第五十八話 無人島そのわん!
番外編を二本だすと言ったな。あれは嘘だ! 本当にすみません。m(_ _)m書けませんでした。
と、いうわけで六章開始。
朝日が照り、鳥が飛ぶ海の上を俺達は爆虫に乗って進んでいた。
「そろそろお腹空いてきたね」
ちゃきいに乗っていたエルが、俺達に向かってそう言ってくる。
月光国を夜逃げしてから夜が明け、朝になった。
ずっと暗い中(青の炎と赤の炎の明かりがあるとはいえ)爆虫に乗って海の上を飛んでいたし、その間なにも食べていない。エルがそういうのも、うなずける。
「じゃあ、島が在ったら、そこに下りようか?」
「うん! 賛成!」
エルも俺の提案に賛成し、桜とニャルカも賛成した所で、俺達は島を見つける為に辺りを見渡しながらエンシャル帝国に向かって少しスピードを落として、進み出した。
◇
「んー。アレは何でござるか?」
くろまめに乗って海の上を進んでいると、桜が海の一画を指さしながら言う。
「ん? アレって?」
俺も桜の指した方向を見るが、特に何もない。同じく視力が良いエルを見ても首をかしげている事から、エルにも見えていない様子だ。
――バベル。赤の炎を目に集中してみろ。
俺が首をかしげていると、マモンがそう言ってくる。
――どういう事だ?
――やれば分かる。
それ以上マモンは説明してくれそうにないので、自分の赤の炎を操作して目に集中させる。
炎を一部分に集中させるのは、可成り大変だ。俺も満足に出来る訳ではない。
「……アレか?」
「見えるでござるか?」
赤の炎を目に集中させると、進行方向より右側に島影らしきものが見える。
「炎を目に集中させればな」
「せっしゃもやってみたいでござるー!」
俺が目に炎を集めていると、桜がそう言ってくるので、炎を桜に上げる。
「うーん」
桜は受け取った炎をうんうんうなりながら操っているが、なかなか上手くいっていなさそうだ。
「難しいでござる」
そうだろうな。炎を渡せる事と、炎を操れる事は別問題だ。俺は炎を操るコツがなんとなく分かるが、桜はただ渡しただけ。普通に回復力と身体が強化されただけと割り切って使えばかなり役に立つだろう。
――そういえば私はなぜバベルに炎を渡したんだろう。
――さあ?
あのとき勢いで手に入れた炎を、マモンが疑問に思いそうなので、話をはぐらかす。今炎を没収されたら、たまったもんじゃない。
「じゃあ、その島に言ってみようか?」
「そうだな」
他に島影は無さそうだし、俺達は少し進路を変えて、島へと向かった。
◇
「あそこに下りるか?」
「だね」
この島には砂浜はなく、岩場だけの島だ。そこの一画に、いい感じの場所が在ったので、爆虫をそこに向かわせる。
そこは広くなっており、前には海が見える高台だ。その後ろは森なので、食べ物を取る事は出来るだろう。
「いい感じにゃ。ここでキャンプかにゃ?」
「そうしようか?」
「いいでござるな」
エルもニャルカも乗り気だし、ここを拠点にするか。前は海で後ろは森。食べ物とかには困らなそうだ。
「じゃあ、ここにするか」
満場一致で、ここを拠点にする事を決める。
「じゃあ、仕事だ」
「なんでござるか?」
俺達は荷物を纏めてあったとはいえ、食べ物も少ないし、テントも持っていない。それを整える事が先決だろ。
「食料を取る係と、拠点を整える係だ」
「じゃあ、我は魚を釣ってくるにゃ!」
ニャルカが一番にそう言ってくる。
「釣り竿はどうする?」
「これが有るにゃ」
ニャルカはがまぐちから、一本の竿を取り出す。
「これは我が故郷でよく使った釣り竿にゃ!」
