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【改稿版】戦国幻獣物語 〜目指せ、戦国ひきこもりモフモフ生活! 八百万の幻獣をモフって今日も生き抜くぞ、おぉーーっ!〜   作者: 蒼葵美
14XX年 モフってたら生活基盤ができました

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0078. 神託が告げる、新たなる船

 先日、父上に商家設立の許可を取り付けてから、数日後のこと。

 私は、再び父上の元へ呼び出された。

「琴よ、急な呼び出しですまぬ。先日そなたが申しておった、交易の件。光賀に確認させたぞ」


「まあ! お早いお調べ、ありがとうございます。して、光賀殿はいかに?」

 私の問いに、父上は満足げに頷いた。


「うむ。そなたの見立て通りじゃった。伊勢の大湊は大きいが我らが安房から向かうには、道中の湊で多くの津料(通行税)を支払わねばならず、利が薄い。まずは、今川家の治める駿河の府中を拠点とするのが最善であろう、と」


(よし、計画通り!)

 私の脳内シミュレーションの正しさが証明され、内心でガッツポーズを決めた。湊街の選定は第一段階に過ぎない。問題はそこへどうやって荷を運ぶか、だ。

 案の定、父上は難しい顔で話を続けた。

「しかし、問題は〝船〟じゃ。我らが持つ船は、沿岸を守るための関船や小早ばかり。府中の湊まで多くの荷を運び、外洋の荒波を越えられるような大きな商い船がない」

 その言葉を、私は待っていた。


(やはり、ここに行き着くのね……。数日前から準備をしていてよかったわ)

 この日のために、密かに準備を進めていたのだ。アイテムボックスの『世界の船図鑑』を元に、この時代の技術で作れそうな船の絵図を数枚、描き起こしていた。

 私はおもむろに目を伏せ、厳粛な面持ちで父上に向き直った。

「父上……やはり、この時のためでございましたか」


「琴? どうした、急に改まって」


「数日前より、神様が私の夢枕に立たれ、来るべき日のために『新たな船の姿』を書き留めるよう、お告げがございました。そして今、父上のお言葉で、そのお告げの真なる意味がはっきりといたしました……!」

 私は、こめかみに指を当て、夢で視た光景を思い出すかのようにゆっくりと語り始めた。


「神様が示されたのは、たくさんの見たこともない船……。荷をたくさん積める大きな〝きゃらっく〟……。風を巧みに操り、嵐を乗り越える〝ふりげーと〟……。三角の帆を持つ、疾きこと風の如き〝じーべっく〟……。そして、馴染み深き姿なれど更に堅牢となりし〝あたけぶね〟……」

 私の言葉に父上は息を呑み、その表情を畏怖に染めていく。


「琴よ! そのお告げ、まことか! 我らが作るべき船はどれだと!」


「……荷は多く。乗り手は少なく……。御神託が示すは、新たなる三つの船影と礎となる一つの船影にございます」

 私は、父上の目を見据え、はっきりと告げた。


「新たなる船は三つ。最も作りやすきは、日ノ本の技と南蛮の技を合わせた【合の子船あいのこぶね】。次に疾く多くの荷を運べる【ジーベック】。そして……いつか、我らが遠い海を目指すための、究極の船【フリゲート】。されど御使い様は、こうも仰せです。『今の技を侮るなかれ』と。礎となる船影……それは、我らが【二形船】を改良した【安宅船】。改良次第で、立派な商い船となりましょう」


「おお……! なんという、ありがたき御神託! 事前に準備を促されるとは……! 琴よ、そのお告げに従い、書き留めたという船の姿を見せられるか!」


「はい、父上。お告げに従い、この数日、夢で視た姿を必死に描き留めておりました。これがお告げにございました四つの船にございます」

 私は懐から、あらかじめ用意していた四種類の船の絵図を差し出した。究極の船【フリゲート】を松案、次代の主力となる【合の子船】と【ジーベック】を竹案。そして、御神託が「礎」と示した【安宅船】を梅案とした。


 父上は震える手で絵図を受け取った。

「なんと、これほど鮮明に……! さすがは我が娘じゃ」


「ただ、いずれの船も今のものとは形が異なりますゆえ、完成には、一、二年はお待ちいただくことになるかと存じます」


「うむ、承知した! ……だが、船大工どもは、この見たこともない船の絵図について、そなたに多くの問いを発するであろう。姫御子であるそなたの正体を明かすわけにはいかぬ。どうしたものか……」

 父上の懸念はもっともだ。しかし、それも想定の内だった。


「どのような形であれ、わたくしは船大工の方々の問いにお答えいたします。神様から授かった知識、力の及ぶ限りお伝えしましょう」


「そうか……。承知した。やり取りの方法は追って考えよう。棟梁には、しかと伝えておく」

 この時、気軽に引き受けた船大工との質疑応答が、後に私の正体を巡る、ちょっとした騒動に発展し、結果として計画よりも早くジーベックと合の子船が完成するきっかけとなるのだが、それはまた別のお話。

 この時の私は自分の描く未来の船がもうすぐ安房の海で現実のものとなる。その興奮にただ胸を躍らせていたのだった。

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