。」
「別に、実際問題私にやれることも無い………私ができる事はお前にもできるだろう。」
「………。」
「………なぁ、私が帰ってきたとき、もう一戦やろうじゃないか。」
「ほう?何をかけるんだ?」
「金貨10枚。」
「ホゥホゥ………のった!!」
「じゃあ、何ヶ月か後に。」
そう言って俺は去ろうとすると、突然ギセルは声をかけてくる。
「………なぁ!お前が向かう先に、何が待ってるんだよ!!」
「………いってみなきゃ、分からないだろ?」
そう最後に言い残し、私はカルドキアを出ていった。
そして、舞台は魔法修行から5ヶ月後にも戻っていく………。
「いいぜぇ、やってやろうじゃないの!」
ギセルも首をコキコキ鳴らしていつになく乗り気である。
「場所は、訓練場にしようか。」
「ああ、ここじゃ城壁にぶち当てるかも分からない。」
「いやいや、なんで2人が試合するんですか!おかしいでしょう!」
「あなたは知らないでしょうけど、あの2人前にもここでやってたんですよ?」
「知らないですよ自分寝てたんですから!」
俺はそう言いながら下に降りていく。
そこには2人が向かい合っていた。
「巻き込まれたくないなら、早く観客席に向かいますよっ!!」
「はいっ!!」
そうして走って俺は観客席につく。
「しかし、ギセルさんは強いですけど、リューゼさんと勝負になるんですか?」
「なるも何も前回勝ったのはギセルさんの方ですよ、それに、あの後調べるとギセルさんはBランク冒険者資格を過去に持っていた事が分かりました。」
嘘だろ………ゴブリンの大軍を瞬殺したあたり只者じゃないのはわかってたけど、まさかBランク冒険者だったのか………!?
というか過去に持っていたって何だよ。
「冒険者証は一定期間使われないと期限切れとみなされるんです、もっとも、使うたびに更新していて、期間も10年まで大丈夫なので、本来は気にしなくても問題ないんですけどね、職業柄、死んだかも分からないという事が頻発するので、そのままにするわけには行かないんです。」
そう俺の疑問を察してサーラさんは補足する。
「ガチャガチャ言うんじゃない、もうすぐ始まるんだぞ。」
そう言われて見てみれば、魔法を構築し終えて、撃ち出そうとする二人がいた。
リューゼ視点
「ハァァ!!!」
私はまずメガファイヤをうち、ギセルはそれを普通に避ける。
私はそれを見て小規模なファイヤボールを何十個も作って撃ち出していく。
「うぉっと!!」
ギセルはそれらをギリギリでかわし、防ぎ、いなしていく。
こいつ………昔の勘を取り戻したな。
「………うたないのか?」
「そっちからどうぞ。」
私はそう言うとしゃーねぇなとギセルは攻撃に転じる。
あのあとから更に自分は強くなった、魔力総量も跳ね上がり、新たな技も覚えることができた、だがこのままでは魔力だけを無駄に垂れ流し、いつまで立っても決着はつかない。
私はギセルの魔法の数々を避けながら魔法を隙間からドンドンうっていく。
なんとしても隙だ、隙を作らなければ、だがこの前のようには無理だ、一度出したものが再び通用するようには見えない。
私はやつに一直線にひた走る。
「肉弾戦か………!!」
「別に不思議なことでもないっ!!」
Bランク以降は何をするにも魔力がいる、量にもよるが場合によっては身体能力だけなら魔法使いの方が高い事も珍しくない。
もっとも前衛も前衛で能力が高いからとできるものではないが………なんにせよずっとトレーニングを怠っていたギセルと私では私に分がある。
「そうきたかっ!!」
私はこの日の為に習得したある魔法を発動する。
「『パッシブシールド』!!」
周りからどよめきがおこる。
私の足から順々に半透明の鎧のような物が構築されたのが分かったからだろう。
「そんな物をっ………!!?」
ギセルは至近距離からファイヤボールを撃ち出すがそれを私は真正面からうける。
鎧は傷1つつかず、私も無傷だった。
「中級シールドクラスか………!!どこからそんな魔導書を引っ張ってきたっ!!」
私は引き抜いた短剣でギセルに斬りかかる。
拮抗したのは10秒、なぜならそのあとギセルはワープで逃げたからだ。
「メガファイヤァ!!!」
私はそれを紙一重で避ける。
「これだけだとでも思ったか!!『メガファイヤ・ミスト』!!」
一瞬現れたのは普通のメガファイヤだったが、それはすぐに蒸散する。
「うぉぉっと!!ちょっと待てこんな広範囲だとこっちにも被害がっ!!?」
ギルドマスターがこっちにも近づいてくるのをシールドでガードする、この広範囲をカバーするあたり流石である。
「こんなやり方があるのかっ………!!」
ギセルはワープを使うがそこにも炎は迫り、やむおえずシールドでガードする。
「………くそっ、思ったより威力がない、初級で良かったか………。」
いいぞ、少ない魔力で多くの魔力を引き出す事に成功している。
あとは隙があれば………!!?
