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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第四章 王都編
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第三十一話 ツッコミとボケはセットでどうぞ

何でこんなサブタイトルにしてしまったんだろうか……。

「そのー、確かにCランク冒険者だという事は分かるのですが、あまりにも怪しい方はちょっと……」


 俺、バベルは、王都の門で衛兵と押し問答になっていた。


「俺の何処が怪しいんですか!」

「いやいや、変な虫に乗って頭に猫乗せて仮面を付けてるなんて充分怪しいでしょう!」

「怪しくなんてありません!」

「貴方が怪しくなかったら何も怪しくありません!」

「あの、裸の男とか怪しいじゃないですか」

「あれは怪しいではなく、変態です!」

「あの人に失礼だぞ!」

「裸の男なんてりっぱな変態でしょう!」

「あのー。変態ってもしかして、私のことですか?」


 俺と衛兵の会話に、裸の人が入ってくる。


「「もちろん」」

「私のこれは趣味ではなく、盗賊に身ぐるみ剥がれたのですが……」

「「……なんかすみません」」




「バベル君。入れて良かったね」

「はあー大変だった。あの衛兵に今度文句言いに行こう」

「あの人も仕事でござるから」


 あの後なんやかんやあり、俺は無事王都に入ることが出来た。今は先に中に入ってた桜とエルに合流した所だ。


「ニャルカ、この仮面返しておくよ。何か怪しいらしいから」

「え、今さら気付いたのかい!」

「……主殿ってねーみんぐせんすの他にもふぁっしょんせんすも無いのでござるな」

「ぐは!」


 その言葉は、俺の心にクリティカルヒットした。


「はあはあ。そうだ、ニャルカは冒険者に成るのか?」


 ニャルカはなんやかんや成り行きで付いてきたが、どうするのだろう。


「そうにゃねー。我が身を示すカードは手に入れることも必然というものにゃろう」

「じゃあ、まずは冒険者ギルドに行くか」

「分かったでござる」


 そういえば、衛兵さんや裸の人が白く光っていたのは何でだろう。



 ◇



「はい、登録完了です」


 ニャルカは受付の台に座って、冒険者登録を完了させた。


「そちらの方々とは、パーティを組むのですか?」

「にゃー。お前達、我とパーティを組むにゃ」

「はいはい。じゃあ“果てなき夢”に入れておいてください」

「それでは、登録しておきますね」


 受付嬢さんが、パーティ登録をしている間、俺達はフラフラとギルドを見て回る。

 さすが、王都のギルドだけあって、農工都市の三倍は広そうだ。


「おや、少年ではないですか」


 ギルドを見ていると、ふと懐かしい声が聞こえてくる。声の主を確かめようと後ろを振り向くと……。


「ウルルさん!」

「久しぶりですね」


 五年ぶりに見た、ウルルさんが居た。


「どうしたんですか?」

「依頼ですよ。ふむ、もうお昼ですし、他のパーティメンバーの方も、一緒に食べませんか? 奢りますよ」

「え!」


 奢ると言われても、こっちには桜が居るし、多分凄い出費になると思う。何か申し訳ないな。どうしよう……。


「……お願いします」


 矢っ張り奢って貰う事にした。Sランク冒険者なら稼ぎも凄いだろうから、良いよね。


「では、行きますか」




 ウルルさんが連れて来てくれた店は、とても場違い感が凄い、高級料理店だった。


「此所は……」

「比較的庶民が落ち着ける場所を選んだのですが……」


 どこがだよ! と、ツッコんだ俺は悪くないと思う。


「予約していた、ウルルカンです」

「おお、ウルルカン様。お待ちしておりました。此方にどうぞ」


 全体は白くて、何か凄い店の奥へと入る。エルも唖然としているが、桜は楽しそうにキョロキョロしている。ニャルカも俺の頭で、腹減ったと訴える振動を送ってくる。この二人は相変わらずだな。


「それでは、決まりましたら、お呼び下さい」

「はい」


 案内されたのは個室で、何か凄いとしか感想が出てこない。


「いくらでも注文していただいて構いませんよ」

「やったー!」


 矢っ張り一番喜んだのは桜だった。

 席に座り、メニューを見る。何か訳の分からない字が書いており、値段が何時も食べている物の三桁は違う。


「せっしゃはここからここまで三つずつ」


 いきなり桜がぶっこんできた!


「にゃはははは。我の食べるにふさわしいこの一番高い。にゃんたらかんたらを所望するにゃ」


 しっかり言えてないぞ。


「ボクはこのフルコースを」


 エルも高いやつを頼んできた。


「うーん。俺はこの突進牛の極上サーロインステーキで」


 あれ、普通なら一番安いのを頼むのだが、何か結構高いのを頼んだな。突進牛はCランクの魔物で、金貨なんて軽く飛んで行くのに……。あー、分かったこれはあれだ他人の金だからだ。まあ、Sランク冒険者なら別にいいよね。


「え、遠慮がありませんね」

「もちろんでござる。主殿だって、お菓子上げると言われたら、身ぐるみ剥いで、衛兵に付きだして謝礼を貰えと言われたでござるし。骨の髄までしゃぶりつくすのが大事だとか」

