ゴブリンエンペラー
………ソウカ、敵ガキタトイウノカ………。
………ソロソロ、雑魚バカリデ飽キテキタ頃合イダロウ、出シ物ヲ出スゾ………。
「………なんだアレは!!」
ジャイアント・キリングはその足を突如として止める。
そこに経っていたのは、ホコゴブリンより更に一回り大きいゴブリンキング、それが何体も。
しかも彼らはそのすべてが骨でできた鎧と大剣で身を包んでいる。
「………ビックリしたな、あれがゴブリンナイトか、エンペラーが一度出ると、それ以降ゴブリンキングに進化するゴブリンはみなゴブリンナイトになると言われている………彼らは知能以外すべてゴブリンキングと同格、その戦闘力さえも………。」
ジャイアント・キリングのメンバーは全員が身長2m、鎧のおかげで2m10cmに届こうかというくらいだが、ゴブリンナイトはそれを上回る4mとなっている。
大剣をブンと振り下ろし、それをメンバーの一人が真正面から受け止めた………。
「なんだ………?この振動は。」
おれは女性達を入り口に案内する間、振動を感じ足をとめ、女性の中でも特に疲労がこい人は怯えだす。
「安心して、大丈夫、大丈夫だから………。」
それをさっきの元気な女性が慰め、おれはそれを見て前進を再開する。
しかし、彼女たちを町まで連れて行くとなると、とてつもない距離を歩く事となる、彼女らは素足だし、そうじゃなくても何ヶ月も地下に缶詰ではまず体力が持たない。
そもそも、俺一人で彼女らを野生の生物から守れるかわからない………。
ひとまず外にでる。
日光が眩しい。
すると、林の方から見慣れた影が出てくる。
「ギセルさん………!!?」
「やっぱり不安だったんでな、ちょっと来てみたんだ。」
そうだ、とおれはギセルに頼み込む。
「ギセルさん、ワープ魔法で彼女らを町まで連れて行ってほしいんだ。」
「ん?いいが………なぜみんな嫌な顔をしているんだっ!!」
ギセルの外見は、ワイルドなニート、と言うのが一番しっくりくるものだ。
当然アレな方向で地獄の日々を送った彼女らが信用するはずがなく、すうどい目でギセルを見ている。
「だ、大丈夫ですから………。」
なんとか説得して、ギセルのワープ魔法でワームホールを作り出し、そこを通って町に転移した………。
おれはギセルと別れを告げて、洞窟に戻る。
「………来たか、今戦いは大詰めと行ったところだ、ところで、見つかったんだろうな、だとしたらちゃんと安全は確保してるんだろうな……。」
そうリューゼさんがちょっとすうどい目で疑ってくるので訂正する。
「違います、ほっぽりだしたんじゃないんです、ちょっと友人に預けてきまして………。」
「………?まあいい、こちらはすでに倒した数が1000を超えたかというところだ、この先の広間を制圧すれば、あとはなんとでもなるだろう………最も、そこにエンペラーもいるだろうがな。」
その時、横の壁がいきなり崩れ………そこからジャイアント・キリングと、骨で全身を覆った巨大ゴブリンがぞろぞろと出てくる。
「すまない!!俺達では止められん、Bランクが8体だ!!」
Bランクが8体、その瞬間部隊に緊張が走った。
「ここはCランクの私たちが対応する!!お前たちは下がっていろ!!」
そうリューゼさんが強く怒鳴る。
その気迫に押されて自分たちは下がる。
ジャイアント・キリングの人達は少しずつ、少しずつだが押されていく。
その巨大ゴブリンの顔面にリューゼさんの極大火球が直撃する。
ダメージもさることながら、ゴブリンは思わず後ずさり、そこを仮にもBランクのジャイアント・キリングが見逃すはずもなく………。
メンバーの一人が大剣を振り下ろし、巨大な体に巨大な刀傷をつけた。
「1体やったぜ………!!」
Cランクの剣士の人が巨大ゴブリンの左右に立って、傷を増やしていく。
「………!そうだっ!!」
突如として、巨大ゴブリンの足元の地面、それがグニャグニャ揺れる。
巨大ゴブリンは最早立つのに必死で、中にはずっこけたやつもいた。
「今だぁぁぁぁやれぇぇぇぇ!!!!!」
ジャイアント・キリングの人達が、何と2m程とんだ。
あの超重量の鎧に踏みつけられるだけでも大ダメージだが、その上で大剣が振り下ろされ、次々巨大ゴブリンは死んでいく………。
ジャイアント・キリングとも合流し、満を持す形となった俺たちはついに大広間と思われる空間に突入した。
「………ホウ、貴様ラガ私ヲ倒シニキタ冒険者カ。」
「………!喋った!!?」
ありえん、そう冒険者から声が漏れる。
目の前のゴブリンはさっきのゴブリンより更に一回り大きい、背丈など6mはあるだろう、雑魚のゴブリン達とは偉い違いだ。
脇に2体の巨大ゴブリンが控えており、それと比べても段違いの大きさだ。
「残念ナガラ、出シ物ノ見物料ハ高クテナ、貧乏人ノ貴様ラヲココカラ先ヘ通スノハ許サン!!」
そう言ってエンペラーは腰に差された金で少しだけ装飾された優美な剣………まぁ俺たちからしたら大剣なのだが………を抜き放つ。
防ぐ暇もありはしなかった。
エンペラーはジャイアント・キリングのメンバーに目星をつけ攻撃したのだ。
その一人がぶち当たり、ふわりと浮き上がる。
ドォォォォン!!と落ちたとき凄まじい音がなる。
だが………次の瞬間には起き上がっている。
「お前、何してんだ、せっかくの鎧がひしゃげてるぞ。」
「これはこれでイカすってものでしょう!」
ジャイアント・キリングのメンバーはそんな冗談を飛ばしながら改めて突進する。
エンペラーはクルリと回り………今度の回転切りは全員が大剣でガードした、しかしそれでも後ずさりするほどの衝撃であった。
「今度も君達は下がっていろ!こんな化物と戦ったところで無駄死にだ!!」
そう言ってリューゼさん率いるCランク冒険者も駆け出していく………。




