活気
宴会から一夜明け、壮絶な二日酔いとレベルアップの成長痛に悩まされながらも、昼ごろには起き上がれる様になった。
いやー、昨日は久しぶりにはっちゃけたわ。
うん、体調もだいぶマシになってきたし行動するか!
まずはステータスの確認からかな。
「ステータスオープン。」
名前:鏡竜司
職業:武具マイスター
レベル:10
体力:161
魔力:96
SP:165
筋力:116
俊敏力:87
精神:93
知力:156
器用さ:129
スキル:特殊アイテムボックス「自動修復小」、特殊アイテム作成、ラビッター族召喚、鑑定
盾術1、機械弓術2、剣術3、双剣術1、体術1
称号:異世界の来訪者
おおっ、なんだかとっても強くなってるね。
剣術3になってるし、特殊アイテムボックス「自動修復小」がついた。
PDSを取り出して確認してみると、なになに特殊アイテム作成等で作成した装備品をPDS内にしまっておくと自動で修復してくれるだって?
やった、これで装備品は放置しておけばオッケーになったのか。
でも、店売りや工房で作ってもらった居合い刀なんかは駄目な訳か。
一応自分でも修復というか手入れは出来るが、実戦で使ったからな。
後で工房に持ち込みに行くか。
まずは食事からかな。二日酔いの胃のムカつきもだいぶ収まったし。
軽く身だしなみを整えて、一階の酒場に降りていく。
「おう、今日は流石に遅くなったな。
食事はどうする?ウサ正宗が朝食のキャンセルをしていたから、昼はその分タダでいいぜ。」
「じゃあ、そうだな。
食事をこのままもらおうか。」
そういって昨日振りの酒場で食事を取ることにした。
ウサ正宗は普通に朝起きていたそうな。まるで問題なさそう。
ブレてないねー。
「おまちどうさん。
そういやお前さん達はこれからどうするんだ?」
「もぐもぐ、ん?どうするとは?」
「いやなに、昨日はお前さんなんだか帰ってくる時になにかあったんだろ?表情に出ていたぜ。
まあ宴会の最中はそんなことは無かったんだが。」
「そうか、まあ確かにあんときはあまり心の余裕がなかったかもな。
ギルドマスターにさ、こんなことを言われてたからさ。」
そして昨日の一件を宿の親父さんに話した。
自分の心情なんかも何故か話していた。
「・・・・冒険者ギルドを庇うわけじゃないんだが、俺の意見を聞くか?」
「ああ、頼むよ。」
「俺がこの宿屋の経営者としての立場から言わせてもらえれば、ギルドマスターの言い分も少し理解できる。
誰だって自分の宿で乱闘騒ぎを起こされたくはないだろ?
それは極当たり前のことだ。
だが、同時に一個人としてみた場合はどうか?
今回の事はどうやらお前さん達がブラックウルフを倒していなければ、行商人が町からなかなか出られないしこの町に来る人数も減る事になった。
食料は有限だ、三か月分の食料の備蓄はあるといっても酒場とかやっているヤツの所は仕入れが頻繁に必要になる。流通が滞れば食材が不足し、客足が遠のく。
これは飲食関係の店だけじゃなく、他の多くの事にも影響が出るだろう。
それを考えればお前達がこの町に居てくれた事に感謝しているし、その恩人には出来るだけ便宜を図ってやりたいとも思っている。」
そういうと俺に向かって頭を下げた。
「改めてありがとう。
この町の為に命を掛けてくれて。
そして、どうかこの町の事を嫌いにならないで欲しい。」
「よせやい、大の男がみっともないぜ。
でも、感謝はいただいておくよ。
まあでも冒険者ギルドには行かないだろうけどな。
面倒なだけだ。
当分は今回の報奨金があるし、悠々自適にやるさ。」
それからは食事をしながら親父さんと雑談していた。
その後は、自室に戻りどうするかウサ正宗と話す。
そういえば、今回の戦いに使用した居合い刀を工房に持ち込むんだったか。
なので、工房に行く事にする。
宿から出ると昨日までと違い、町の通りににわかに活気が戻っている。
多くの人々が大通りに行きかっていた。
露天が多く立ち並び、生鮮食品である野菜や果物などの食料品から、保存食までたくさんの種類があった。
軽食の屋台も多くあった。
なによりも肉の良い匂い等さまざまな香りが、あたりの通りに広がっている。
特に、工房に行く途中に目に付いたのは、行商人であろう人の馬車が多くいた事だ。
ブラックウルフが倒されたと聞いてさっそく出発の準備に取り掛かっているようだ。
その為に、この町で仕入れをしようと商業が盛んになっている。
「らっしゃい、らゃっしゃい。ウチの野菜は新鮮だよ。」
「そこ行くお兄さん、焼き鳥はいかが?おいしいよ!」
「もっと負けてくれない?」
「いやーウチもこれが精一杯なものでして。」
その賑やかな町の通りの様子を見ながら、ウサ正宗と歩いていた。
工房に辿り着くと相変わらず、 かーーん、かーーんと金属を叩くかなづちの音がする。
呼び掛けると親方のゴッサムが出てきて
「おう、黒髪の。
ブラックウルフの事は聞いたぞ、やるようになったな。
今日はどうした?また見学か?」
「いや、これも親方が作ってくれた刀が良かったからな。
結構酷使したから、この居合い刀をみてもらえないか。」
そして三本作成してもらってあった内、グレイウルフとの戦いに使用した一本を取り出して渡す。
他にニ本あったが、一本は二刀流の練習に使いながら大事に使っている。
そして三本の内最後の一本は訓練の最初の方で駄目にしてしまっていた。
実に頑丈な刀だったんだが、刃こぼれが酷くなり過ぎてどうしょうもないと親方にも言われて、特殊アイテムボックスの肥やしになる。
岩なんて斬っていないが、竹の様な植物があったからそれを斬る練習に使い、駄目にした訳だ。
だが、どうしても切断する為の練習が刀の訓練では必要だ。
それは柔らかいものだけじゃなく、硬いものも含まれる。
さまざまな物や生き物を実際に練習で斬らなくては、実戦で使いものにはならない。
モンスターは動くし硬さも種類によって違うからだ。
活きた技術にならないのだ。
「そうか、なかなか様になってきたじゃねえか。
この刀もそれなりに頑丈に作ってはいるが、使い手が駄目ならろくに斬れないナマクラ刀と変わらん。
だが、こいつは生き物を斬った跡があるが、刀身にあまり無理がかかってない。
少し刃に曇りがあるが使っていればそうなるし、刃が欠けることもある。
ちょっと研いでやるから待ってろ。
・・・見学するか?」
「お願いします。」
どうやら俺が見学したがっているのを察してくれたようだ。
いつも感謝してますよ、親方。
お読みいただき、ありがとうございます