「『メガファイヤアンドロック』!!」
「!!?」
私はシールドでそれをガードするが、最初に巨岩でそれを破壊され、それから炎が迫る。
「混合魔法っ!!!」
炎魔法はあくまで気体の一瞬のようなもので、物理的な威力はほとんどない、だからシールドや壁などの固体に対して弱い。
そのような欠点を何とかするために、かつて魔法使い達は属性を混合する混合魔法を作った。
これも試行錯誤の末完成したものの一種だ、炎魔法の熱量によるエネルギー攻撃力と土魔法の質量による物理攻撃力をあわせ持ち、土魔法としては威力があがり、炎魔法としては欠点を無くすことができた。
その分魔力消費も倍になるが、非常に強力な魔法となる。
私はやむおえずワープ魔法で回避する。
「ハァ………ハァ………焦ったぜ………これは、やべえな、流石にリューゼだ、神がかってやがる………!!」
「その私が勝てなかったのが、かつてのお前なんだがな………。」
馬鹿野郎、今度も勝つんだよ、そうギセルは言い放つ。
「………全く、負けたっていい、そう思ってたのにこのザマだ、いつの間にか真剣になってしまう、勝ちたい、そう思ってしまう…。」
『お前だってそうだっただろう?』
「お前だってそうだっただろう………なんで先読みしてるんだよっ!!」
「知るかっ!!」
否、わかっている、否、忘れられるものか、その台詞はかつて、ギセルと私が戦ったときにやつが言った言葉だ。
あの日のことは今でも鮮明に思い出せる。
『今日、私と戦え、その為に私は強くなったんだ………!!」』
『おい、何だいきなり?学年次席のやる事じゃないだろう?』
『分かってる………!だが、私はお前を超えなければならないんだ………そのために特訓を重ね、時をまった!今日がそれだ!!』
私はメガファイヤを撃ち出す。
避けられないように撃たれたそれをギセルはワープでかわしていく。
それを近接攻撃で追撃、追撃、追撃。
「くそぉ………!」
「ハアァァァァァ!!」
私はヤツが逃げた先に攻撃する。
それにより、やつは逃げる場所を失い動きを止めてしまう。
「「ギガントロックチェーン』!!」
私は必殺技を発動、ワープの前にそれでギセルを拘束する。
「やられた………!!」
かつてヤツの上級シールドに魔法を阻まれた。
最大の問題はそれだ、ヤツのワープはどうにかなるにしても、アレを貫けなければどうしようもない。
私は試験を受けられるBやAランクのいるある迷宮都市にむかった。
そこで私はふと暇になったときある魔法と出会う。
「………ギセル、これが私の全力だ!!」
「………おぉぅ!!ドンと来い!!」
属性はただ混ぜればいいわけではない。
例えば土と風を混ぜると風魔法の不可視という特徴が失われる上土魔法としても魔力消費の割にはそこまで威力が上がるわけでもない。
火魔法と水魔法に至っては蒸発してお互い消滅する始末だ。
我々が住んでいる大陸、アルフェーペ大陸には、リボン、あるいは蝶のような形をしていて北西、北東、南東、南西の端に火神、水神、風神、土神の4つの髪を祀る祠がある。
それらは相性の悪いとされる属性と隣り合わせにならないよううまく組み合わせているのだ。
火は北西、水は北東、土は南西、風は南東。
その配置に目をつけた魔法使いが過去に存在した、『これと同じように配置すれば、互いに潰し合ったりせずに4属性を混ぜ合わす事が出来るのではないか』?
