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第18話

「まずはステージに出ましょう! 広い場所の方が戦いやすい!」

 もえちゃんの言葉に、俺達は走ってステージを目指した。

 廊下の角を曲がろうとしたその時、角の向こうからスタッフが一人飛び出してきた。

「なっ……お前ら!」

 襲いかかってきたスタッフを、つのちゃんが拳一発で黙らせた。昏倒したスタッフはしゅるしゅると縮んでいき、小さな紙切れになった。

「これは……式神?」

「芦田のものでしょうね。他のスタッフも同じだと考えていいでしょう」

 もえちゃんは式神をつまみ上げると一瞬で燃やしてしまった。

「人間じゃねえなら、手加減は不要ってことだな!」

 つのちゃんがガハハと笑う。

「先を急ごう!」

 俺達はまた走り出した。


 袖からステージに飛び出すと、客席側にはスタッフがずらりと並んで待ち構えていた。

「……随分なお出迎えだな」

 俺はそちらに向けてペンライトを構える。

「おっしゃあ! ボコボコにされたい奴から前に出ろ!」

 つのちゃんはステージを飛び降り、スタッフ達の真ん中に切り込んでいった。つのちゃんに頭をぶん殴られたスタッフは無惨にも吹っ飛び、式神に戻った。

「私も本気を出します。いわちゃんとりぃちゃんは下がっていてください」

 もえちゃんはそう言うと、瞳を赤く光らせた。するともえちゃんの体がむくむくと膨らみ、炎を纏った巨大な猫の姿に変わった。

「私が火の玉を飛ばすので、ハルさんは援護をお願いします!」

 もえちゃんが口から大量の火の玉を吐き出した。俺はそれに向かって風を放つ。

「タイガー! ファイヤー! サイバー! ファイバー! ダイバー! バイバー! ジャージャー!」

 風に乗った火の玉は勢いを増して敵に襲いかかった。逃げ惑うスタッフを、つのちゃんが一人ずつ確実にのしていく。

「あっ! つのちゃん後ろ……!」

 いわちゃんの声にハッとすると、つのちゃんの死角からスタッフの一人が機材で殴りかかろうとしていた。

「危ないっ……虎! 火! 人造! 繊維! 海女! 振動! 化繊!」

 スタッフの動きがピタリと止まる。振り向いたつのちゃんの強烈なパンチで昏倒し、床に落ちた式神はもえちゃんの火で灰になった。

 沢山いたスタッフ達はあっという間に全員倒れ、式神は欠片も残さず燃やされた。

「ひとまず、片付きましたね」

「手応えのない連中だなぁ」

 一仕事終えたもえちゃんとつのちゃんが戻ってきた。あとは、芦田を待つだけ……

「派手にやってくれたなぁ」

 客席の一番奥の扉が開け放たれ、芦田がゆっくりと入ってきた。

「さすがに式神ごときじゃダメか」

 芦田は式神の燃えカスを踏みつけた。そして懐からジッポライターを取り出す。

「仕方ねぇなあ……。俺が相手してやるから、かかってこいよ」

「やってやるよ! アタシの金返せぇぇぇ!」

 つのちゃんが助走をつけてステージから飛び出し、そのままの勢いで芦田に蹴りを食らわせようとする。

「はは、単純な攻撃だな」

 芦田のジッポに火が点いた、次の瞬間。

「がっ……!」

 芦田の目の前で、つのちゃんが床に叩きつけられた。芦田はつのちゃんの腹を踵でグリグリと踏みつけた。

「あがっ……やめろっ……!」

「明日はライブだからこれくらいで済ましてやるよ。ありがたく思え」

 芦田の爪先がつのちゃんの顎を蹴り飛ばした。つのちゃんは気を失ってしまったのか、ピクリとも動かない。

「つのちゃん……! 野郎っ、消し炭にしてやる!」

 もえちゃんが口から火炎放射を繰り出した。

「ハルっ!」

 いわちゃんの言葉に頷き、ペンライトを振るう。

「タイガー! ファイヤー! サイバー! ファイバー! ダイバー! バイバー! ジャージャー!」

 炎の波は勢いを増し、芦田を飲み込もうとする。が、しかし。

「炎だけとは芸がないな」

 芦田のジッポの先から大量の水が流れ出した。滝のようなそれは逆にもえちゃんの炎を飲み込み、彼女に直撃した。

「……っ、うう……」

 火の妖怪なだけあって、水には弱いのだろう。もえちゃんはぐったりと倒れ込み、目を閉じた。

「ははっ……他愛ないなぁ」

 芦田が口の端を吊り上げて笑った。

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