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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第六章 エンシャル帝国編
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第九十話 武闘大会本選「ねえねえ、今どんな気持ち?」

「は?」


 俺の言葉に唖然とする主人公。


『バベル選手、なんともまあ突拍子のない事を言い放ちました』

『強制力はないから意味のない言葉でござる』


 外野も唖然としている様だ。


「そんな言葉を僕が聞くとでも?」

「ああ。聞く。お前は聞かないといけない」

「どういう意味だ?」

「確か半年前言ったよな。何でも一つ言う事を聞くって」

「っ!」


 主人公君が息を呑む。


「今ここでその約束を果たしてもらおう。降参しろ」


 ――バベルは鬼畜だな。


 ――なーにを言っている。ただ使える物を使っただけだ。


 マモンが少し引いたような雰囲気をだす。


「……ぼ、僕がそんな言葉を聞くとでも?」


 主人公君は睨みながら言ってくる。


「レオ君も冒険者なんだろ? じゃあ約束は守らないと。冒険者は信用が命。約束も守れないようじゃ冒険者失格だ」

「……降参だ」


 主人公君は手を上げて呟いた。


『うわー。またしても降参だ! バベル選手、二試合も戦わずして降参まで追い込みました!』

『バベル殿はいったいどんな手を?』


 ――半年前の約束を使うとはな。


 ――主人公君は正義感が強そうだし、約束は守ってくれると信じていたよ。


 地面に手をついている主人公君を見る。少し煽ってみるか。


「ねえねえ今どんな気持ち? 敵をとるどころか、戦えなかったなんて」

「うあー!!」


 主人公君は聖剣を手にして俺に斬りかかってくる。


「おっと」


 しかし、主人公君の弱点は攻撃をする方向に魔力を向けること。楽によけられる。


『降参してからの攻撃は反則です!』

『鬼畜でござる。降参させるだけじゃ飽き足らず、反則までさせるとは』


 主人公くんは闘技場の人の連衡されていった。


 ――レオは完全な被害者だな。このクズ野郎!


 ――なんとでも言え。勝つためにはこれがベストだ。


 連衡されていく主人公君には、少しだけ悪いと思おう。



 ◇



「いやはや。負けた負けた」


 次の試合、俺対ニコニコお姉さんの試合。負けた。完膚なきまでに。


「まあ、仕方ないよね。二試合続けてだし」

「いや、バベルはまともに試合したっけ?」


 ベンチに座ってあの試合を思い出す。相手の大将だけあって、強かった。見るからに魔法を使う感じなのだが、半年前主人公君の師匠だと言っていたのを思い出すべきだった。

 あの不気味なお姉さんは完全な魔法剣士だったのだ。魔法と剣を同時に使い、あっという間にやられた。ロリっ子との試合で魔力を使いすぎたのもあるが、メチャクチャ強かったと言える。あれは下手したらBランク以上。Aランク冒険者の実力はあるかもしれない。まさかあそこまで強いとは。


 ――確かにバベルが負けたが、お前もハンデを被って戦っていただろう。魔法使用禁止、魔力半減で戦闘開始、必殺スキル使用不可能。貧弱なお前が二試合も続けてやったし、爆虫を召喚する間もなかった。


 ――終わった後にいろいろ言ってもしかたないし、次に任せよう。


 ……待てよ。ジュカルの実力を俺は今一把握していない。Aランクの魔物を相手に時間稼ぎが出来るぐらい強いが、あの見た目詐欺お姉さんより強いのか? もしかしたら大将まで回るかもしれないな。実力としては桜に匹敵するうちの秘密兵器に。


『さあ、副将ジュカル選手VS大将ユーリエル選手との対決です』

『ジュカル殿の強さは未知数。大してゆーりえる殿の強さはさっき見たとおり、ジュカル殿では少し難しいかもしれないでござる』

『さて、試合開始が迫ってきました』


 ジュカルと起用貧乏お姉さんは対峙する。ジュカルは自信なさげに軽く笑い、緑髪お姉さんはニコニコとしていて、なにを考えているか読めない。

 そして、試合が開始された。


 ジュカルはまず距離を取る。師匠さん(そろそろバリエーションがなくなって来たし、師匠さんと呼ぼう。特に意味はない)は、異空間から細剣を取り出す。あれはかなり高価な魔道具、異空間収納指輪。白金貨数枚はくだらない値がする。


「――火よ、剣を包め」


 師匠さんは細剣に火を纏わせる。あれは杖の役割も果たしているのだろう。そして、剣先を距離を取っているジュカルに向ける。


「炎弾」


 纏わせた火が、剣先からジュカルに飛んでいく。しかし、ジュカルはそれを避けて、ユニークスキルを使った。


「『盗賊の右腕』」


 ジュカルがユニークスキルを使うと、師匠さんの細剣が消える。


「え!?」


 その細剣はジュカルの手に有った。


「『盗賊の右腕』」


 ジュカルはこりずにユニークスキルを使い、次はローブを奪い取る。


「きゃ!」


 師匠さんが悲鳴を上げるが、構わずジュカルはユニークスキルを使って、服を剥ぎ取る。すると、観客席に居る男どもから『おー』という声が上がった。ジュカルはすべてを無視し、さらにユニークスキルで服を奪い取る。師匠さんも、杖代わりの細剣が奪われ、遠くに居るジュカルに攻撃が出来ない。ジュカルが降参しないと最後まで服を奪うぞと暗に告げているのだ。攻撃手段を奪われた師匠さんは反撃する事も出来ず、降参を宣言した。乙女の肌を大衆の目に晒される事は避けられたようだ。


『うーむ。私も男なので、少し惜しい気持ちもありますが、準決勝を制したのは、チーム果てなき夢です!』


 へえ。エルはその名前でチーム登録をしたのか。


『ジュカル殿ははれんちでござる。男は狼でござるな』


 安心しろ。桜の裸体なんてロリコンしか見たくないだろう。


 ――今度その言葉を桜に言ってみたらどうだ?


 ――はは。殺されるから言わない。


 ジュカルも俺と同じ穴の狢と分かった試合だった。



 ◇



「さて、決勝進出か」


 俺達はこの前来た焼肉屋で、準決勝を勝ったお祝いをしていた。


「今回はバベル君もジュカルも卑怯な手を使って勝った試合だったね」

「なあに。勝負は勝てばいいんだよ勝てば」

「普通に戦ったらめんどくさいからな。俺もバベルと同意見。勝負は勝てばいい」


 どうやらジュカルとは気が合いそうだ。金を盗んだ事は認めないけど。


「ハム、ハム。我も活躍したにゃ!」


 焼肉を一生懸命食べていたニャルカが話に参加してくる。


「そうだね。ニャルカはがんばったと思うよ」

「にゃはー」


 エルに頭を撫でられてニャルカはご機嫌だ。美少女と戯れる猫。うむ、良い風景だ。


 ――エルフィルは男だけどな。


 ――正確には男の娘だけどな。


 エルは男の娘。女の子の話題にもついていってるし、女湯に入ってもエルは許されそう。うらやましい。


「え?」


 エルはなにかの紙を見つめて驚きの声を上げる。


「ん? なにかあったのか?」

「あはは。なんでもないよ」


 エルがなんでもないって事は聞かれたくないって事だろう。明日も早いし、もう寝よう。

 最近つきみうどんを食べたのですが、あれってタマゴどうするのが正解なのでしょう。最初にタマゴをつぶして麺に絡めるのか、途中でつぶすのか。最後に黄身を食べてしまうか。まあ、正解はないんでしょうね。そういうのは人それぞれ。

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