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垣間見える過去3

リューゼ視点


「あっ、リューゼさん!!」

そう声をかけるのは受付カウンターで手を振るサンティシナだ。

「どうだったの!勝負は!!」

「あぁ………負けたよ。」

「………そうなの、でも、リューゼさんなら、なんとかなるんじゃない?」

そう言ってニコッと笑うサンティシナ。

ならいいな、そうリューゼは心から思う。

サンティシナがサーラに耳をつままれ奥に引っ張られたため会話は中断され、リューゼはギセルにさっきの話について聞く。

「やりたい事ってなんだ。」

「なに、ちょっと飲みに行くだけさ。」

そういってギセルも笑うが、黄色い歯が見えるばかりでキュートでも何でもない。



「さぁさぁ、ジャンジャン持ってきて!さぁさぁさぁ遠慮せずにお前も食え!!」

そういうと席にドンドン酒や料理が運ばれていく、どれも高い料理ばかりだ。

「金貨5枚も食い物に使うなんて、どんな高級レストランに連れられるかとヒヤヒヤだったぞ。」

「そんなところに入る勇気があれば良かったなぁ、だがそんなもんはないのでこの行きつけの店で贅沢するしかないのさ。」

そういってパスタやステーキを遠慮せず食していくギセル。

リューゼはその顔が、今までみたどの顔よりも輝いている事に気づく。



結局飯だけでは金貨5枚も消費できるわけがなかった、少なくともギセルの胃袋にそんな量の料理は入らない。

「次はそうだな………飯は終わったしな………本当だったらアレな店ですっちまうんだろうが残念ながら入ったこと無いな………。」

「なんだお前、変なところで真面目だな。」

「やはり酒か!!この際高い酒を買い漁ろう!!たしかドレッドが一度飲みたいとか言ってたのが………。」

「うん………すまん、撤回するわ。」

ワハハハと笑いながらギセルは走っていく。

やがてドレッドという解体担当の男と同名の男が欲しがっていた酒を樽一つ買うと、身体強化で持ち上げる。

「おい………通行人みっちゃ見てるぞ。」

「いいのいいの。」

やがてギセルはある家に到達する。

「これ………コーイチの家じゃないか、でも、ここで住んでるドレッドって………。」

「なんだぁ………ぁぁあ!!それは俺がずっと欲しがってたやつじゃないか!!」

「今夜はこの樽いっぱい飲んでいいぞ!俺の、いやこのリューゼ様の奢りだ!平服して感謝せよ!!」

そう言うと本当に土下座しようとしたので慌てて起こす。

酒がもう入っていてテンションがおかしなことになっているらしい。

「何かしら………?」

「いや、ちょっと酒盛りをしようかと。」

「あらぁ、ギセルさんじゃない、みんなが寝る頃には切り上げてね。」

「そりゃあもう!!」

そういって階段を登る。

「ちょっくら待っててくれ、同僚をよんでくる、みんなこの酒を飲みたいって楽しみにしてたんだ!!」

そういってドレッドは夜道を走っていく。

「頼んだぞー、そうだ、飲むのは多いほうがいい、なんならつまみも持ってきてくれー!」



続々とドレッドの解体担当の同僚がやってくる、みんなのいかつい顔も今日はにやけている。

「こりゃすごい!」「本物だ!」

そう口々に言う。

コンコンと扉を叩かれたので見れば、スラニスさんが更にいろんな料理を持っている。

「残り物なんだけどね、これ、良かったらどうぞ!!」

「おう!ありがとうございますっ!!」

それをドレッドが受け取ってしまったので危うく取り落としそうになるが、なんとかテーブルに置く。

「見てくれよ、バッファローの干し肉だ!高かったんだぞぉ!」

「俺はチーズだ!」「俺は………」

そんなふうにつまみをドンドン持ってくる。

そのころ自分はというとテンションについていけない。

「完全に染まってる………。」

そう呆れたようにつぶやいた。

こうして男達の酒盛りは2時間続き、皆が皆浴びるように飲んだ。



「………。」「………。」

「………。」「………。」

「潰れたか……そりゃそうか、あんな強い酒、そうならないほうがおかしい………。」

私はギセルを背負うと、ワープ魔法で部屋に運び込む、悪いが他の人は家の場所がわからないのでどあしようもない。

私はゴミに埋もれかけたベットの上にギセルを寝かせる。

「全く、あんな馬鹿騒ぎで幸せそうな顔しやがって………。」

私は思わずそう言わざるおえない。

「さて………帰るか………。」

………なんだか、分かった気がするな。

学園じゃこんなどんちゃん騒ぎは到底できなかった、いつも勉強の為にスケジュールを組んで、あらゆる事に血眼になって。

だが、自分はそれを苦しいとは思わなかった、魔法は使い方次第でなんにでも応用できる力だ、物質を生み出したり、体をドラゴンに変えたり、不老不死となったものすらいる。

自分は、子供の頃その何でもできる力に憧れた、誰だってそうだろう、そのために家出までするかは別として。

「ギセルも、そんな理由だろうな………。」

だが、ギセルはもしかしたら、あの生活の中でそれに疑問を持ったのかもしれない。

魔法の習得は苦難の連続だ、最強の力には違いないが、それが手に入るから別問題、当たり前の話には違いない。

私は、自分がそれを手に入れる事に疑問を持った事はただの一度もない。

ギセルはそうだったのだろうか。

私はそのあたりで思考を中断し、ワープで家に帰った………。




正直、こんな取ってつけたような急展開にするのは嫌いなんですけど、やはり主要人物の2人を少しでも掘り下げられないかと書いた次第です。

素人の書いたものと割り切っていただければ幸いです。

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