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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
最終章 二つ名持ち編
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第百四十六話 人類最強集団vs【無双進撃 スライムゴッド】

本日二話目。

 その集団は、なんともいえない空気のなか歩いていた。


「さすがバベル殿。予想の先を行く」

「そうだね」


 この空気の原因はバベルだ。あの雰囲気、絶対に『行く』以外の言葉はなかっただろう。しかしバベルは断った。アレに挑むのは自殺行為だと。


「まあバベル殿は行かないほうがよかったかもしれません」

「そうにゃね。バベル弱いし」


 バベルはリーダーだが、果てなき夢の中では一番弱い。貧弱だし、守銭奴だ。バベルは弱い。しかしバベルはつねにハンデを背負っている。普通ならLV5で覚える必殺スキルをバベルは使えない。使えはするが、魔力が足りずに死にかけるのだ。

 バベルは弱い。だが、バベルは必殺スキルを使えないのにここまでついてこれた。必殺スキルを使わずともバベルは強かった。だけど、必殺スキルを使えなければここから先を進めない。必殺スキルに匹敵するナニカでも持たないと。


「大丈夫だと思うよ。あたしもバベル達なら逃げるくらい出来るって確信したから連れてきたんだし」

「そうなんだ」


 さすがの戦神も、逃げる力もない者を連れてきたりしない。桜達はそう理解すると、またもくもくと歩み出した。


「……そういえば姉上もバベル殿みたいに実力が足りずに必殺スキルを使うと死に掛けたような……」


 桜はふと死んだ姉、夜月菖蒲よづきあやめの事を思い出す。彼女も、必殺スキルは使えなかった。使えたが、使うと死に掛けた。


「なんか姉上とバベル殿は似ている気がする」


 桜は小さくそう呟き、それ以上は考えない事にした。



 ◇



 精神に圧力がかかる。死を具現化したような存在が、あと数百メートルのところに居るのだ。全員が、戦神すらも無言になる。身体にも重いなにかがのしかかっているような感覚。


「先制攻撃だれがする?」

「……パス」

「俺もパスだ」


 無双進撃はまだ桜達に気付いていない。最初の一撃は、油断している無双進撃にダメージを与える最高のチャンス。そんな大役は荷が重いと理解しているストックとベゴニアは辞退する。


「僕がやりましょう」

「ん。じゃあ準備はもう完了してるからやっちゃって」

「はい。では――大魔法発動準備」


 大魔法。魔導王フウタがあみだしたフウタしか使えない魔法。詠唱をせずに魔法を使えるフウタが詠唱を必要とするほどの魔法で、最上級魔法すら越える最強の魔法。フウタはその魔法を初撃に選ぶ。


「解き放て。すべては一つである。全ては神である――」


 フウタの足下に巨大な魔法陣が展開する。


「――神の力よ降臨せよ。大魔法“太陽神の破壊の一撃”」


 天から小さな太陽が降ってきた。それがこの魔法をあらわすのに相応しい言葉だろう。無双進撃の上空から灼熱の塊が落ちてくる。それは神の一撃と呼んでも過言ではない。小さな小さな太陽は、無双進撃をのみ込んだ。


「やりましたか!?」

「いや。あの程度では二つ名持ちを倒す事は出来ませんよ」


 フウタは自身の魔法の強さと二つ名持ちの力を理解していた。フウタの魔法の中でも三番目に強い“太陽神の破壊の一撃”も、二つ名持ちには傷を負わせるぐらいだろうとあたりをつける。


「うーん。スライムみたいだし、体内に核があるのかな?」

「……それを壊せば……勝ち」


 無双進撃の体はスライムのようだが、他のスライムと違って体が透き通っておらず、スライムの心臓とよべる核があるか分からない。だが、戦神はいままでの経験から多分あるんだろうなと思っていた。


「……じゃあ……これからは自由行動させてもらう」


 破壊兵器ストックはそう言って、桜達から離れる。


「下手に協力するよりは、自由にやったほうがいいね。そういうわけであたしも自由行動しちゃうよ!」

「エルニスさんの言葉ももっともですね。僕も一人で行動させてもらいます」


 強い者にありがちな自由行動。彼らは人とあわせるのが苦手だ。協力しての戦いより、別方向から各自自由に攻めたほうが良いだろう。無双進撃は巨大だ。一国をのみ込んだ事もあるほど巨大。彼らが本気をだしたとしても仲間を巻き込むことはないだろう。


「さて、お前達はどうする?」

「ベゴニアさんは行かないんですか?」

「俺はあいつらみたいに協力出来ないわけじゃない。俺の攻撃は比較的狭い範囲だしコントロールが効く」


 牙王ベゴニア彼は他の者と協力が出来る珍しい冒険者だった。常識をわきまえ、人を気遣えるイケメンは百五十年前たいそうモテたそうだ。爆発しろ。


「じゃあどうしましょう?」

「しばらくは観戦でいいだろう。あの三人、メチャクチャ強い。俺達の出番があるか分からないほどな」



 ◇



 【無双進撃 スライムゴッド】は三方向から同時に攻撃をうけていた。突如頭上から火の玉が降ってきたと思ったら、三方向から無視できないほどの攻撃を受ける。

 無双進撃は怒っていた。自らに殲滅される事しか脳がない人間どもが自身に攻撃をしかける。なんと罪深い事だろう。ああ。殺そう。本気をだしてつぶしてやろう。


『ゴアアアアアアアアアア!』


 無双進撃はどこからか声をひねり出し、自身に攻撃をする者達を威嚇する。そして、体をちぎって自身の分体を作り出し、攻撃する三人にしむけた。


 ――さあ。俺の養分になってくれよ。


 無双進撃は動き出す。まだ敵を羽虫としか思っていないが、いつか分かるだろう。その三人は油断出来ない、龍であると。

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