垣間見える過去1
「身体強化は前衛が使うものだ、魔法使いたるものもっと多様な魔法を使えなければならないっ!!それでは最初の攻撃魔法、ファイヤボールの習得に入る!!」
「ハッ!!よろしくお願いします!!」
俺はそう言ってギセルに頭を下げる。
「………よし、最終目標は火だが、俺たちがまず手を付けるのは………これだ。」
そう言って出すのは水を入れた瓶だ。
「魔法は魔力さえ足りれば見たものをコピーする事ができる、かなり大雑把で、非常に脆く、消耗も激しい………だが、最初の練習にはもってこいだ、さぁ、やれ、簡単な事だ、魔力をまずは放出して、それをこの瓶の水に変形する様子をイメージしろ、きっとできるさ。」
「ん?んんんんんんん????」
俺は瓶をじっと見て、その通りにイメージする。
「………あっ!………あぁぁぁ…………。」
「集中を切らすからだ………。」
一瞬宙に一粒の水滴が生まれるが、俺が集中を切らすと崩れてしまう。
「全く………だが、これでコツは掴んだだろう?あとは精度を高めていけ、これまでにやった座禅の精神統一も集中する助けになるだろう。」
俺はそうして放出した魔力を水に変える練習をする………が。
「だめだ………もう魔力が一握り程も出ない………。」
この感覚は、なんていうか、息を限界まで吐き出して、喉が凹む程吐いて、それででなくなった時みたいな感じだ、しかもそのときは尋常じゃない500mくらいダッシュした感じの疲労が襲う。
「そういう時は深呼吸して休め。それを続ければ治る。」
こうして5分事に休憩を挟みながら俺は練習を続けていく………。
3日目のことである。
「よし………じゃあこれをやってみろ。」
「炎………。」
ギセルが持ってきたのは蝋燭だ。
その上で炎が揺れている。
「………………………!!!!」
俺はそれをイメージしながら魔力を放出する…………。
「………出ましたね。」
空中に火の玉が浮かんでいた。
「………よし、じゃあ今度をそれを4つにしてみろ。」
「は、はい!!」
俺はそれが何個も空中に浮かんでいる姿をイメージする。
「………おっ、なかなか上出来だ、じゃあ今度はそれを更に大きくしてだな………。」
「………よし、まぁこれで基本はわかったろ、じゃあ………これがファイヤボールの魔導書だ、読んでみろ。」
俺はそれをさくっとみる。
「………これ、ここの文字じゃないですね。」
「魔法の設計を記すときは呪文文字という独自の文字が使われる、こいつを覚えなければいつまでたっても1つも覚えられんぞ。」
「さっきみたいに見たものをイメージするんじゃだめなんですか、ギセルさんが出して、それを俺が見て出すとか。」
「昔はそれでやってたみたいだが、これでも結構複雑なんだ、どうしてもオリジナルよりだいぶ劣化してしまうから、難しくてもオリジナルそのままに出すことができるこっちが主流になりだしたんだな。」
やってみたほうがわかりやすいぞ、そう言ってギセルはファイヤボールを打ち出し、頭程の火の玉が遠くで着弾した。
それを真似して自分も打つ………が、それでできたのは正円どころかグニャグニャ曲がった火球だった、一応打ってみたが数m進んだあと消えていった。
「………なっ?所詮こんなもんよ………だが、呪文文字はそんな大層なもんじゃねえ、習得は………半年後かな?」
半年後………ではなく3ヶ月後
なぜ3ヶ月後から始めるのか、それは俺の記憶に強く残った出来事があったからだ。
「失礼する。」
そういって入ってきたのはリューゼさんだった。
「帰ってきてたんですか………!?」
「あぁ………ところで、実は君にある人の場所を聞きたいのだが………ギセルについて知らないか?」
「いや………これから彼に魔法を教えて貰おうと支度してて………。」
「………ああ、そういえばやつがそう言っていたな………たしか試験に合格するためにやったそうじゃないか。」
「そりゃあ勿論Dランクの昇格………は正直身体強化で行けると思うんですが、やはりそれだけでは将来火力でまた詰まってしまうと思ったんです、だからこうして魔法を習得しようと………。」
「なるほど………。」
君の練習場所はどこだい、そう聞かれたので自分は外の草原ですと言うとその方向にリューゼは歩いて………歩かねぇわ、ワープで行ったみたいだ。
「………何があったのやら。」
まぁ、行けばわかる話か。
ギセル視点
「ギセル………。」
「なっ………!リューゼ!?」
驚いたよ、いきなり目の前に知り合いがフッて出てきたんだから………イタズラ半分でワープでアイツのところに行くのは少しは辞めたほうがいいかもしれない。
まさか、やるつもりか。
「私はこの前の試験に合格し、Bランク冒険者に昇格した………これがどういう意味か、わかるよなギセル。」
「………。」
「今日、私と戦え、その為に私は強くなったんだ………!!」
時は、コーイチが意識を失ってから一週間のときだったな。
俺は暇なので病室にお見舞いに行こうとするとき、向こうから彫刻みたいな顔に金髪を貼り付けた野郎がやってきたんだ。
「リューゼ………!!?」「ギセル!?」
「「なんで貴様がここにいるっ!!」」
そう一瞬怒鳴ったが、すぐにそっぽを向いてコーイチの病室に入ろうとした。
そのドアノブに手をかけたとき、アイツもまた手をかけていた。
「「何するんだ!嫌がらせか!」」
「「ここにはコーイチしかいないぞ!!」」
「「ハァ!?お前知り合いなのかよ!!」」
「「そして真似するのはやめないか!!」」
「「……………。」」
俺達は、治療にあたる司祭に無言で咎められ
、静かに病室に入った………。
「………。」
「………。」
俺達は、真っ白な病室の中で椅子を並べてコーイチの前に座っていた。
「………なぁ。」
「なんだ。」
「お前はどこで知り合った、冒険者ギルドでか?」
「そうだ、コーイチがDランク試験を受けたとき、試験官を務めていたんだ。」
「………じゃあ、こいつを落としたのも。」
「私だ、コーイチは立ち回りは非常に良かった、だが筋力が足りず、シールドを剣で貫けなかった、初級のものだ、他がどれだけ良くても、ここで受からせてはこいつの為にならないと思った。」
「お前は変わらねぇな、学園でもそうだった、なんでも出来て、そうやって相手を気遣うこともできる男だった。」
「アンタは変わったな。」
リューゼは唐突に厳しい口調になる。
「なぁ、ギセル、なぜお前はこんなところで道草を食っているんだ、お前の才能ならAだって取れたんだ、それを学園を中退して、こんなところで働き口も見つけずに、フラフラ歩いてるんだ。」
「ふっ、褒めてくれるね、俺は15年前校門でお前にその問いをされたとき、答えなかったな、今度も同じさ、なに、くだらん、くだらん理由だよ。」
「お前はそんな理由でやめる男じゃなかっただろう!勉強も、運動も、なんだってやれた、魔法も、遂に勝てなかった、今だって勝てるかわからない………なぜやめたんだ。」
「さあね。」
ギセルはコーイチをじっと見る。
「俺はいま、コーイチに魔法を教えてる。」
「………!コーイチは、エンペラーに倒される寸前、異様な身体能力の向上を見せた、そんな急激に上げる方法を私は1つしか知らない、だが、コーイチがそのやり方をどこで知ったのかずっと謎だった。」
「ほう?こいつが身体強化を………となると魔力操作もできるってことか、鍛えがいがあるねぇ、瀕死の重体になったとき魔力が跳ね上がったか………。」
俺は帰る、そういって俺は立ち上がる。
そうかい、こいつが魔力操作を………いいねぇ………。