「はははは」


 ウルルさんは乾いた笑みを浮かべているが、有効活用だと思う。


「と、取り合えず注文しましょうか」


 ウルルさんが、案内してくれた人を呼ぶと、一秒も掛からずすっ飛んでくる。プロらしきその人も、桜の注文を聞くと顔が引き攣ったりしていた。


「ふう。では改めて。久しぶりですね」

「はい、五年ぶりです」

「可成り良い《濃い》パーティメンバーに恵まれたようですね」

「はい」


 今一瞬良いが濃いと聞こえたのだが……気のせいか。うちのパーティは全然濃くないし。




「おまたせしました」


 ウルルさんにパーティメンバーを紹介したり、軽い雑談をしていると、頼んだ品がやって来る。


「美味そうだ」


 いかにも高級といったステーキが運ばれてくる。


「「「「いただきます」」」」

「おや、それは月光国のあいさつですね」

「あ、はい」


 ウルルさんも知っているのか。まあいいや食べよう。


 ステーキにナイフを通す。

 柔らかい。ナイフはすっと通り、簡単に切れる。


「どれ」


 ステーキを一口食べる。

 っ……美味い。口に入れるととろける様に消えていく。これはまさに極上。

 これはソースとの組み合わせ。肉のおいしさ全てがぎゅっと詰まったステーキだ。さすが高級店。人の金じゃなければ、二度と食べられない味だろう。


「ふう。美味しかった。それで、ウルルさん本題に入って下さい」

「ほお。どう言う意味ですか?」

「俺達はただの盗賊に襲われた村の子供ですよ。貴方みたいなSランク冒険者が覚えてるなんて、何かあると疑うとこからでしょう」


 俺は慎重な男。たとえ命の恩人だろうが王族だろうが怪しかったら疑って掛かる。


「ふ、確かにそうですね」

「矢っ張りでござるか。何か怪しかったのでござるよ」


 本当か。ただ一杯食べていただけじゃないか。


「では、本題に入りましょう。貴方達は、第一王女派に所属しませんか?」

「え! どういう意味ですか?」

「……知ってのととおり、第一王女派は貴族からの支持はあまり良くありません。その代わり、庶民などからの支持は高いです。それで、第一王女派は、実力のある、冒険者などから支持を集める事にしたのです。その後の計画の為にも」


 確か第一王女は、庶民に優しく、奴隷制度をなくした人だったはず。こういう面倒な事は覚え無いから、暫く記憶の片隅に誇りかぶってたよ。


「なんで俺達なんですか? 俺達は“果てなき夢”というただのCランクパーティですよ」

「貴方達は五年前から目を付けていたのですよ。ただのCランクならコボルトキング討伐や、大蜘蛛のイレギュラー討伐に貢献などはしないはずです。それに、こんな速さでCランクに昇ってきたのなら、才能があります」


 ん? なんで俺達の功績をウルルさんが知っているんだ? ……まあいいや。Sランク冒険者だからと納得しておこう。


「なるほど、ではお断りします」

「……そうですか。分かりました」

「ええ。そんな簡単でいいんですか!?」


 エルが何やらツッコムが、こんな面倒な話はさっさと終わらせた方が良い。


「いいんですよ。断られる前提ですから。冒険者とは自由な者ですしね」

「まあ、ウルルさんが居るならもう大丈夫じゃないですか?」

「そうですね。ですが、貴族からの支持が今一なのでね……」

「ふーん」


 政治の世界はいろいろあるな。俺には関係ないが。


「そうだ。五年前の影の巨獣を討伐したとき、『まあ、元々こっちに用事があったので、ついでですが』って言ってましたよね。あれはどう言う意味ですか?」


 ニナリ村は何にもない事が特徴だと言われる村だ。Sランク冒険者が出動する事態があったとは考えずらい。


「ふむ」


 そう一言呟いただけなのに、ウルルさんの空気が明らかに変わった。


「他言無用でお願いしますよ」

「は、はい」


 この雰囲気のウルルさんに言われて断れるわけない。


「私は、一〇〇〇年前の文明が作り出した、七つの古代兵器の一つ“強欲”を探しに行ったのですよ」

「な!」

「ええ、驚きますよね。貴方の故郷の近くに古代兵器が眠っていたのですから」


 いや、そういう驚きではない。強欲って俺の中にある奴の事だろ。……ばれたら、やばい。


「まあ、その時は見つからなかったのですが。湖の近くに眠っていると遺跡には書かれていたのですがねえ」

「そうですか」


 本当の事情を知っているエルと桜も絶句している。ニャルカだけは魚にかぶりついているが。


「古代兵器の情報は世界各国が狙っているものです。他言無用でお願いしますよ」


 ウルルさんはもう一度釘をさすと、何時もの空気に戻って行った。


「エンシャル帝国でも“憤怒”がみつかったそうで、国も焦ってるのですよ」

「そうですか」


 その後も、何とも言えない空気で、食事は終了した。




 そして、その帰り道。


「ねえ、強欲ってあの果実の事だよね」

「ああ。そうだろうな」

「それが主殿の中に在るのがばれたらどうなるでござる……」

「……お前も持っているのか、古代兵器を」

「え?」


 ニャルカが突然そう言ってくる。


「……我の故郷にも、古代兵器“傲慢”があるにゃ」


 そう言ったニャルカは、少し震えていた。

バベル「まずは、宿を探さないとな」

エル「そうだね。予算は銀貨三枚位がいいな」

桜は「なら、裏通りでござるな」

ニャルカ「にゃんで、銀貨三枚にゃんていう安宿を選ぶにゃ? もっと高くても良いと思うにゃ」

バベル「お前もすぐ分かる。我がパーティの食費をむさぼる桜の正体が」

ニャルカ「にゃにゃにゃ!」


Cランクに成ってもバベル達は何も変わらないな。

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