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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第六章 エンシャル帝国編
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第七十話 浮気調査

 俺達がこの都市に来て数日後。十の月1日。野良猫らしきものが宿の窓の外に居たのを爆虫を使って追い払ったのと、桜とエルがなんか変な感じがしたと呟いた以外は普通にCかDランクの依頼を達成する毎日だった。

 その日は俺とニャルカで冒険者ギルドに向かっていた。


「ふにゃー。眠みいにゃ」

「お前はいつも昼寝してるよな」

「まあ、我にもいろいろあるにゃ」


 ニャルカが何か考えているか疑問だが……。


 ――お! 着いたぞ。


 マモンの言葉通り、前方には冒険者ギルドが在った。


 今日は休日だが、俺とニャルカがギルドに来たのは理由がある。それはギルドの酒場で安い朝ご飯を食べる事と、依頼の確認をしに来たのだ。


 ――特に目新しい依頼はないな。


 ――そうだな。この、墓地に棲み着いたグレートスケルトン討伐ぐらいか? 簡単そうな依頼だけどな。


 ――簡単そうな依頼でも油断は禁物だマモン。


 ――分かっている。


 この辺りは危険が少ないので、Cランク以上の依頼は少ない。この都市にはBランク冒険者が二人しか居ないぐらい平和だ。


「ふにゃー。用事が終わったらさっさと酒場に行くにゃ。我はミルクでいいにゃよ?」

「子供っぽいなー」

「にゃ! しょうがないではにゃいか。わ、我は酒が飲めないのだかにゃ」


 最後の方は小声になったニャルカは、俺の頭の上で少し落ち込んだように体重を掛けてきた。

 そんな事をしているところに、受付嬢さんが声を掛けてきた。


「あ! ちょうど良いところに」

「なんですか?」

「実は、果てなき夢の皆さんに指名依頼が来ているんです」

「ええ!」


 指名依頼。それはその冒険者を指名して依頼をする制度。その分依頼料は高くなるが、いろいろめんどくさい依頼が多い。


「ちょうど今依頼主が来ているので、来て下さい」

「ええ。ちょっと俺だけで判断は……」

「あなたリーダーでしょ! 取り合えず話しだけでも」


 そう言われて、ニャルカと共に受付嬢さんに引きずられ、談話室まで連行された。


「初めまして。僕の名前はガルバルバストルダと申します」


 ソファに座らされ、受付嬢さんが出て行ったところで対面に座って居る優しそうな男性が挨拶をしてくる。


「あ、俺の名前はバベルと申します。こっちで退屈そーに座っているのがニャルカです」

「にゃ」

「おお。妖精族。そのケットシーですか。これはかわいらしいですね」

「にゃ」


 にゃ、としか言わないニャルカは、俺の隣で退屈そーに座っている。


「それで、ええとガル……」

「ガルバルバストルダです」

「あ、すみません」

「いえ、何時もの事なので」


 ――マモン。覚えておいて。


 ――えー。はあ。しょうがないな。ガルバル……なんだっけ?


 ――お前もか!


 しょうがないからガルガルさんで。


「それで、依頼とは?」

「……それは、僕の妻。ティーニャルダパルカスナの浮気調査をしてもらいたい」


 奥さんの名前もなっが! ……ちょいまち。今なんて言った。


 ――浮気調査と言ったぞ。


 ――それは聞いた。


 どう言う事だ。


「はあ、それで、なぜ俺達に依頼を?」

「それは、あなた達が脱獄王と言われているからです」

「確かに言われているらしいですが、それと関係が?」

「あのアルバス王国で有名な刑務所を脱獄したとなれば、隠密能力も凄いはず。だから依頼に来ました」


 たしかに隠密能力はあるが、それはエルが居ての物。エルが居ないと俺達に隠密能力なぞ皆無。


「それで、期限は?」


 今日はエルが少しバイトするからとギルドで日雇いの依頼を受けて朝早くから出かけている。なので、依頼は明日になるだろう。


「今日中にお願いします! 妻が他の男と一緒にいるなど許せない」

「えぇ」


 浮気調査を今日中に? 無理だろ。普通は張り込みを何日も続けて証拠を揃えていくもの。しょうがない。断るか。


「お断りさせて……「依頼料金は金賀五枚!」

「受けさせて頂きます」


 依頼料を聞いて、その言葉はしぜんと俺の口から出ていた。



 ◇



「にゃーんか。変な依頼受けたけど、良いのかにゃ?」


 ――まったく金に釣られて依頼を受けるとは。


 ニャルカはじと目で聞いてくるし、マモンもあきれ声だ。


「大丈夫だ。多分」

「我は退屈だからまあいいけどにゃ」


 そんな会話をしながら、ガルガルさんの奥さんテ……なんだっけ?


