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つかの間の休暇

「退院おめでとう!!」

そう言ってみんなは喜んでくれた。

異世界転移から1年と11ヶ月、俺は退院した。

体が思うように動かない、すっかり筋肉も落ちてしまった。

「ありがとうございます!!」

「ねぇコーイチさん、これ、あなたが好きって言ってくれたケーキですよ?この日のために焼いちゃいました。」

「これは俺がいつも飲んでいる酒だ!10本はあるから存分に飲め!!」

それ以外にも、下宿の人間がみんなお祝いしてくれた。

俺はエンペラーの討伐でEランクにもかかわらず大活躍し、一時期カルドキア中で英雄になっていたらしい。

道行く人が退院を喜んでくれたりなんだりしてくれたが、ここでの歓迎はそれとは違うものがある。

「はいはーい!私来ちゃいましたっ!!」

そう言って入ってきたのはサンティシナだ。

だが、格好がおかしい。

「それ………受付嬢の格好じゃないか。」

「そうなの、今日受付嬢の仕事を初めてやったんだよ、でもここでパーティがあるっていうからそのまま来ちゃったの。」

「駄目に決まってるでしょうが。」

そう言って更に入ってくるのは受付嬢のサーラさんだ、こっちは私服に着替えていてなんだか別人に見える。

「何してるんですか、その姿でここまで歩いてきて、制服は業務時間外に着用禁止です、来るにしても着替えてから来るように。」

ええ〜、と言って耳をつまむサーラに抵抗するがあっけなく連れ出されてしまう。

「………うぅ、ブルっときた。」

そうドレッドが震えながら呟く、なんかサーラさんにトラウマでも植え付けられたのだろうか?

そのとき、壁に穴が空いて、そこからひょっこり現れたのは………。

「ギセルさん………!?」

「ハッハッハ、ようコーイチ、パーティやるって言うからな、来てみたんだ………。」

「おう、そこのヒゲの、コイツを飲まないかい?酒が好きそうな面してんじゃねぇか。」

「ありがとうっ!!………すげえ量の酒だな!久しぶりに飲めそうだ!」

まぁそんなことはさておき、俺達は一階のスラニスさんの部屋があるのだが、そこに大きな広間がある。

そこに10何人も集まって料理を食べながら俺達はいろんな話をした。

途中からは受付嬢の服を脱いできたサンティシナも加わった。

そして、やはり話題の中心はゴブリンエンペラーのことだった。

「しかし、よくお前エンペラーに攻撃が通ったなぁ。」

「あのときは魔力が20倍になってたからなぁ………今やってもDランク相応だと思うぞ?」

「まぁ、それはそれで全身骨折してる中よく動いたなという話だが。」

「ゴブリンって、本とかじゃ雑魚の定番だけど、エンペラーってそんなつよいの?」

「強いどころじゃないぞ?なんせ身長は6m、体重は700kg位、もう何もかも規格外だったな………。」

「そうなんだ、私が来たときにはもう解体されて私の頭くらいの魔石しか残ってなかったよ。」

「解体の話だがなぁ、あの魔石は凄いぞ!金貨100枚分の値打ちはあるね、売るところに売れば300枚も行くかもしれん。」

「なんだかんだAランク冒険者って数百人はいるし、Bランクなら数千はいた気がするんだけど?」

「いくら冒険者がいたって、狩る魔物がいなきゃ話にならんだろう、Aランクだって普段はCランク程度で、AやBは遠くに遠征するときしか狩らないらしいぞ?」

「そんなもんなのね。」

「そんなもんさ………うん?待てよ?あのゴブリンエンペラーが持ってた剣どうなったんだ?」

「それジャイアント・キリングのリーダーがホクホク顔で持っていったぞ?」

「マジか!あれミスリルでできてたんじゃ………。」

「着てた服は衣服工房の人が買い取ってたなぁ、なんか練習に使うとかなんとか。」

「骨は大きいから工芸品に使うらしい、特にデカイのはモニュメントにするとか。」

「捨てるところがないんだな。」

「それがな?肉や臓器がまるで使い道がないんだよ、研究機関がサンプルに幾らか買い取ってあとは畑の肥料にしようと農民の連中が奮闘してんだよ………。」

そんなこんなで話も出尽くし、料理を食べ尽くすと、一人一人帰っていく。

「あっ、スラニスさんですか?私皿洗い手伝います!」

「そう?じゃあお願いね?」

サンティシナが着々と皿を運んで、それが終わると丁寧かつすばやく片付けていく。

「あらぁ、随分手慣れてるんじゃないの。」

「まぁ、私農作業はやらずに家で家事とかやってたんです、料理だってできますよ?」

「そうなの?フフッ、じゃあ今度ここでお料理一緒に作ってみない?きっと楽しいわよ〜

?」

「はいっ!!」



「ふぅ…………。」

今日の夜はやたら冷え込んでいて、それがパーティの熱狂を冷ましていく。

「………ん?」

ふと横を見れば、そこには女の子が立っている、これまた幼さが顔に出ている、17あたりといったところか。

「………もしかして、あなたがコーイチさんでしょうか?」

「はい、俺が幸一です、貴方は?」

「私………あの、ゴブリンの巣のとき、助けてもらったんです、あなた達に………。」

「???君のような子はいなかったんだけど………。」

「違います、あの、おっきなゴブリンの部屋に連れて行かれてて………ほかの人はみんなあなたが助けてくれたんですよね、みんなありがとうって会ったら伝えてくれって。」

ああ………結局自分は潰れて助けられなかったが、あのとき連れていかれたという子か。

「………あの!!」

「はい?」

「これっ!お願いします!!」

そう言って渡されたのは、1つのお守り?らしきものだ。

いや、別に下手だった訳じゃなくて、むしろとてつもなく丁寧に作られていて、だがお守りにしてはあまりにも日本と様式が違いすぎていたから一瞬わからなかったのだ。

その子はそれを渡すと、サッサとかけていってしまった………。


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