164. Srunと廃墟
窓から見えていたのは生い茂る雑草やゴミばかりだった。
どうやら、ガメバ第一ホテルは廃業してから随分と年月が経っているようだ。割れた窓ガラスを見ると、廃墟化した後に盗人が入りホテルの金属等を盗んでいったのだろう。かつては多くの人が泊まり賑わっていたホテルだったのだろうか。コール海で泊まった高級ホテルコールオーシャンのきらびやかさを思い出しながら歩いていると、ボロボロになったこの廊下に寂しさを感じていた。
──パキ、パキッ
歩く度に床に散らばっているガラスの破片を踏んでしまい、破片が更に割れる音が辺りに鳴り響く。先程の逃げて行った二人は何処へ行ってしまったのだろうか。
「あの二人、外に出ていればいいんだけど」
天井に視線を向ける。天井のボードは所々剥がれ落ちており、いつ落ちてきてもおかしくない状態だ。ホテルと聞くと一階だけではない筈、もしかしたら二人は上の階に行っていないだろうか。
「だけど、ライトはオレが取ったし、さすがに上の階には行かないよな。そ〜んな馬鹿じゃあるまいし……でも、まだ外は明るいからなぁ」
腕時計を見ると、時刻は午後十三時になっていた。
「急がないとまずい……ウルフ達が出て行ってから十五分は経っているな。走るか」
廊下の先には広い空間が見えている。間違いなくホテルのエントランスホールだろうと予想していた。これで、やっと外に出れると思いながら必死に走った。
誰もいないフロントの机には営業当時のホテルの書類が散らばっている。フロントの反対側には外から光が差す入り口が見えていた。
「ハァハァ、やっぱりな。ここから出れそうだ。ウルフの野郎、絶対に本気で殴ってやるから待ってろよ‼︎」
……太陽の光が眩しく感じる。
「外だぁ〜‼︎」
思いっきり背伸びをした。
辺りを見回しても、やはり生い茂った雑草やゴミしかなく自分の車は見当たらない。ゴミはテレビや壊れた機械等、不法投棄したような物ばかりだ。ガメバ第一ホテルに来るまでの本来の道も見えなくなっており、肝試しに来た者達によって踏まれた雑草の跡が道標になっているようだ。
ウルフ達もガメバ第一ホテルの事を知っていたのだろうか。自分を担いでこの雑草の道を歩いて来たとは思えない。自分の車は絶対に近くにある筈だと思いながら、廃墟の周りを見ようと歩き始めた。
廃墟の周りには微かに人が歩いたような跡がある。
「ウルフ達の足跡か? これを辿って行けば、もしかしたら!」
生い茂る雑草の中を歩きながら、下を見ると数人が歩いたような跡がやはりある。何処に出るのだろうか。
開けた場所が見えてきた。生えている雑草も少ないように見えるが……。
「ここは……? 駐車場のように見えるけど」
よく見ると、パーキングブロックが置かれている。やはりここは駐車場だったようだ。
「ガメバ第一ホテルの駐車場の跡か。だとしたら!」
急いで辺りを見回すと、駐車場の端に停めてある一台の車に気が付き走り出した。
「ス、スカイラァァアアン‼︎」