それは最終的な完成を見ることなく、ただ1つ、そのアイデアを愚直に実現させたある魔法が残された。
「フゥ…………。」
私はそう静かに深呼吸し、魔法を構築していく。
「なんだあれ………。」「4つの属性を混ぜてるのか………?」「風と土はともかく、火と水を混ぜたら消滅するだろ………。」「………あれ大きすぎるだろ、一つ一つがメガサイズだぞ!?」
私は四方にそれぞれメガ規模の4属性魔法を配置する。
「馬鹿な………できるわけがない………。」
そうギセルは呆然とつぶやく。
「『メガカオス・アトルビュート』!!」
それらはギセルに迫りながらねじれ、混ざり合う、しかし消滅し合うことはない。
「バッキャロォォォメチャクチャやりやがってぇぇ!!!?!?!?」
ギセルは今出せる上級シールドを2枚重ねで展開する、こちらもこちらでメチャクチャな曲芸まがいの行為だ。
そして、お互いの全力を詰め込んだそれらは、中央で激しく激突するー。
コーイチ視点
「………負けた………!?」
ギセルの目の前でシールドを貫き、役目を終え魔法は消滅していく。
「………くそっ、やりやがったよ、遂に一本取られた………ツケが帰ってきた訳だ。」
ギセルはヨロヨロと立ち上がる。
「全く、4属性全部混ぜるなんて正気の沙汰じゃない、校長だってそんなバカはやらなかったぞ………リューゼ?」
「私が………死んだふうに言うんじゃない。」
ゴホゴホと咳き込みながら立ち上がるリューゼ。
「自分の使った魔法で死にかけるとはな、全く………だが、勝ったな、フフッ、フハハ、アッハッハッハッハ!!」
「何がおかしいっ!!………畜生、しかし、あれだよ、こんな無茶したのは久しぶりだよなぁ………フフッ、フハハハハハハ!!!」
そういって笑い合っている。
「笑ってる場合ですか………なんであんなに仲がいいんだ?」
全く、いきなり試合をしたと思ったらこれだよ、どうしてこうなったんだ?
ギセルはリューゼを起こす。
その時。
近くにいる俺だけがかろうじて聞き取ったその言葉。
「これがお前の見つけたものかい。」
〈この試合はろくに記録に残っておらず、その時居合わせた冒険者の日記等でかろうじて書かれている、というのが大半で、唯一マトモな資料は受付嬢サーラ氏の日記と、ギルドマスターが訓練場修理の経費を落とすとき、理由説明として書いた報告書のみである。
当時の彼らにとっては単なるお祭りでしかなかっただろう、しかし、あとから見てみれば、この試合が後に二人の運命を決定づける出来事であったと私は思う………。〉
………とある歴史研究家の論文より。
前の後書きでも言ったけれど、伏線を殆どはらずに突っ込んだのでどうしても違和感というか、突然というか、不自然な感じが拭えない。
しかし、こんな愚痴ったところでモチベーションを下げるだけなので、ひとまずここでおわしましょう。
この話は最後の意味深な文章で話されるように、後のストーリーに深く絡まってくるものになって来ます、だがら伏線貼ってないことも気にせず入れることとなったのです。
どうかそれまで、どうかよろしくお願いします!




