表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼニスは視界の隅で笑う~裁きはリングで決する、不条理な監視社会で生き残れるか~  作者: 綴火(つづりび)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/107

第93話:ボーンクラッシャー

額や首筋を伝い、大粒の汗が

クッションフロアの上に滴り落ちる。


慣れない動きをしていることで、

基礎とはいえ、予想以上にハードなトレーニングだった。


「遥さん、少し休憩しようか?」


「はぁ......あっ、はい......はぁ」


「空手にはない動きだから、思った以上にハードでしょ?」


「ふぅ......そうですね。なかなか、ハードです......」


リカルドは、ペットボトルのスポーツ飲料とタオルを手渡してきた。


「遥さん、水分補給はしっかりね。」


「あっ、はい、ありがとうございます、リカルドコーチ。」


((また、タオルとか飲み物忘れちゃったよね。))


((──うん。いつも通りだね。遥らしい。))


((もう、いじわるだな~、ゼニス。ふふ))


タオルで汗を拭い、スポーツ飲料で喉を潤す。

息も整い落ち着いたところで、リカルドがスッと立ち上がった。


「遥さん、始めようか?」


「はい、リカルドコーチ。お願いします。」


「基礎は一通りやったから、少し基本の技術をやっていこう。」


「はい。」


「じゃ~、まず手本からね。

 痛くはしないつもりだけど、もし痛いとかあったら教えてね。」


リカルドが、ガードの基本ポジションの取り方、パスガード、スイープを

身振り手振りを交えて丁寧にレクチャー。


頷きながら、

リカルドを相手にトレーニングを重ねる。


「遥さんは、飲み込みが早いね。」


「そうですか?ありがとうございます。」


「遥さんの蹴りの威力はなかなか素晴らしいと思うよ。

 全部で3試合かな?一通りはチェックしたからね。」


「いえいえ、お恥ずかしい......」


((──心拍数、安静時より15bpm上昇、皮膚電気反応あり、発汗確認。

  遥の身体データ分析の結果、照れている現象を確認。))


((うっさい、ゼニス。))


「お世辞ではないよ、遥さん。

 空手を何年も続けて稽古したのが伝わってくるよ。

 あの蹴りに柔術のグランドテクニックがプラスされたら、

 中堅クラスの調停人でも手こずるかもね。」


「中堅クラス......ですか?」


「うん、調停人は簡単に言えば、ピラミッド型でクラス分けがされているんだ。

 まぁ、実績やバックボーンなど、様々な要素で初期クラスが決まるわけさ。

 その後は、調停の実績がプラスされて、

 ランクアップやダウンでクラス変更もあるって感じかな。

 中堅クラスは、下から2番目だったかな。」


「下から2番目かぁ......全部で何段階あるんですか?」


「う~んとね、1番下がプロセッサー、2番目がアジャスター、

 3番目がパニッシャー、4番目がアービトレイター、

 最高ランクがエグゼキューターだよ。

 ちなみに、私は4番目のアービトレイターなんだ。」


「リカルドコーチ、すごい人なんですね。」


((──遥、語彙力が......))


((もう、ツッコまないでよ、ゼニス。))


「ぜんぜん、すごいってことはないんだよ。」


リカルドは満更でもなさそうに、

少し照れたような笑顔を見せた。


「よし、じゃ~もう少しトレーニングを続けて、

 今日は終わりにしようか、遥さん。」


「はい、お願いします。」


リカルドを相手に、

基本的な技術を反復しながらトレーニングを1時間ほど続けた。


「よし、今日はここまでにしよう。

 明日も同じ時間から始めようか?」


「はい、リカルドコーチがよろしければ、お願いします。」


「うん、明日も同じように基礎を中心にトレーニングしよう。」


「はい。」


「遥さん、お疲れ様。ゆっくり休んでね。」


「お疲れ様でした、リカルドコーチ。

 明日もよろしくお願いします。」


「うん、ではまた明日ね。」


リカルドは白い歯を見せながら、

軽く手を振りトレーニングルームから出て行った。


「ゼニス、どうだったコーチ?」


((──良い奴だね、リカルド。))


「リカルドコーチね。あはは」


((──ボーンクラッシャーと呼ばれている、

  狂気の柔術マスターとは考えにくい爽やかさだね。))


「えっ?ボーンクラッシャーなの?」


((──うん。リカルドは相手が誰でも、

  全力で骨を折りにいくスタイルの調停人だよ。))


「えっ......怖っ......人違いじゃないの?」


((──人違いではないよ、

  リカルド・サントス・サトウはボーンクラッシャーだよ。))


「そうなんだ......すごい人がコーチになったね......

 でも、わたしが骨を折られるわけじゃないから、まぁいいか。ふふっ」


((──うん。でも、粗相をしたら折られるかもしれないね。))


「いや~~っ、うそだよ。折らないでしょ?」


((──遥、取り乱しすぎだね。

  調停ではないから、折らないだろうね。))


「なんだ、ゼニスジョークか。

 もう、笑えないからやめてよね。あっはは」


((──でも、気を付けてね。骨折られないように。))


「もうええわ。ぷっははは。」


トレーニングルームから部屋へと戻り、

シャワーを浴びて汗を流す。


バスローブに着替え、

ソファにドカッと腰を下ろし一息ついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