表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/47

川ノ底ニテ、

 文字通り身体を焼き尽くす痛みに喘ぎながら、私は生温い水の中で呼吸をしようと藻掻いていた。腕をしきりに動かして縋る先を探しても、指先は無情にも濁った液体を掻き分けるだけで、肺には生臭いぬるま湯と焦げ付いた空気が容赦なく入り込む。


 酸欠と激痛で朦朧とする意識の中、脳裏に過ったのはある一編の小説だった。


 優しくて、繊細で、どこまでも静かな、美しい物語。


 あぁ、このまま、私の命も、あの物語も、この劫火に巻かれて誰の記憶にも残ることなく沈んでゆくのだ。


 焼け焦げた街の匂いが漂う濁った川の底。崩れ落ちた命の残骸の中、それでも私は、あの優しい小説を綴った書き手の名を、縋るように呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