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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第七章 清牙帝国編
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第百話 黄金時代

 俺達が清牙の帝都、に着いてから、二日が経った。エルがギャンブルで取り返したネックレスは次の日に持ち主に返して報酬を貰い、その次の日に、俺達は依頼を受けて竜の森方面へと進んでいた。


「でかぽんって竜ほど早くないね」

「当たり前だろ。爆虫は乗る為にあるんじゃない。爆発する為にあるんだ」


 でかぽんに乗って、二つ名持ちの中でも最強格の古代竜王の棲家へと進む。俺達は別に竜の森へ行くのではない。その手前、天岩山へと行くのだ。


「じゃあ、依頼内容のおさらいをするね。天岩山の山頂に有る天岩の採取。ツルハシはボクが用意しといたから」

「ああ。サンキュー」


 エルがいろいろ詳細を説明するが、うちの土下座侍とアホ猫はまったく聞いていない。まあ、こいつらなら知らなくて良いか。


「天岩山まであとこのペースで行ったら、あと四日。気を引き締めるよ」

「おー」

「あ、はーぴーでござる」

「本当にゃ」


 こいつら二人は最後まで話を聞いていなかった。



 ◇



「高いでござるな」


 でかぽんを収納して、山を見る。


「うん。知ってる? この山の山頂には、昔二つ名持ちが棲んでたんだよ」

「へえ。昔って事は今は居ないのか?」

「そうだね。二百年位前に古代竜王の逆鱗に触れて、殺されたらしい」


 天岩山を越えた先に在る竜の森の主、【古代竜王 エンシャントドラゴン】二つ名持ちの陸海空の内、空の最強。


 ――竜の森に入らなければどうって事ないだろう?


 ――そうだな。


 清牙帝国の危険地帯。天岩山に俺達は足を踏み入れた。




 天岩山は岩山で、岩に擬態する魔物が多い。魔力を隠す事も上手いので、奇襲に警戒しなければならない。


「ぜぇぜぇ。岩山ってしんどい。もうくろまめに乗っちゃっていいかな?」

「もう少しがんばろうよ」


 最近は体力をつける為にあまり爆虫に乗らなくなったが、もうあれは前言撤回して乗っちゃおうかな。


 ――そんなんだからお前は貧弱なままなんだ。


 ――貧弱でいいんじゃないかな?


 マモンと会話していると、突如として地響きが起きる。


「魔物!」


 辺りを警戒していると、エルの真下からモグラが出現した。


「わっ!」


 エルもビックリしているが、余裕で避ける。


「岩モグラだ!」


 岩モグラだと!?


 ――マモン、詳細。


 ――岩モグラ、岩を掘り進める、魔物だ。主に岩山に生息し、その攻撃は下位の竜ぐらいなら一撃で沈める。Bランクでも上位に君臨する。


 ――なるほど。


 Bランクの魔物がこんな序盤で出現するとは、さすが危険地帯。


「せっしゃに任せるでござる」

「出来るのか?」

「もちろん。が、こういう小回りが利く魔物は刀では倒しにくいでござる」

 


 桜がそう言い、夜桜を収める。


「ここだ! 必殺スキル『無敗の超人』」


 桜が地面を殴るとヒビが出来、地面を破壊する。


「ブモオオオオオオ」


 その衝撃が岩モグラを襲ったのか、地中から悲鳴があがる。たまらず岩の地面からとび出し、岩モグラは桜に飛び掛る。


「は!」


 桜は拳を岩モグラの胴に当て、岩モグラを殴り殺した。


「「「…………」」」


 その光景には絶句するしかない。小さな女の子が、自分の倍はあるモグラを殴り殺したのだ。


「ん? どうしたのでござるか?」

「いや、ちゃくちゃくと超人(怪物)への階段を上ってるなと」

「そうでござる。せっしゃは超人でござるよ」


 ほんと超人(怪物)だ。


「じゃ、じゃあ、解体して頂上を目指そうか」

「そうだな」


 俺達は協力して、岩モグラの解体を終わらせた。もちろんニャルカは何もしていない。




 それから、いろいろあった。Bランクの魔物二体に襲われたり、Cランクの魔物の手段に奇襲されたり。なんやかんや切り抜けて、俺達は終に頂上へとたどり着いた。


「つ、着いたぞー」

「大変だったでござる」

「ボク達強くなったよ」


 そう、俺達は強くなった。昔はBランクの魔物に殺されかけてたのに。


「少し休憩してから採取しよう」

「「おー」」

「にゃー」


 辺りに爆虫を放って警戒させ、岩にもたれて休む。ニャルカは虫を捕まえる事に四苦八苦し、桜は持ってきた食べ物を食べる。エルは休まずに辺りをうろうろしていた。


「あ! ねえねえ。こっち来て」


 エルが高い岩に登ると、俺達に向かって呼びかける。


「なんだ?」

「絶景だよ!」


 絶景? なんだろ。とりあえず行って見よう。エルが居る岩をぜえぜえ言いながらよじ登り、岩の上まで行く。


「ほら」


 そこに広がっていたのは青々とした森。ふもとから在る森の上には、竜が飛び交っていた。


「あれが、竜の森」


 超級危険地帯は、絶景だった。


「凄い森だな」

「うん」

「だけど、あそこは墓場」


 竜の森を見ていると、エルが呟く。


「どういう意味だ?」

「150年前。冒険者の黄金時代と呼ばれていた頃。500のAランク冒険者と、二人のSランク冒険者、牙王と闘神があの森で姿を消した。みんな絶対に古代竜王を討伐出来ると信じていたんだろうね。黄金時代が終わったのも、それが原因だとも言われている」

「そうか」


 人外と言われるSランク冒険者すらも、殺す森。それを思うと、あの絶景もとたんに怖い物へと変化する。


「さて、目的の天岩を採取して帰ろうか」

「ああ」


 俺達は天岩を採取し、帰路についた。しかし、俺の頭にはエルから聞いた話がこびりついていた。

今回で、番外編、プロローグを抜いての第百話になります。あと三章ほどで完結する予定です。

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