 ――たしかティーニャルなんちゃらだったはず。


 ――じゃあティーさんで。


 そう、ティーさんの職場を物陰から俺とニャルカは見つめていた。

 この依頼は証拠を掴んだら達成だとの事だが、今日中に証拠を掴めるかは分からん。


「我聞いてにゃかったけど、にゃんで浮気を疑ったにゃ?」

「それは、ガルガルさんの友達がレストランで知らない男と一緒に食事している場面を見かけたらしい」

「ふーん。奥さんの職業はなんにゃ?」

「服を作る仕事だってよ。朝早くから行って、昼過ぎには終わるらしい」

「ふーむ。面白そうにゃ」


 ニャルカもノってきたようだ。


 それから数時間は何も無い時間が続いた。物陰から近くで買った一本銅貨二枚の串焼きをニャルカと食べながら、監視していると……。


「あ! 出てきたにゃ」


 仕事を終わらせた女性が数名扉を開けて出てきた。


「緑の髪に赤い目。優しそうな雰囲気の20代前半ぐらいの女性。まちがいない。あの人だ」

「見つからない様に尾行にゃ!」


 ティーさんは他の人と別れ、裏通りの方向に歩いて行く。それをつけ回す赤髪の男俺と猫。これを怪しくないと言わずなんと言うのだろう。

 尾行する事数十分。ティーさんは、小さなレストランの前で待っていたと合流し、店内に入っていった。


「証拠ゲーットにゃ!」

「だが、どうする? 映像記録の魔道具は持ってないぞ」

「証言だけでいいんじゃにゃいか?」

「それだけだと弱いな。少数の意見は多数によって抹殺される。確固たる証拠がないと……」


 いろいろ迷っている内に食事は終わり、ティーさんと男性は別れた。


「どうするにゃ?」

「どうしよう?」


 ティーさんを追うか? いや、もう怪しまれない様に家に帰るだろう? では男性? しかしそれでなにか掴めるか?


 ――なあ、ふと思ったのだが、あの男を路地裏に引きずり込んで、ニャルカの催眠波動を当てて証拠を証言させたらどうだ?


 ――その手があったか。


 そうと決まればすぐ決行。ニャルカに事情を説明し、裏通りを歩く男性を路地裏に引きずり込む準備をする。

 男性が通るであろう道の横に先回りし、男性が通りかかるのを待つ。


「きた!」


 丁度通りかかったところで、腕を引いて裏路地に引きずる込み、ロープで縛って猿ぐつわを噛ませた。


「流れる様な手際で捕まえたにゃ」


 ――お前は天才か!


「そう褒めるな。ニャルカ、頼む」

「にゃ!」

「んー! んー!」


 唸っている男性にニャルカが催眠波動を当てると途端に大人しくなる。


「さあ、喋ってもらおうか」


 猿ぐつわを外し、静かになった俺は男性に向かってそう言った。



 ◇



「バベル」

「これはアレか。すれ違いというものだろう」


 俺達は男性が喋った真実を聞いて、呆れていた。


「どうするにゃ?」

「記憶を消して置いておくぞ」

「にゃ!」


 ニャルカはそう叫んで記憶が消える様にユニークスキルをかけ直す。


「じゃあ依頼主に報告しに行くか」

「にゃ!」


 男性を縛っているロープを外して放置しておき、俺達は依頼主の自宅に向かった。



 ◇


 ――夜。


 鍋で食べ物を煮炊きする音と、皿同士がぶつかる音が響く家にティーニャルダパルカスナは帰宅した。


「ただいま~。ごめんね遅くなって」

「お! ただいまティーニャ」


 ガルバルバストリダは遅くに帰宅した妻を迎え入れる。


「それで、どうしたの? この料理は?」


 ティーニャが帰宅して最初に目に着くのはテーブルの上に置かれた数々の料理だろう。その料理の見た目は王宮料理でもそうそう見ない物だ。


「もちろん。とある人達に手伝って貰って作ったんだ。今日はアレだろ?」

「うん。あなた。遅くなってごめんね。今日は記念日なのに」

「いいよ。さっきまで僕も忘れてた」

「あなた、コレ。プレゼント」


 ティーニャは鞄から箱に入れられたプレゼントをガルバルバストリダに渡す。


「ありがとう」

「選んでたら遅く為っちゃった」

「うん。じゃあ、僕からも」


 そう言ってガルバルバストリダもティーニャにプレゼントを手渡す。


「……ありがと」

「さて、食べようか」

「うん」


 夫婦はテーブルに着き、談笑しながら料理を食す。今日は彼らの結婚記念日だから――




 ――俺とニャルカは大衆食堂で夜ご飯を食べていた。


「にゃー。美味しいのにゃ!」


 ニャルカはフォークを器用に使い、芋の煮物を食べる。


 ――まさか、夫の好みを聞くために夫の古い友人を訪ねていただけだったとはな。


 ――そうだな。


 蓋を開けてみれば簡単な事だった。そろそろ結婚記念日だから、そのプレゼントの為に夫がどんな物を好むか調査していただけだった。ガルガルさんにそのことを伝えると、なっとくして妻を疑った僕を許して下さいと神に懺悔し、壁に頭を打ち付け始めたのを慌てて止め、気の済まないガルガルさんは結婚記念日の料理を作る事にするというので、俺達は手伝って来たのだ。


 ――休日一日潰れたけど、追加料込みで金賀六枚も稼げたし万々歳だな。


「バベルも考えたものにゃ。盛りつけだけ(・・・・・・)をするにゃんて」

「まあ、俺が考えたんじゃなくマモンが考えたんだがな」


 知っての通り俺が料理をすると見た目こそ王宮料理に匹敵するが、味だけはゴブリン肉に匹敵する料理が出来る。なので、マモンがこう提案したのだ『盛りつけだけやれば味は兎も角見た目は王宮料理並になるのではなか?』と。それは大成功。ニャルカとガルガルさんが作った料理を皿に並べるだけで凄い料理が出来るのだ。


 ――ただシチューを注ぐだけで見た目まで変化するのは魔法かになかかな?


 ――俺にも分からん。


 なぜ注ぐだけであそこまで豪華な料理になるのかは、永遠の謎だろう。


「古代兵器強欲……」

「ん? 何か言ったか?」

「んん。にゃんでもにゃい」


 その日は遅くまで店に入り浸った。

 今回の話しはどうだったでしょうか? 可成り思いつくままに書いたので、いろいろおかしいところがあるかもしれませんが、ご容赦を。


Q 今回の登場人物の名前が長いのには理由が?

A まったく。なにも。


Q 今回の登場人物の名前はどうやって決めたの?

A ちょー適当。

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