その竿はニャルカのサイズに合わせてあり、ニャルカ専用だと分かる。
「じゃあ、せっしゃが拠点を整えるでござる。森の材料で簡易的なテントも作る事が出来そうでござる!」
「じゃあ、ボクは森で食料集めだね」
「俺もエルと行こう」
話し合いの結果、俺とエルが森へ。桜が拠点作り。ニャルカが釣りに決まった。
「ニャルカは桜と離れすぎるなよ。危険な魔物が居るかもしれないし」
「分かったにゃー!」
ニャルカは釣り竿を担いで、海沿いを歩いて行った
「じゃあ、ボク達も行こうか」
「だな」
俺達はこの場所を桜に任せて、エルと一緒に森に入った。
森の中は明るく、木々が生い茂っている。ツタが絡まり、草も刈られた跡がないことから、人は住んでいないのだろう。
「……ねえ。アレは」
辺りを観察していたら、先頭を歩くエルが声を掛けてくる。
「んー。あれは……」
エルが見つけた物の場所まで行く。すると、ツタか何かの実がぶら下がっていた。
「……なんだこれは」
「なんだろ。見たことあるようなないような……」
そう言って、エルは腕を組んで考え込む。
「あ! これはたしかユキの実だよ!」
エルは少し考えた後、そう叫ぶ。
「ユキの実?」
「王都の冒険者ギルドの依頼で出ていたんだよ。たしかAランクだったかな?」
「Aランクの依頼の実だと!」
俺はその話を聞いて、ツタからぶら下がっている実を良く観察する。実は確かに雪のようの白く、2㎝ほどの綺麗な円形。房からいくつもの実がぶら下がっている。
「この実がそんなにするのか?」
「うん。たしか、美味しいのもちろんの事、美容に凄く良いらしい。世の婦人達は、この実を求めてお金を惜しまないとか」
なるほど。貴族の婦人達が買うのか。こんな実にお金を惜しまないって。
「この実を食べると肌はスベスベになり、10歳若返るんだって」
「なるほど。まあ、持って行くのは無理そうだな」
エンシャル帝国に持って行って、法外な値段で売りつけてやってもいいが、エンシャル帝国まで持たないだろうな。
「置いておくのも勿体ないし、ボク達が食べちゃおうか」
「それが良い」
「まあ、調理法が特殊だし、食べられるのは明日かな?」
俺達は適度に実を残して、ユキの実を採取した。
「いろいろ取れたね」
「だな」
ユキの実を取った後森を歩いて入ると、ユラユラの実という一般的に秋に食べられる果実や、風船の実という大きく膨らんだ実を見つけた。
「そういえば、この森には動物や魔物が居ないね」
「そうだな。そういう島なのかもしれん」
そう、この島には小動物も魔物も居ない。ただ、島に森が広がっていて、その中にはいろいろな実がなっている。
「肉は取れないから、ニャルカが魚を釣ってくるのを期待するしかないね」
「そうだな」
さすがに海に魚ぐらい居るだろう。肉の代わりに魚を食べるのもありだ。
――まあ、それもニャルカが魚を釣ってきてくれたらだけどな。
――そりゃそうだ。さすがに0匹はないだろうけど。
「あ! 森が抜けた」
マモンと会話をしていると森を抜け、島の反対側に出る。
「海が広がっているな」
島の反対側は広ーい海。島影もないし、なんにもない。
「いろいろ取れたし、もどるか」
「うん。賛成」
俺達はもう一度海を見た後、森へと入った。
「これはちょっとした湖だね」
さっきとは違う道を歩いていると、小さな湖を見つけた。
「水浴びは出来そうだ」
木々に囲まれていて、水はとても澄んでいる。
「ここは覚えておこう」
俺はこの場所を記憶して、桜達が待っているキャンプ地へと戻った。
最近シリアスな内容ばっかり書いている気がするので、ここらで切り替えていきますよ。




